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良くも悪くも「ぶれない」自公のトップ。どんな政治的決着となるのか photo Getty Images
自民、公明の与党協議メンバーの複雑な人脈図から見えてくる「集団的自衛権の行使容認」対立の結論
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/39361
2014年05月24日(土) 歳川 隆雄「ニュースの深層」 現代ビジネス
5月20日、集団的自衛権の行使容認を巡る自民、公明両党の与党協議(「安全保障法制整備に関する与党協議会」)が始まった。
座長は高村正彦自民党副総裁、座長代理が北側一雄公明党副代表である。
メンバーは以下の通り。
自民党:石破茂幹事長、中谷元・元防衛庁長官、岩屋毅安全保障調査会長、山本順三参院幹事長代理
公明党:井上義久幹事長、上田勇外交安全保障調査会長(政調会長代理)、西田実仁参院幹事長
マスコミ報道にあるように、憲法解釈を変更すれば行使容認できるとする自民党と、現時点で反対する公明党との間には大きな溝があるのは事実である。
■「絶対反対」の公明党内も思惑が交錯
ところが、一時は安倍官邸が目指した今国会会期中(会期末は6月22日)の憲法解釈変更の閣議決定については絶対反対で一致する公明党だが、党内事情は複雑である。
山口那津男代表の反対論は固い。かつて細川護煕政権で防衛政務次官を務め、その後も党内の防衛論議を終始リードしてきた山口代表は安全保障政策に強い自負がある。
弁護士でもあり、法理論を基にした政策アプローチでは誰にも負けないとの自信もある。従って、積極的にメディアに露出し、自らが政策論争に挑む。
一方、同じ弁護士でも北側副代表は、実は現実派である。メディア上では同氏は公明党の反対論の核となっていると報じられているが、正しくない。
党代表が集団的自衛権の行使容認に否定的な発言を繰り返すので、一応歩調を合わせているが、「連立離脱はない」との大前提から水面下で自民党との妥協点を探っている。換言すれば、早期の“落しどころ”を見出すべく高村副総裁との間で詰めを急いでいる。
同学年の山口、北側両氏より年上の井上幹事長は、言わば両氏の中間に位置している。政策に走る山口代表に対し、政治でもってブレーキをかける役割を果たしているとされる。
支持母体である創価学会の原田稔会長が直接話をするのは、学会活動のキャリアが豊富な井上幹事長である。
■自公の着地点を見出す動きは活発
さて、与党協議が複雑な様相を帯びているのは、両党の実質責任者である石破幹事長と井上幹事長の2人が座長の高村副総裁と北側副代表の下位に位置していることだ。
安全保障政策のプロを自任する石破幹事長は当然、協議会内議論で持論を展開する。9月に予定される内閣改造で入閣が確実な井上幹事長は自民党への配慮の必要を感じている。その点、北側副代表とはほぼ同じ立ち位置と言えるが、山口代表にも気遣わなければならない微妙な立場である。
高村副総裁は、1959年の最高裁の砂川判決を根拠に「限定容認論」を唱え、海上保安庁や警察などでは対応できないが戦争まで至っていない「グレーゾーン事態」や自衛隊が国連平和維持活動(PKO)の際の「駆けつけ警護」問題で、公明党との間で着地点を見出そうとしている。
さらには、与党協議メンバーではないが、公明党の漆原良夫国対委員長との太いパイプを持つ大島理森元副総裁は自分の出番が来たとして動いている。自民党内も複雑なのだ。
では、安倍官邸はどうなのか。
菅義偉官房長官は、昨年の参院選前から急速に関係を深めた創価学会の佐藤浩副会長と会食したり、さらには行使容認に理解を見せる高木陽介幹事長代理や北側副代表を支える上田政調会長代理と接触するなど、独自に公明党・学会サイドの内情を探っている。
因みに、菅官房長官は早期解釈変更論者である。
■創価学会は「将来の憲法改正には賛成」か
こうした中、大きな波紋を呼んだのが、16日付で創価学会が『朝日新聞』の取材に対し書面で回答を寄せたことだ。
「本来の手続きは、一内閣の閣僚だけよる決定ではなく、憲法改正手続きを経るべきだ」と記述、行使容認のための憲法解釈変更に反対する見解を明らかにした。
だが、この文章を裏読みすれば、将来の憲法改正には賛成するが、解釈改憲は急がないで欲しいと語っているように思えるのだ。
では、なぜこのタイミングで、しかも集団的自衛権行使容認反対の論陣を張る『朝日新聞』の求めに応じて回答を寄せたのか。
公明党執行部内の山口代表など強硬派にエールを送るためだったのか、それとも真逆に現実派を間接的に支援する意図が隠されていたのか。この短い文章からは即断できない。
であるにしても、創価学会広報室が独断で書面回答できるはずがない。穿った見方をすれば、ポスト原田の後継レースと関係があるのかもしれない。真相は藪の中である。
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