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2014年05月22日 板垣 英憲(いたがき えいけん)「マスコミに出ない政治経済の裏話」
◆野田佳彦前首相が、首相官邸周辺で毎週金曜日夕方から「大飯原発の再稼働反対」を叫ぶ市民の声を「騒音」と感じ、これ無視して強引に再稼働を決定してから、早や2年になる。大飯原発とは、福井県大飯郡おおい町にある関西電力の大飯原発だ。関西電力が保有する原子力発電所としては最大規模で、日本の原子力発電所では柏崎刈羽原子力発電所に次ぎ、日本で第2位の発電量がある。施設周辺は若狭湾に面し、「原発銀座」と呼ばれていて、半径20km圏内に高浜発電所(大飯郡高浜町)もある。
大飯原発の3・4号機は、2011年3月11日の東日本大震災をきっかけに日本国内の全原発が停止して以降、再稼働した最初の原発となった。3号機が2012年7月5日、4号機が21日、それぞれ発送電を開始していた。その後、2013年9月2日には3号機が定期検査のため停止、15日には4号機も定期検査に入り、再び日本国内で原発の稼働は停止されている。
◆日本の裁判所は、最高裁判所を頂点に下級の地方裁判所に至るまで、従来、「原発反対」を訴える市民・住民の声を聞かず、政府の原発政策を是とし、各電力会社に味方して、原告の市民・住民「敗訴」の判決を下し続けてきた。
ところが、市民・住民が「大飯原発3・4号機の再稼働差し止めを求めた裁判」で、福井地裁(樋口英明裁判長)が「再稼働差し止めを命ずる判決」を下した。朝日新聞デジタルが5月21日15時16分、「大飯原発3・4号機の再稼働差し止め命じる 福井地裁」という見出しをつけて、以下のように配信した。
「関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)をめぐり、住民らが関西電力に運転の差し止めを求めた訴訟の判決が21日、福井地裁であった。樋口英明裁判長は250キロ圏内に住む住民らは差し止めを求めることができると判断し、運転差し止めを命じる判決を言い渡した。2011年3月の東京電力福島第一原発の事故後、原発の運転差し止めを求めた訴訟の判決は初めて。大飯原発は13年9月に定期検査のため運転を停止し、新規制基準に基づく原子力規制委員会の再稼働審査を受けている。差し止めを命じたこの判決が確定しない限り、再稼働審査に適合すれば大飯原発の運転は可能だが、司法判断を無視して再稼働させることには世論の大きな反発が予想される。このため、全国の原発で再稼働に向けた動きが進む中、福井地裁の判決が注目されていた」
これに対して、安倍晋三政権の菅義偉官房長官は5月21日の記者会見で、「原子力規制委員会の安全審査を経た原発を再稼働させる政府方針はまったく変わらない。安全を客観的に判断してもらったうえで再稼働することは正しい」と述べている。被告の関西電力は、「控訴する」という。
◆この判決に安倍晋三政権は、平静を装っているけれど、さぞかし大ショックを受けていて、なおかつ大弱りであろう。それは、福島第1原発が大事故について、朝日新聞が5月20日付け朝刊1面トップで「政府事故調の『吉田調書』入手」「所長命令に違反 原発撤退」「福島第一の所員9割」「震災4後、福島第二へ」「全資料公表すべきだ」、2面で「葬られた命令違反」などと見出しをつけて、以下のように「特ダネ」を報じていたからである。
「東京電力福島第一原発所長で事故対応の責任者だった吉田昌郎(まさお)氏(2013年死去)が、政府事故調査・検証委員会の調べに答えた『聴取結果書』(吉田調書)を朝日新聞は入手した。それによると、東日本大震災4日後の11年3月15日朝、第一原発にいた所員の9割にあたる約650人が吉田氏の待機命令に違反し、10キロ南の福島第二原発へ撤退していた。その後、放射線量は急上昇しており、事故対応が不十分になった可能性がある。東電はこの命令違反による現場離脱を3年以上伏せてきた」
政府事故調査・検証委員会が福島第1原発の現場トップの吉田昌郎所長から聞いた「聴取結果書」を隠蔽し続けてきたこと自体、由々しきことである。特定秘密保護法を制定している安倍晋三政権が、恣意的に特別秘密に指定して、国民の目に触れなくしようと判断すれば、永久に隠蔽できる。安倍晋三政権は、漫画「美味しんぼ」(小学館「ビッグコミックスピリッツ」原作:雁屋哲、作画:花咲アキラ)の描写、記述まで、「ウソだ」と全否定した。誠に恐ろしい時代になっている。
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