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2014年 05月 22日
昨日、地裁レベルながら、画期的な判決が2つ出た。(**)
一つは、大飯原発再稼動の差し止めを認めるもの。もう一つは、厚木基地の夜間飛行の差し止めを認めるものだ。(・・)
『安全性が保証されないまま関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)を再稼働させたとして、福井県などの住民189人が関電に運転差し止めを求めた訴訟の判決言い渡しが21日、福井地裁であり、樋口英明裁判長は関電側に運転差し止めを命じた。
全国の原発訴訟で住民側が勝訴したのは、高速増殖炉原型炉もんじゅ(福井県敦賀市)の設置許可を無効とした2003年1月の名古屋高裁金沢支部判決と、北陸電力志賀原発2号機(石川県)の運転差し止めを命じた06年3月の金沢地裁判決(いずれも上級審で住民側の敗訴が確定)に続き3例目。
大飯3、4号機は昨年9月に定期検査のため運転を停止。関電は再稼働に向け原子力規制委員会に審査を申請し、新規制基準に基づく審査が続いている。
審理では、関電が想定した「基準地震動」(耐震設計の目安となる地震の揺れ)より大きい地震が発生する可能性や、外部電源が喪失するなど過酷事故に至ったときに放射能漏れが生じないかなどが争点となった。
大飯原発3、4号機をめぐっては、近畿の住民らが再稼働させないよう求めた仮処分の申し立てで、大阪高裁が9日、「原子力規制委員会の結論より前に、裁判所が稼働を差し止める判断を出すのは相当ではない」などとして却下していた。
脱原発弁護団全国連絡会(事務局・東京)などによると2011年3月の東京電力福島第1原発事故後、全国で住民側が提訴した原発の運転差し止め訴訟は少なくとも16件あり、福井訴訟が事故後初めての判決となった。(福井新聞14年5月21日)』
『21日の判決で福井地方裁判所の樋口英明裁判長は、「原発の周辺で起きる地震の揺れを想定した『基準地震動』を上回る揺れが、この10年足らずの間に全国の原発で5回も観測されていることを重視すべきだ。大飯原発の基準地震動も信頼できない、楽観的なものだ」と指摘しました。
さらに「地震が起きたときに原子炉を冷却する機能などに欠陥がある」と述べました。
そのうえで「福島第一原発の事故では、一時250キロ圏内の住民の避難が検討されたことがある」などとして、原告のうち原発から250キロ圏内の住民について訴えを認め、関西電力に対して大飯原発の3号機と4号機を運転再開しないよう命じました。(NHK14年5月21日)』
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関西電力は、速やかに控訴する意向を表明。
菅官房長官は、原発再稼動を進める政府の方針に変わりはないとの認識を示したという。(~_~;)
『菅義偉官房長官は21日の記者会見で、関西電力大飯原発3、4号機の運転差し止めを命じた福井地裁判決に関連し、原子力規制委員会の安全審査を経た原発を再稼働させる政府方針は「まったく変わらない」と述べた。そのうえで「安全を客観的に判断してもらったうえで再稼働することは正しい」と強調した。(毎日新聞14年5月21日)』
また、『原子力規制委員会の田中俊一委員長は「司法判断について申し上げることはない。大飯についてはわれわれの考え方で審査をしていく」と述べた。(福井新聞14年5月21日』
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ただ、NHKは、この判決が他の原発訴訟にも影響を与えるのではないかという見方をしている。(・・)
『原子力発電所や原子力施設を対象に運転の停止などを求める訴えは、弁護団によりますと全国でおよそ30件起こされていて、21日の判決は各地の今後の裁判にも影響を与えそうです。
原発の運転停止などを求めた訴えは愛媛県の四国電力伊方原発に対する裁判など、昭和40年代から各地で起こされましたがほとんどが退けられてきました。
このうち石川県の北陸電力志賀原発と福井県の高速増殖炉「もんじゅ」を巡る裁判では、原告の訴えを認める判決も出されましたがこの2件もその後、高等裁判所や最高裁判所で訴えが退けられて確定しました。
しかし3年前の東京電力福島第一原発の事故のあと、原発などに対する裁判や仮処分の申し立てが再び各地で相次いで起こされています。
