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田原総一朗:「保守原理主義」に対する違和感
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20140515-00000000-fukkou-bus_all
nikkei BPnet 5月15日(木)8時47分配信
月刊誌「文藝春秋」6月号が「安倍総理の『保守』を問う」と題した特集を組んでいる。その特集に連動して、フリージャーナリストの上杉隆氏によるインタビュー「時代を刺激する論客八人の本音」が掲載されているが、これがなかなか興味深い。
■あるリアリティーを持って語る保守
インタビューの相手は、田母神俊雄(元航空幕僚長)萩生田光一(自民党総裁特別補佐・衆議院議員)、水島総(日本文化チャンネル桜社長)、小林よしのり(漫画家)、岡崎久彦(外交評論家)、前原誠司(民主党衆議院議員)、櫻井よしこ(ジャーナリスト)、石原慎太郎(日本維新の会共同代表・作家)の8氏。岡崎さんと前原さんは少し違うが、ほかの6人に共通しているのは安倍晋三首相が言う「戦後レジームからの脱却」を強く主張していることである。
もし3年前にこうした主張をすれば「三百代言の右翼」とも言われかねなかっただろうが、8人は今、あるリアリティーを持って語っているのが興味深い点である。
今年で戦後69年になるが、自民党結党の1955年以来、細川連立政権の約8カ月と民主党政権の約3年を除き、自民党政権がずっと続いてきた。その自民党政治からの脱却を、保守が主張しているのである。時代の変化が見られる象徴だろう。
■「平和に対する罪」の責任をなすりつけられたという主張
保守の論客に共通するテーマは次の4点に集約されるだろう。
一つは憲法改正。石原さんは現行憲法を破棄すべきと主張する。
二つ目は、靖国神社への参拝。
三つ目は、核兵器の保有もしくはその可能性。
四つ目が、対米従属からの脱却。
そもそも「東京裁判は間違いである」というのが保守の主張だ。A級戦犯に「平和に対する罪(Crime against peace)」の責任をなすりつけたのはとんでもない、という。
現行憲法については、日本を弱体化するために押し付けられた憲法だとする。戦後に弱体化された日本は米国に従属せざるを得なかった。しかし、そこから脱却して日本は自立すべきであり、自立するためには当然、核兵器を持つべきだ。このような論理である。
私は戦争を経験した最後の世代だが、戦争を知る世代にとって「戦争はいけない。もう二度としたくない」という気持ちが何よりも強い。だが、岡崎さんや石原さんを除いて戦争を知らない世代にとっては、戦争は一つの出来事に過ぎない。その違いがあるように思える。
国権の発動としての武力行使を永遠に放棄した、つまり戦争ができない現行憲法は、私たちのような世代から見ると、それほど悪くないのだ。
かつての大日本帝国憲法(明治憲法)は天皇に主権があった。現行憲法は「主権在民」とし、表現の自由、集会や結社の自由、言論の自由、信教の自由などを認め、基本的人権、男女同権などを盛り込んだ素晴らしい憲法である。
■国連や日本の独立そのものに疑問を持つことに
ただ、第9条2項の「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない」との規定と自衛隊の存在は矛盾するなど、現行憲法にも問題はある。
しかし、1951年にサンフランシスコ平和条約が締結され、東京裁判を全面的に認めて日本は翌52年に独立した。東京裁判を否定すれば日本の独立から見直さなければならなくなる。
戦後体制は国際連合によって維持されているが、実は国際連合の常任理事国である米国、イギリス、フランス、中国、ロシアはいずれも戦勝国である。そういう意味では、今も世界は戦後体制といえるのだ。
「戦後レジームからの脱却」となれば、国連そのものに対しても疑問を持たなければならないし、日本の独立そのものに対しても疑問を持たねばならない。果たして、それはできるのだろうか。
対米従属についてはどうか。第一次世界大戦後、連合軍がドイツに非常に厳しい措置を行ったためにナチスを生んでしまった。それを踏まえ、第二次世界大戦後は、日本に甘い措置をし、特に東西冷戦が始まってからは日本を共産主義に対する橋頭堡として位置付け、米国は日本に技術をどんどん提供し、お金も貸してくれた。それによって日本は高度経済成長を遂げてきた。
対米従属というが、米国と組んだおかげで日本は戦後復興を成し遂げ、経済大国として地位を築いたのである。
■自立は「孤立」につながることもある
日本は対米従属をやめて自立せよというが、私のような世代から見れば、自立ではなく「孤立」することになるのではないかと懸念する。自立という言葉の響きはいいが、それは孤立にもつながる。
アジア・太平洋戦争は孤立した戦争だった。米国やイギリス、オランダなどの大国を相手に戦って勝てるわけがない。誰も勝てるとは思っていなかった。だから私たち戦争を知る世代は、何よりも「孤立してはいけない」と思うのだ。
私は、アジア・太平洋戦争が必ずしも日本の一方的な侵略戦争だとは思っていない。米国やイギリス、オランダなどがアジア・太平洋へ侵略していたのだから、侵略国同士の世界戦争であり、その戦争に日本は負けたのだ。戦争に勝った国が負けた国を罰するのは当然である。
日本の戦後レジーム(戦後体制)をつくったのは米国と昭和天皇であると私は思っている。昭和天皇も平成天皇も護憲主義である。両陛下とも靖国神社には参拝しない。
■「保守原理主義」の台頭
インタビューされた論客たちの主張にはリアリティーがあるが、なかには「保守原理主義」も感じられる。しかし、保守が原理主義であってはいけない。伝統を重んじつつ、世界の中でどうすれば日本はうまくいくかを、現実に合わせて考えるのが保守の姿勢であろう。
保守にリアリティーを感じるようになった一つの要因として、米国の変化が挙げられる。オバマ大統領は昨年9月、シリアに軍事介入しない理由について、「米国は世界の警察官ではない」と演説のなかで明言した。米国の力が相対的に低下し、世界は確実に変化しているのだ。その一方で、経済力をつけてきた中国は軍事力を強化して大国としての存在感を強めている。
日本はどうすればよいのか。日本も変わらなければならないのは確かだ。しかし、絶対にアジア、そして世界から孤立してはいけない。
共産主義の思想にもとづく左翼原理主義には、私はうんざりしている。それに対して、保守という名のもとに、保守原理主義なるものが登場してきた。これにはリアリティーがあるが、危ないと思わざるを得ないのである。
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