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http://mewrun7.exblog.jp/22001415/
2014年 05月 17日
これは、前記事の『こすかった安倍会見〜まやかしの具体例&「わたし」の立場、考えを主張しただけhttp://mewrun7.exblog.jp/21997577/』の続きになるのだが・・・。
安倍首相は、昨日15日に行なった集団的自衛権の行使に関する会見の中で、具体的な事例を説明するために、カラフルなイラストが描かれた2枚の大きなパネルを使用していた。
一枚は、海外有事の際に米艦船が邦人を救出するという事例を示すものだったのだが。
パネル中央の米艦船の上にかぶせるような形で、心配そうな顔で、赤ちゃんを抱いている日本人の母親と子供の姿(後方に米国人夫妻の姿)が大きく描かれているもの。
もう一枚は、PKO活動での駆けつけ警護の事例だったのだが。こちらも自衛隊PKO派遣要員の絵のヨコに、「日本のNGO」という文字と共に、日本人らしき医師やボランティア活動をする若者の姿が描かれているものだったのだが・・・。
これらのパネルは、安倍首相の要請によって用意されたとのこと。しかも、首相は「パネルが命だ」として、自ら母親や子供を大きく描くように、日本人NGOの文字や姿を入れるようになどの指示を行なっていたという。 (゚Д゚) <会見当日の朝まで、手直しさせていたらしい。^^;>
そして、安倍首相は、それらのパネルを示しながら、「紛争国から逃れようとしているお父さんやお母さんや、おじいさんやおばあさん、子供たちかもしれない。彼らが乗っている米国の船を今、私たちは守ることができない」「世界の平和のためにまさに一生懸命汗を流している若い皆さん、日本人を、私たちは自衛隊という能力を持った諸君がいても、守ることができない」と強調し、日本人を守るためには、集団的自衛権の行使容認が必要だと訴えたのである。(~_~;)
首相は、難しい憲法論よりも、視覚的にわかりやすいイラストを使って、国民の情に訴えた方がいいと。また、日本人が絡む事例、母親や子供の姿を示せば、国民の共感を得ることができると考えたようで。
「会見の中では、パネルが命だ」「これを見せれば、誰も反論できないだろう」と語り、満を持して、会見に臨んだという。(@@)
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先に言えば、そもそも集団的自衛権というのは、他国が攻撃を受けた場合に、日本がその国を守るために一緒に戦うことを意味するのであって。決して、日本人を守るために行使されるものではない。^^;
米艦船の防護の事例でも、自衛隊と一緒に活動している米軍の艦船を自衛隊が守れるのか否かが問題になっているのであって。基本的には、そこに日本人が乗っているケースを想定しているわけではないし。
駆けつけ警護の事例も、もともとは自衛隊と同じ地域で活動する他国の兵士や国連職員が攻撃を受けた時に、自衛隊が守ることができるのか、一緒に戦うことができるのかということが問題になっているのである。(-"-)
<たまたま日本人が米艦船に乗っていたり、日本人のNGO要員が自衛隊の近くにいたりする可能性はゼロではないのだけど。それは極めて限定されたケースに過ぎず。集団的自衛権の行使に関する本論ではないし。日本人が絡んでいるケースは、個別的自衛権によって解決することも可能なのである。(・・)>
それゆえ、mewは昨日、安倍首相の会見を「こすい」&「姑息だ」と表現し、呆れていたところがあったのだけど。
このパネル作成に関する話をきいて、「こすい」「姑息な」に加えて、「あざとい」「節操のない」やつだと改めて実感させられたところがあった。(~_~;)
また同時に、「日本の国民は、(安倍っちなんぞに)完全にバカにされているんだな〜」と、そして、「またB層扱いされているんだな〜」と、哀しく情けなく感じてしまう部分もあった。(-"-)
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『安倍首相が会見で、最も力を入れたのは、このパネルのデザインだったという。
フジテレビ政治部の松山俊行官邸キャップは「安倍首相は周囲に、『会見の中ではパネルが命だ』と言って、人々の心に訴えるような、女性や子どもたちを描くようなパネルにしてほしいという、細かい指示まで出していた」と話した。
