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憲法の政府解釈を変え、集団的自衛権の行使を認める。安倍晋三首相が示した方針が現実になれば――。自衛隊が他国の戦争に加わり、相手を殺すこともある。反撃のミサイルが飛んでくるかもしれない。隊員は、基地のある街は、どう受け止めたのか。元兵士は「戦争を簡単に考えるな」と訴える。
■自衛隊員らは 「政治の道具に」「敵が増えるだけ」
「死ぬ可能性は、いまより高くなる。でも、戦争で死ぬのは我々の任務。賛成か反対かと聞かれれば、賛成です」。20代、関東地区の陸上自衛隊員は言い切った。武器にあこがれて10代で入隊したが、国を守る意味を考えるようになったという。「自衛官でも、集団的自衛権をよくわかってない人は多い。訓練で忙しく、勉強する暇もないから」
陸自北部方面隊(札幌市)に所属する30代の2曹は「実感がない。実際に現場に行くのは、階級的にも僕らが一番多いが、(集団的自衛権は)現場が必要としているものというより、安倍総理がやりたいことをやり、政治の道具になっている気がしてしまう」と言った。
前線に立つ一般隊員を不安が覆う。自衛隊は発足以来、戦闘で人を殺したことも殺されたこともない。
信太山(しのだやま)駐屯地(大阪府和泉市)の30代の陸自隊員は東日本大震災でヘドロをかきわけ、行方不明者の捜索や被災者の支援にあたった。一方、小銃の射撃訓練で近距離で人形(ひとがた)の的を撃つのは後味が悪いという。「他国の戦争に加勢するのが自衛隊の任務とは思えない。人を殺さず、助けるだけの軍隊でいいじゃないか」
日本海をはさんで朝鮮半島と向き合う航空自衛隊小松基地(石川県小松市)。30代隊員の妻は「自衛隊は戦争をしないと思っていたので、複雑な気持ち。待遇は中小企業並みなのに、隊員は『命令に従う』としか言わない。まるで洗脳されているよう」。小さな子どもが2人いるが、夫もこの問題を口にしないという。
一方で、現役幹部やOBには肯定派が目立つ。「殺されること」と「殺すこと」への現実感の乏しさと裏腹に、日本を取り巻く国際環境の変化という論理ばかりが積み上がる。日米間の信頼関係に中国の台頭、北朝鮮の脅威――。
「直面する現実に、法的な環境がようやく追いついた」。海上自衛隊の40代幹部は中国海軍の活動が活発な西太平洋で護衛艦に乗り、洋上哨戒についている。「一緒に活動するのは米海軍だけではない。オーストラリアやインド。価値観を共有する国が連携して脅威を未然に抑えるのは、海軍の世界で常識になりつつある」
戦闘機パイロットだった元空自幹部は「集団的自衛権を行使できないので米軍機は守らない、と言い出したら作戦自体が成り立たない」と言う。日米双方の軍用機が入り乱れて活動するなか、いまの規程では敵機から米軍機がロックオンされても、自衛隊機は手を出せない。「こういう状況を自分に置き換えて考えてもらいたい」
東海地方の元空自パイロットの50代男性は行使容認には賛成だが、解釈改憲という政権の手法には反対だ。「あいまいなまま、出動させられる立場になって考えてほしい。時間がかかっても国会で議論をして、話し合いの過程を公にしてほしい。胸をはって正当だと言えないと、日本の敵が増えるだけだ」
■旧日本軍兵士は 「偶発に引きずられるのが戦争」
「『偶発』に引きずられるのが戦争で、『刹那(せつな)』で動いてしまうのが兵士だ」。岐阜県恵那市の西尾克己さん(94)は民間人を「殺した」記憶が胸の奥底に沈殿しているという。開拓団員として旧満州(現中国東北部)へ。第2次世界大戦で現地で召集された。抗日「八路軍」の情報を農民から聞き出そうとしたが抵抗され撃った。
「ふつうの国」を志向する安倍政権が、「戦争ができる国」に向かっているように思える。「いったん戦火を交えると引けなくなる。『限定』という枠をはめたとしても、戦時は解釈がいかようにも変わる。ためらいがなくなっているのが怖い」
三重県桑名市の元陸軍伍長・近藤一さん(94)は中国と沖縄の最前線で戦った。「300万人が犠牲になってようやく憲法9条を得たのに、なぜまた戦争のできる国にならなければいけないのか」
商店の従業員から兵士に。殺すか、殺されるか。戦場は人を変える。中国戦線で無抵抗な捕虜に銃剣を突き刺した。戦友は「こいつらの息子が仲間を殺した」と老人の耳をそいだ。「そんな状況を作らないのが政治じゃないですか」。今の若者たちが心配だ。
埼玉県三郷市の藤原重人さん(89)は陸軍入隊直後の1944年9月、中国に派遣され、約3千キロを約4カ月かけて行軍した。食料は尽き、補給もなかった。空腹に耐えられず、民家に押し入って命乞いする老人や子どもから食料を奪った。「強盗と一緒。でも、罪悪感なんてなかった」
退却中の翌年6月、入隊から一緒だった初年兵8人が撃たれた。煙で敵に見つかるため、遺体全てを焼くことはできない。青竜刀で手首だけを切り取って焼くのがせめてもの供養だった。「戦争というものを簡単に考えて欲しくない」
■「沖縄が真っ先に狙われる」
15日に本土復帰42年を迎えた沖縄。「なんでこの日に」。那覇市の内村千尋さん(69)は表情を曇らせた。沖縄を置き去りにして急速に事態が変化しているように感じる。「米国も巻き込んで戦争状態になれば真っ先に狙われるのは基地のある沖縄。私たちはどこにも逃げるところがない」
「国際紛争があれば、自衛隊が地球の裏まで行く際限ない事態になる。横須賀が全世界の戦場と直結してしまう」。神奈川県横須賀市で、基地問題に取り組む呉東正彦弁護士は懸念する。北朝鮮の朝鮮労働党が機関紙、労働新聞(電子版)で「横須賀、三沢、沖縄、グアムはもちろん米本土もわれわれの射撃圏内にある」と脅したのは昨年3月のことだ。
弾道ミサイルを探知する米軍のXバンドレーダーの運用が年内にも始まる京都府京丹後市。防衛省や市が開いた住民説明会では「戦争に巻き込まれるのでは」と不安の声が出た。「米軍と自衛隊の活動が一体化し、この地域が攻撃の標的にされる可能性が高まってしまう」。「米軍基地建設を憂(うれ)う宇川有志の会」事務局長の永井友昭さん(56)は心配する。
http://www.asahi.com/articles/DA3S11137752.html
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