「脱原発弁護団全国連絡会」によりますと、現在、建設中や建設予定も含めて北海道から九州までの16の原発や原子力施設を対象に運転をしないことや設置を許可しないことなどを求めて合わせておよそ30件の訴えが起きていて、21日の判決は各地の今後の裁判にも影響を与えそうです。(NHK14年5月21日)
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また、06年に志賀原発の差し止め命令の判決を出した地裁の裁判官は、このような感想を述べていたという。
『関西電力大飯原発3、4号機の再稼働差し止めを命じた21日の福井地裁判決を受け、金沢地裁の裁判長として2006年、北陸電力志賀原発2号機(石川県志賀町)の運転差し止めを命じる判決を言い渡した井戸謙一弁護士は、「原発事故が現実性のある問題だと認められた。今後の裁判所の対応も変わるだろう」と福井地裁の判断を評価した。
井戸氏は、志賀原発差し止め判決を出した当時を、「原発の危険性を訴える人はごく一部で、国策に正面から抵抗する判決には勇気を要した」と振り返った。「上級審が一審判決を維持する可能性は低い」と思っていたが、二審の名古屋高裁金沢支部と最高裁は予想通り、運転差し止めを認めなかった。
東京電力福島第1原発事故で状況は一変。井戸氏は「原発事故はあり得ないという安全神話は崩れた」と指摘する。福井地裁判決が、大飯原発から250キロ圏内の住民に具体的な危険があると認めたことについて、「原発事故直後の最悪のシナリオを根拠にしたとみられ、妥当な判断だ」と述べた。(時事通信14年5月21日)』
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原発の稼動は、国の政策に負う部分が大きいことから、明白な違法性や危険性でもない限り、司法としては判断しにくい領域ではないかと思うし。
井戸氏も言っているように「国策に正面から抵抗する判決には勇気を要した」のではないかと察する。(井戸氏の場合は、福島原発事故の前なので、尚更にね。>
本来であれば、政府や国会が、もっと国民の声に耳を傾け、また国民の安全や本当の意味での国益を考えて、原発政策のあり方を検討してくれれば一番いいのだけど。
折角、民主党政権が原発ゼロを目指す方針を決めたのに、安倍内閣は、目先の経済的な利益や核兵器の製造能力の確保を優先し、まるで福島原発事故などなかったかのように、原発政策を推進して行くことに方針を転換してしまったわけで。
いまや、国民にとっては、司法の判断が大きな頼りになっているのが実情だ。(~_~;)
NHKによれば、「原発事故のあと全国の弁護士会でも原発に関するシンポジウムや勉強会が開かれたり、裁判官が審理の進め方などを意見交換する司法研修所の研究会でも、原発訴訟がテーマとして取り上げられるなど関心が高まっていました」とのこと。
mewは、そこには、福島原発事故の経験によって、安全神話が崩れたとの認識を踏まえ、もし司法が判断を逃げていれば、国民の安全や人権を守ることができないという思いもあるのではないかと察する。(・・)
そえゆえ、今回の訴訟で、裁判所が正面からこの問題に取り組み、判断を逃げることなく、差し止め請求を認めたことを評価したいと思うし。
他の裁判所でも、賢明な判断が下されることを期待しているmewなのである。(**)
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横浜地裁でも、初めて厚木基地の自衛隊機の夜間飛行差し止めを認める判決が出た。(@@)
『米海軍と海上自衛隊が共同使用する厚木基地(神奈川県大和市、綾瀬市)の周辺住民約7000人が、米軍機と自衛隊機の夜間・早朝の飛行差し止めと、騒音被害に対する損害賠償などを国に求めた「第4次厚木基地騒音訴訟」の判決で、横浜地裁(佐村浩之裁判長)は21日、自衛隊機の夜間飛行差し止めを命じた。自衛隊機の飛行差し止めを認める判決は初めて。米軍機の飛行差し止め請求は却下した。
基地を巡る飛行差し止め請求は、これまですべて民事訴訟で争われ「米軍機の飛行は日本の支配が及ばない」とする司法判断が定着していた。このため、第4次訴訟の原告団は「国が管理する滑走路の米軍への使用許可は、防衛相の公権力の行使」として行政訴訟による差し止めを初めて請求していた。
第1〜3次訴訟では国に過去分の損害賠償を命じる判決が確定。民事で争われた第1、第2次訴訟の飛行差し止めは、いずれも請求が退けられていた。(毎日新聞14年5月21日)』
『過去分の損害賠償約70億円の支払いも命じた。米軍機の飛行差し止めは認めなかった。自衛隊機の飛行差し止め命令は全国初。(読売新聞14年5月21日)』