さらに、事務方が最初に作ったパネルを見た安倍首相は、パネルの作り直しまで命じていたという。松山キャップは「大きなアメリカの艦船だけが写っていて、子どもや女性の姿がほとんど写っていなかったということで、もう一度作り直しをするように、事務方に指示したということです」と語った。(FNN14年5月15日)』
『パネルには子供や女性の絵が描かれており、安倍首相は「この(集団的自衛権の)議論は国民の一人一人にかかわる現実的な話だ」とも指摘した。実は、「パネルで俺は勝負する」と首相自ら図案を決めた。(産経新聞14年5月15日)』
『情に訴える狙いは明らかだ。パネルは「役人が作ったのだとちょっと違うと言って、首相が自分で指示した」と自民党中堅。米艦防護のパネルの真ん中には、赤ちゃんを抱く母親と、心配そうに母親に抱きつく幼子が描かれていた。(西日本新聞14年5月16日)』
他にもいくつかのTV番組で、記者がいかに安倍首相が、パネルの細部にこだわったかという話を伝えていたのであるが。
首相は、日本人を守るため、女性や子供を守るためと訴えれば、また視覚的にもそれを印象付ければ、国民の情を動かして、集団的自衛権の行使に理解を得られると考えたようなのである。(-"-)
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安倍首相は、パネルを使って具体事例に関して力説した後、安全保障の必要性や憲法解釈の理論についても(淡々と?)説明したのであるが。それは、あまりにも不十分で、説得力に乏しいものだったし。
結局、最後に(演説後の質疑の時も)、また日本人救出の事例を持ち出して、繰り返しアピールして上、、「会見を御覧になっている皆さんや、皆さんのお子さんやお孫さんが、こうした立場になるかもしれないという、そのことを考えていただきたい」と国民に呼びかけるなど、いかにこのパネル戦略にこだわっていたかが伝わって来るような感じがあったのだけど・・・。、
首相のこの会見に関して、『安全保障問題に詳しい政府関係者は「感情に訴えるやり方だった。とてもじゃないが真面目な安保論とは言えない」と突き放した』とか。^^;(朝日新聞14年5月16日)
公明党の山口代表も「「総理は記者会見で、具体例を、パネルを使って説明された。ああいう説明を国民の皆さんは、どうとらえたかというところも、よく見ていかなければならない」と、チョット呆れ顔になっていた。(発言部分は、FNN14年5月16日)
また、民主党の海江田代表は、「手の込んだ芝居を見せられている感じだ。集団的自衛権の行使が限定的だとの印象を植え付けようとしている」と感想を述べていたのだけど。まさにその通りだと思うし。(発言部分・産経5.16)
結いの党の江田代表は、早速、首相が挙げた邦人を輸送する米艦防護などの事例は「個別的自衛権や警察権の解釈の適正化で対応できる」と指摘していた。<確か公明党も同じような主張をしているし、mewもこの考え方に賛同する。(・・)>(発言部分・朝日5.16)
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そして、おそらくマジメにこの「集団的自衛権の行使」や「解釈改憲」の問題を考えて来た反対・慎重派はもちろん、もしかしたら賛成派の中にも、この安倍首相のパネル戦略には、大きな問題性や不満、不快感を覚えた人、バカにされたような気分を抱いた人などなどが多かったのではないかと思うのだけど・・・。(-_-;)
でも、たぶん安倍首相は、この会見では、そういう人たちは相手にしていなかったし。その人たちにどのように思われようと構わなかったのではないかと思われる。(~_~;)
そして、安倍氏がそのような戦略で勝負をしようと考えた背景には、小泉元首相が自らの執念を通し、「B層戦略」で勝負をかけて成功したのを見ていたことがあるかも知れない。(@@)
小泉元首相は、05年に自らの悲願であった「郵政民営化」を実現するために、衆院解散の大勝負をかけて圧勝をおさめ、法案成立を果たしたのであるが。当時、安倍氏は、選挙対策を担当する幹事長代行として、それをヨコから見ていたのだ。^^;
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ちなみに、小泉純一郎氏が郵政民営化を提唱し始めたきっかけは、1969年、27歳の時に初めて出馬した衆院選で、地元の郵便局の支援や協力が得られずに落選したことから、「いつか郵便局の組織を解体して潰してやりたい」という思い(恨み?)を抱いたことにある。^^;
<かつては、郵政省&各地の郵便局は、強大な組織や力(人、もの、金、権限)を有しており、選挙活動にも大きな影響力を及ぼしていたのよね。(-_-;)>
