http://www.asyura2.com/14/senkyo165/msg/596.html
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退任する2人のNHK理事が経営委員会に向けた異例の直訴(醍醐聰のブログ)
http://sdaigo.cocolog-nifty.com/blog/2014/05/2nhk-41f1-1.html
4月22日に開催された第1212回NHK経営委員会の議事録が5月16日、公表された。
「日本放送協会第1212回経営委員会議事録(平成26年4月22日開催分)
http://www.nhk.or.jp/keiei-iinkai/giji/giji_new.html
この日の会合の最後に、2人の理事が退任のあいさつをしている。その一部はすでに報道されたが、異例ともいえる内容なので、議事録から発言の全文を転載しておく。
厚顔無恥な会長、時の首相の応援団を公言して憚らない2人の経営委員の言動をNHKの役職員がどう受け止め、何を求めているかが、ひしひしと伝わる発言である。と同時に、公共放送のイロハもわかっていない人物を会長に任命した責任をいまだ自覚できていない経営委員会へのいらだち、直訴ともいえる内容である。
久保田技師長の退任のあいさつ
「私は4月24日で退任いたしますが、任期を2日後に控えた本日、後任となる次の理事の任命の同意が議決されました。2年という期間でしたけれどもお世話になりました。
ただ、後任と業務の引き継ぎを行う時間も十分にない状態で退任するという異常な事態であると私は受け止めております。1月から続く異常事態はいまだに収束しておりません。職場には少しずつ不安感、不信感あるいはひそひそ話といった負の雰囲気が漂い始めています。
現場は公共放送を担うことへの誇りと責任感を何とか維持しようと懸命の努力を続けていますが、限界に近づきつつあります。一刻も早い事態の収拾が必要です。公共放送への視聴者からの信頼を取り戻すためにも、一刻も早い事態の収拾が必要です。
経営委員会からは、これまで、執行部が一丸となって事態の収拾に当たるように言われてきました。本日、私からは、経営委員会こそが責任をもって事態の収拾に当たってほしいと申し上げたいと思います。改めまして、2年間ありがとうございました。」
上滝理事の退任のあいさつ
「経営委員の皆さまには、この2年間ご指導いただき、まことにありがとうございました。私は視聴者対応と、広報の責任者として述べさせていただきます。
今回の籾井会長の就任記者会見での発言以来、混乱の中で私の頭の中にあったのは、10年前の不祥事のような、受信料拒否問題が絶対に起きないようにする、この一点でございました。3月26日の全体会では、3万5,000件を超えた視聴者の生の声について身を引き裂かれる思いで報告させていただきました。
4月13日には会長が広報番組に出演し、視聴者へのおわびを述べました。この中で、「個人的な見解を放送に反映させることは断じてない。NHKが皆様に支えられてこそ成り立っていることに思いを新たにし、皆様の声を何よりも大切にしていく」と決意を述べました。経営委員の皆さまも、この放送をごらんになったと思います。このことを必ず実行して頂きたいと思います。
その一方で、私は去る19日、佐賀放送局で開かれた「視聴者のみなさまと語る会」に石原委員、美馬委員、堂元副会長と一緒に出席した際に視聴者から、「放送とは関係のない問題でごたごたしているのはまことに残念だ」「各地で会長の釈明をして回るのは情けない」などの厳しい声が相次ぎました。終了後、石原委員は記者団に対し、「会長発言の件が皆さま方の最大の懸念材料かなと思いました。会長の番組だけで終わったということではもちろんない。大事なのはこういう努力をいかに番組にしていくかという頑張りだと思います」と話されました。
私はその前日、佐賀局の30人の職員と対話をしました。そこでは、「NHKは今後どうなってしまうのか大変不安な日々だ」とか、「苦難があったが現場は苦労しつつも頑張っている。役員も一枚岩となって事態の打開へ全力を尽くしてほしい」との声があり、職員の思いの厳しさを改めて知りました。全国の取材や営業現場では、取材先や視聴者から、「NHKは一体どうなっているのか」と問われ、つらい思いをしている職員が数多くいます。
誠にせん越ですが、会長には本部各部局や地域放送局に出向かれ、職員との対話を積み重ねて、職員たちとの心の距離を縮めて頂きたいと思います。職員のモチベーションの維持向上がなくては、公共放送はもちません。2011年3月11日の東日本大震災の際、私どもはそれこそ寝食を忘れて被災者や視聴者の方々のために、放送に全力を尽くしました。そこでの公共放送人としての使命感、一体感が私ども公共放送の一つの原点となっています。それがあるからこそ、値下げ後の受信料収入も順調に回復し、放送番組も信頼されていると思います。
この延長線上にこそ次の経営計画があり、また「自主・自律」のジャーナリズムとしてのNHKがあると思います。経営環境が激しく変化し、視聴者やマスコミから厳しい視線が注がれる中で、放送法を守るという言葉を、新しい執行部体制の中で、経営や放送などのサービスとして具体的な形で実現し、視聴者の方々にとって「NHKは絶対に必要だ」という存在になれるよう努力してほしいと思います。
経営委員の皆さまにおかれましては、新執行部に対する管理監督の役割と責任を十全に果たして頂きたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございました。」
経営委員会の会長任命責任・監督責任が厳しく問われている
この2人の理事の直訴が、はたして、どれだけの経営委員に通じたのだろうか? 5月14日、参考人として衆議院総務委員会に呼ばれ、委員から経営委員会の会長任命責任を問われても、無表情に、同じ答弁を棒読みした浜田経営委員長には通じた気配がない。
本来、経営委員会は外部の圧力からNHKの自主自律を守る砦としての役割を担っているはずだ。その経営委員会があろうことか、公共放送のイロハもわかっていない籾井勝人氏をNHK会長に選任した。そして、危惧したとおり、籾井氏は会長人事権を意のままに振い、本来、監視の対象であるべき政府の主張、政策をもっと忠実に伝えよと、NHKを国策放送に仕向けるべく、「ボルトとナット締め上げる」ことを自分のミッションと公言して憚らない。
このような籾井会長の横暴を毅然と批判し、経営委員としての監督責任を果たそうとしている委員は議事録を読むかぎり2人に過ぎず、多くの委員は沈黙し続けている。
いまや、籾井会長問題は彼を選任し、選任後も会長の放送法違反行為、人事権の乱用を放任している経営委員会の責任問題と表裏一体になっている。退任した2人のNHK理事の思いつめた直訴は、そう訴えかけているのだ。
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