『原告の住民は、航空機騒音の国際単位であるWECPNL(うるささ指数、W値)が75以上の計8市の地域で生活している。
住民側は、1人当たり毎月2万3千円(弁護士費用込み)、総額約53億8500万円(提訴時の総額)の賠償を請求。提訴前の過去3年分に加え、騒音被害が解消されるまでの将来分も求めていた。
また、騒音被害は憲法が保障する人格権を侵害しているなどとして、基地騒音訴訟では初めて、行政訴訟でも飛行差し止めのほか米軍機の滑走路使用を認めないよう求めていた。
米軍機の飛行差し止め請求について、過去の同種訴訟では、「国の支配が及ばない第三者の行為に対する請求で主張自体が失当」などとして、認められた例はない。(毎日新聞14年5月21日)』
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菅官房長官は、「大変厳しい判決だ。今後の取り扱いは、判決文を精査の上、関係省庁で調整し、適切に対応したい」と語ったようだが。(時事通信14年5月21日)
菅氏は神奈川県選出の議員なので、(本人の選挙区は横浜だけど、自民党の神奈川支部の中枢舘立場ゆえ)神奈川県の住民に配慮を示すために、このような言い方をしたのかな〜と思ったりもする。^^;
他方、『小野寺五典防衛相は21日午後、米軍と海上自衛隊が共同使用する厚木基地(神奈川県)の騒音訴訟で、横浜地裁が自衛隊機による夜間・早朝の飛行差し止めを命じたことを受け、「防衛省にとって受け入れ難い部分がある」とのコメントを発表し、控訴を検討する姿勢を明らかにした』とのこと。(時事通信14年5月21日)
これが政府or安倍内閣のホンネだろう。(>_<)
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今回、横浜地裁が自衛隊機の夜間飛行の差し止めを認めたのは、めっちゃ画期的なことなのである。(・・)
というのも、これまでの厚木基地訴訟では、違法性&人権侵害や損害賠償は認められたことはあるものの、飛行の差し止めまでは認められなかったからだ。(-_-;)
今回もメインの騒音発生者である米軍機の飛行差し止めに関しては、残念ながら「国の支配が及ばない第三者の行為」だとして認められなかったのは、残念なことなのだが。自衛隊機の飛行差し止めが認められたことは、厚木基地訴訟でこれまで戦って来た被害者のみならず、全国の基地騒音訴訟をにとっては、大きな前進&励みになったのではないかと察する。(・・)
<尚、今回の訴訟は民事訴訟に加えて、防衛大臣の管理に対する行政訴訟も提起されていたという点でも注目されていたです。>
そして、大飯原発の判決同様、この訴訟でも横浜地裁の裁判官が、国民の生活の救済を重視して、勇気を持って一歩踏み出した判決を行なったことを評価したいと思うmewなのだった。(@@)
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最後に、これは訴訟ではないのだが。沖縄県教委が、画期的な判断を下したという話を。(**)
これは『沖縄の町に、国家権力を用いて、超保守の教科書を押し付ける安倍内閣のアブナイ教育政策http://mewrun7.exblog.jp/21814651/』などの続報になるのだが・・・。
沖縄県の竹富町は、八重山自治区で強引に採択されたつくる会系の育鵬社の公民教科書の使用を拒否し、他社の教科書を使用していたのであるが。
文科省は、民主党政権下では竹富町の意思を尊重していたものの、安倍政権に代わって対応が一変。義家政務官(当時)を竹富町まで派遣したり、沖縄県教委を指導したり・・・ついには、国として初めて是正措置をとって、竹富町に育鵬社の教科書使用を実質的に強制しようとしたのである。(-_-;)
<安倍氏らの超保守仲間は、自分たちの思想や歴史認識などを反映した教科書作り&全国の学校への普及を目指し、同じ考えを持つ「新しい歴史教科書をつくる会」系のメンバーや出版社を支援。
近時は、安倍首相の教育ブレーンが執筆に関わっているフジTV系の育鵬社の教科書の出版、普及活動を支援していたのよね。^^;
また八重山自治区が、急に育鵬社の教科書採用を決めたのは石垣島、与那国町の保守系の議員、町民が、自衛隊の誘致をしていたからだと言われている。>
実際、文科省の局長も、安倍政権に代わって対応が変わったことを認めている。