それから30年余り、小泉氏は、「郵政解体&民営化」を実現するために首相の道を目指し(3回目の総裁選でようやく当選)、米国&国内の新自由主義者(竹中平蔵氏や経済界)を味方につけて、目標実現にまい進していたのだが。ところが、自民党内の抵抗にあって05年夏に法案可決に失敗することに。
そこで小泉氏は引き下がることなく、激しい執念を見せ、解散を打つ大勝負に出て、総選挙に圧勝し民営化法案を成立させたのである。(@@)
その大勝利の最大の要因は、小泉氏の目標実現への執念と、小泉陣営が広告・マーケティング会社に作らせた広報戦略にあったと言われている。^^;
彼らは、国民を4つの層に分け、「IQが比較的低くかつ構造改革に中立ないし肯定的な層」を「B層」に分類。「主婦と子供を中心した層、シルバー層」を含み、「具体的なことはわからないが、小泉総理のキャラクターを支持する層、内閣閣僚を支持する層」と定義して、この層をターゲットにした広報活動&その戦略を提言。
小泉首相は、その提言をうまく活用する形で、「郵政民営化に賛成か、反対か」と二者択一を問う形で、劇場型選挙を展開する戦略を用いたことが、大きな効果をもたらしたのである。^^;
また、首相が「郵政民営化に命を賭ける」と言って解散の決断をしたり、あえて刺客を送るなどの執念を示し、劇場型選挙を展開したりしたのも、小難しい理論よりも、国民の関心や共感をストレートに呼ぶことになった。^^;
<広告会社の提言には「AかBか」などの二者択一の単純な構図を作ることや、B層に伝わりやすいように、視覚的にわかりやすいチラシやビラを配布することなどが記されていたんだよね。^^;>
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また、郵政民営化を実行に移すための手法(仕組みや法整備)は非常に複雑で難しいものであるため、実のところ、小泉首相は、十分に理解できていなかったため、担当閣僚の竹中平蔵氏に法案作りを完全にお任せしていたのだけど。<国会でも具体的な質問を避けていたし。選挙中の党首討論では、「あんな分厚い法案を全部読めるはずがない」と逆ギレしちゃったりして?^^;>
でも、正直なところ、国民の大部分も「郵政民営化」がどういうものか、理解できていなかったし。B層をターゲットにした場合に、それはさほどマイナス要素にならず。
小泉首相は、ひたすら「郵政民営化は構造改革の本丸だ。既得権益を壊せば、皆さんの生活はもっと自由で便利になるし、国民の利益につながる」とアピール。
また「郵政民営化に反対する人は、既得権益にしがみついている人だ」と悪い抵抗勢力であるかのように印象づけて、「それでも郵政民営化に反対しますか〜?」と必死で訴え続け、それが般国民の共感や支持を呼ぶことにつながったのである。(~_~;)
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ね、何だか、安倍首相の昨日の会見と重なって来るところがありません?(・・)
安倍氏が「集団的自衛権の行使」&「解釈改憲」を実現したいのは、「日本も他国のように、軍隊の活動を行なえるようにしたい(天敵・中国に勝つためには尚更)」からであって、そのためには9条がジャマだからなのだけど。
そのウラには、安倍氏は、戦前志向の超保守思想や富国強兵ロマンを有していて、何とか自分の手で「現憲法や9条を壊したい、なきものにしたい」という強い思いを抱いていることがある。<それは祖父・岸信介首相からの宿題であり、自分の手で実現する使命があるとも思っているらしい。>
つまり、そこには小泉氏同様、理論云々を超えて、長年にわたって蓄積されて来た、ある種の情念や執念が存在しているのである。(~_~;)
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『「集団的自衛権の行使を容認しないと日本は1人前になれない」というのは、安倍首相の年来の主張だ。著書では、軍事同盟は「血の同盟」だとも説明。日本が攻撃を受けたときに米国の若者が血を流すのに、米国が攻撃されても日本の自衛隊が血を流すことがないのはおかしいと訴えてきた。(日刊スポーツ14年5月15日)』
『安倍首相にとって集団的自衛権の見直しは、若手議員時代からの宿願だった。11年4月には国会質問で祖父、岸信介元首相の答弁を引いてこう訴えている。
「岸首相が『日本の憲法を見ると、自衛隊が海外まで出かけていってその国を防衛するという典型的な例は禁止しているが、集団的自衛権とはそういうものだけではない。学説が一致しているとは思わない。あいまいな点が残っている』と答弁している」(西日本新聞14年5月16日)』
