原発事故と健康被害を関連づけるような描写が議論を呼んだ「週刊ビッグコミックスピリッツ」（小学館）の連載漫画「美味（おい）しんぼ」。１９日の最新号で一連のシリーズが終わり休載となったが、風評被害をあおるような表現に福島県民の批判は根強く、旅館の予約のキャンセルなど影響も出るなど波紋が広がった。一方、一部からは漫画を契機に、県内外で事故に関する議論が活発化するのを期待する声もあった。【小林洋子、岡田英、喜浦遊】

　◇宿泊キャンセルも

　騒動の発端になったのは４月２８日発売号で、福島第１原発を取材した主人公が鼻血を出した場面。５月１２日発売号では、井戸川克隆・前双葉町長が原因を「被ばくしたから」と説明する場面も描かれた。福島大の荒木田岳准教授が除染の経験を基に「福島はもう住めない」と語る場面もあり、県は一連の表現に「風評被害を助長するものとして断固容認できない」と抗議する見解を公表。政府の閣僚も批判した。

　今回の騒動で、観光地には影響が出始めている。福島市の土湯温泉観光協会によると、漫画の影響で４件１３人（１７日現在）の宿泊がキャンセルになった。電話で「美味しんぼのニュースをテレビで見たから」「家族に宿泊を止められた」といった理由だったという。「放射能の影響はないのか」という問い合わせもあったという。同協会の池田和也事務局長（５６）は「お客さんが戻ってきたのに、今回の漫画は水を差した。周りに与える影響を考えて節度をもった内容にしてほしい」と訴えた。

　◇避難者にも波紋

　浪江町から福島市の仮設住宅に避難している男性（５９）は「『福島に住めない』というなら、どこに行けばいいんだ。福島で暮らす人に失礼だ」と憤る。

　一方、浪江町から妻と次女の３人で福島市の仮設住宅に避難している北郷淳（ただし）さん（６７）は「『描写に何の根拠があるんだ』という憤りと、もっと放射線の健康影響を調べてほしいという両方の思いがある」と複雑な胸中を明かす。原発事故時や月１〜２回の一時帰宅時に浴びた放射線量の影響が本当にないか、不安が残るという。

　◇「議論のきっかけ」

　ＪＲ福島駅前では、漫画の出版に理解を示す声も上がった。福島市の女性（６５）は「原発事故はだんだん風化している。漫画をきっかけに全国の人に復興が進まない福島の現実を知ってほしい」と今後の議論の活発化に期待を寄せた。事故後、子どもへの影響を心配して家族で県外に一時、自主避難したという郡山市の男性会社員（４８）は「事故から３年以上たつのに、放射線の影響について答えが出ていないことが問題」と話した。

　一方、漫画に登場した井戸川前町長は１９日、県庁を訪れ、佐藤雄平知事あての公開質問状を提出。その後、報道陣に「被ばくの問題は『風評被害』という圧力の中で隠されていっており、よろしくない。鼻血の問題も県として慎重に対応すべきだ」と述べた。

　◇最新号の「美味しんぼ」の概要

　主人公らが原発事故後に飯舘村から北海道に移住した畜産農家などを訪問。登場人物らは「福島の未来は日本の未来だ。これからの日本を考えるのに、まず福島が前提になる」、「福島に住んでいる人たちの心を傷つけるから、住むことの危険性については、言葉を控えるのが良識とされている。だが、それは偽善だろう」、「福島の人たちに、危ないところから逃げる勇気を持ってほしいと言いたいのだ」などと発言する。

　作品に続き、編集部は、双葉町や県を含む１６人（団体）の意見を掲載。編集長名の見解では、作品の掲載理由を「残留放射性物質や低線量被ばくの影響について、改めて問題提起をしたいという思いもあった」などと説明。「ご批判、お叱りは真摯に受け止め、表現のあり方について今一度見直す」とした上で、「さまざまなご意見が、私たちの未来を見定めるための穏当な議論へつながる一助となることを切に願います」と結んでいる。

　◇「美味しんぼ」を巡る問題の経過

４月２８日　週刊ビッグコミックスピリッツ５月１２、１９日合併号で、主人公が福島第１原発を見学後、鼻血を出す場面が描かれる。井戸川克隆・前双葉町長も登場し「福島では同じ症状の人が大勢いる」などと発言

５月　４日　原作者の雁屋哲さんがブログに「取材した真実をありのままに書くことがどうして批判されなければならないのか分からない」（同日付ブログ）

　　　７日　双葉町が小学館に抗議文送付

　　　９日　石原伸晃環境相が不快感を示す。井戸川前町長は記者会見し「発言の撤回はありえない」

　　１２日　ビッグコミックスピリッツ２６日号で、井戸川前町長が鼻血や疲労感を「被ばくしたから」と説明する場面を掲載。福島大の荒木田岳准教授が「福島はもう住めない」などと発言する場面も

　　　　　佐藤雄平知事が「風評被害を助長する」と批判。県は反論をホームページに掲載。福島大は「大学としての見解ではない」などとするコメントを出す

　　１３日　環境省がホームページに除染の効果は確認しているとの見解を発表

　　１５日　市民団体が「表現の自由や知る権利を侵害し、看過できない」と県に抗議撤回を求める文書を送付

　　１９日　ビッグコミックスピリッツ最新号発売。編集部は「表現のあり方について今一度見直す」などとする見解を掲載

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140520-00000102-mai-soci

それでも日本政府が一つの漫画を弾圧したことが異常だ。
事実を隠蔽し安全風評を垂れ流した奴らが根本原因だ。

集団的自衛権など成立させてはいけない。戦争ビジネスに手を染めても
日本政府は頭が悪すぎてすぐに行き詰ると思う。

政治家・官僚も活躍の場が無くなるだろう。

福島県知事が記者会見で「極めて遺憾」と不快感、って「風評被害」一点張りの方が不快だ・・・。

津田大介氏
「誰得なんだよこの対応は。」
https://twitter.com/tsuda/status/468932805574262784

もちろん原子力村の得。これも表現の自由への挑戦ではないのか。