『文科省の前川喜平初等中等教育局長は25日、八重山教科書問題で文部科学省が竹富町教育委員会に出した是正要求について、「文科省においては政権交代の後、より強い指導を行うようになったというのは事実だ」と、安倍政権の強い意向が働いていることを強調した。
同省の事務方が教育行政への政治介入があったことを示唆する発言をするのは初めて。(毎日新聞14年3月26日)
* * * * *
しかし、竹富町は、国の是正措置に抵抗し、今年度も育鵬社の教科書は使わず。
国が教科書の無償措置法を改正したのを機に、同町単独で教科書の採択ができるように八重山自治区からの分離を要望していた。
これに対し、文科省は沖縄県、竹富町の教育長を東京に呼んで、改めて是正措置に従うように&自治区一体の教科書採用を行なうようにと要求(圧力がけ)していたのだが。
沖縄県の教育委員会が、昨日21日、竹富町を八重山自治区から分離することを決定。同町は、晴れて自分たちが好ましいと思う教科書を選べるようになったのだ。(^^)
『沖縄県竹富町教育委員会が周辺2市町とつくる採択地区協議会の決定と異なる中学公民教科書を使っている問題で、沖縄県教育委員会は21日、定例会を開き、竹富町教委が要望していた採択地区の分離を認め、町単独で採択地区とすることを決めた。文部科学省は「町単独の採択は困難」と難色を示しているが、地区の構成を決める権限は県教委にあり、竹富町教委は来年度から使う教科書について単独採択が可能となる。
小中学校の教科書を巡っては、4月の教科書無償措置法改正で、採択地区の単位が「市郡」から「市町村」となった。これを受け、石垣市、与那国町と八重山採択地区協議会を構成する竹富町教委が分離を県教委に要望。文科省は「八重山地区は一体」とし、採択前に必要な全教科書の調査研究が町だけでは難しいとの見解を示していた。
この日の定例会で、県教委の宮城奈々教育委員長は「16の島々からなる竹富町は、一つの島からなる石垣市、与那国町と異なる特色を持つ。町独自の教科書のニーズはある」と説明。教科書の調査研究は「退職教員や学識経験者も活用するとしており、町単独でも可能」とした。石垣市と与那国町は2市町で採択地区を維持する。
竹富町教委は、保守色が強いとされる育鵬社版の教科書を地区協が選定したことに反発し、2012年度から独自に東京書籍版を使用。文科省は地区協決定の教科書を使うよう定めた無償措置法に違反しているとして今年3月に町教委に是正要求した。町教委は「地方教育行政法は教科書採択権が市町村教委にあると定めている」として従わなかった。
決定について、竹富町教委の慶田盛安三(けだもりあんぞう)教育長は取材に対して「子供たちのため学校ごとに特色のある教育ができるようになる」と歓迎。県教委の諸見里明(もろみざとあきら)教育長は「決定で長い間の混乱が終息に向かってほしい」と語った。
諸見里教育長は22日に文科省を訪れ、是正要求に従わない竹富町に対し国が違法確認訴訟を起こさないよう求める。下村博文文科相は21日の衆院委で「教科書の調査研究をどうするか確認する」と述べた。(毎日新聞14年5月21日)』
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『義家弘介前文科政務官は、是正要求を受けたにもかかわらず、法の適否を審査する第三者機関「国地方係争処理委員会」への審査申し立てをしなかった県、竹富町は「違法であることを認めたものだ」と批判。21日に県が単独採択地区を認めた場合、県に説明を求めていく方針を示した』とのこと。(沖縄タイムス14年5月21日)
超保守系の議員の中には、竹富町が国の是正措置に従わなかったことを問題視して、違法確認の訴訟を提起すべきだという声もあるようなのだけど・・・。
ただ、『菅義偉官房長官は21日の記者会見で、「判断を受け止めざるを得ない。県教委が判断したことなので国として口を挟むことではない」と述べた』とのこと。(産経新聞14年5月21日)
違法確認の訴訟で勝ったとしても、もはや過去の教科書使用をやり直せるものではなく、単に国の(というか安倍内閣の?)自己満足のためにやるようなものだし。もうすぐ竹富町の違法状態は解消するのであるから、国は竹富町の子供たちが落ち着いて勉強できる環境を取り戻すためにも、これ以上、問題を大きくすべきではないと思うです。(・・)
同時に国の圧力にめげずに、勇気ある決断を行なった&最後まで頑張り通した沖縄県教委と竹富町教委に拍手を送りたいと思うmewなのだった。(@@)
THANKS
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