『岸元首相は1960年3月の参院予算委員会で、「他国に基地を貸して自国を守ることは従来、集団的自衛権と解釈されている」と発言した。集団的自衛権行使の道を残すことで、安保政策の幅を広げる狙いがあった。しかし、政府は72年、「集団的自衛権の行使は憲法上許されない」と明確化して、集団的自衛権の行使容認論を封印した。
政府の解釈に対して、首相は若手議員の時代から挑んできた。衆院当選2回の99年の国会質問では、憲法解釈を「極めて珍妙な新発明だ」と激しく批判した。(毎日新聞14年5月15日)』
『集団的自衛権の行使容認は首相にとって長年の悲願だ。2006年発足の第1次安倍政権でも安保法制懇を設置し、憲法解釈の見直しを目指したが、体調不良で退陣して宙に浮き、挫折を味わった。
会見では1960年の日米安保条約改定にも言及した。「他国の戦争に巻き込まれるという批判が盛んに言われたが、改正によって抑止力は高まり、平和がより確固たるものになった」。当時の首相は祖父の岸信介氏。国会周辺のデモなど、激しい反対運動に遭いながら改定を決断した祖父への思いもにじませた。
14日夜に首相と会った自民党議員によると「首相は自らが目指す戦後レジームからの脱却の大きな節目ということで、本当に気合が入っていた」という。(同上)』
『自民党の閣僚経験者は言う。「ほんの少しだけ穴があけばいい。後はどんどんできる。それが安倍さんの本音だ」。(西日本新聞14年5月16日)』
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実は、安倍氏氏自身、もともと現憲法+αの理論的なことには関心がなく、さして考えていないし。率直に言って、よくわかっていないのではないかと思うのだけど。^^;
<国会の答弁でもそうなのだが。憲法論に持ち込まれると、妙なことを言って、ボロを出して突っ込まれたことが何回かあるし。憲法に関して具体的な質問をされた時に、「クイズのような質問は生産的ではない」「大学の講義ではない」「このやりとりに何の意味があるのか」とか逆ギレしちゃったこともあったりして。>
でも、たぶん安倍氏にとって、そんなことはさほど重要な問題ではないのだ。(・・)
自民党の議員や公明党などの理解を得るためには、それなりに憲法的な理論や解釈、安保論などを整えておく必要があるのだが。それは、安保法制懇の識者や磯崎首相補佐官らの側近議員、さらには高村副総裁、石破幹事長などの党幹部などに、お任せして、自分は、小泉流に、国民の支持を得る役割を担おうと・・・。
しかも、安倍氏は、その経験則や感覚からか、おそらく一般国民の多くも、(自分同様に?)小難しい憲法論にはさほど関心もないし、理解もできないはずなので、理論的に説得しても意味がないと感じているのではないかと察する。^^;
特に集団的自衛権の行使や解釈改憲に反対、慎重な立場の人が多いと言われる女性層やシルバー層などのB層に近い人たちは、具体的なことはよくわからず、戦争や軍事活動拡大に対して、漠然とアブナイ、コワイという不安や抵抗感を抱いている可能性が大きいわけで。
それを緩和するためには、小難しい話はせずに、彼らの感覚や情念に訴えた方が共感や理解が得られるのではないかと、そのように判断して、今回のパネル勝負に出たのではないかな〜と思うのだ。(@@)
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公明党は、世論調査の結果なども踏まえて、「国民の理解がない」と「時間をかけて議論すべきだ」と慎重な姿勢を通しているのだが。
おそらく安倍陣営は、もし世論調査で、解釈改憲に賛成する国民が増えれば、公明党に譲歩を迫りやすくなる(公明党も譲歩しやすくなる?)かも知れないという思惑もあるだろうし。
もし世論調査で賛成派の方が多くなれば、最悪の場合、公明党とやり合ってでも、解釈改憲の閣議決定を強行する大義名分もできる。(・・)
でも、mewは、公明党や自民党の一部や、国家の存立にとって本当に重要な立憲主義や民主主義を理解している政党や政治家には、しっかりと理を唱え、逆に筋を通そうとする執念を示して欲しいと思うし。
何より日本の国民に、「自分たちをB層扱いして、バカにするな」と。「あんな小ずるい&まやかしのお絵かきパネルを使って、情に訴えても、騙されないぞ」と、毅然と反発を示して欲しいと、マジで願っているmewなのであった。(@@)
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