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「グレーゾーン事態」先行論 集団的自衛権「閣議決定」の誘い水
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2014年5月9日 東京新聞:こちら特報部 俺的メモあれこれ
集団的自衛権の行使容認をめぐる議論で、有事と平時の間の「グレーゾーン事態」に対処するための法整備を先行させる案が、政府・自民党内に浮上している。一見、公明党に配慮するかのようだが、だまされてはいけない。集団的自衛権の行使容認で、公明党の同意を得るための誘い水でしかない。秋の臨時国会までの閣議決定を目指していることに変わりはない。(上田千秋、白名正和)
◆「尖閣」トラブルなど想定
「いっぺんに全部はできない。集団的自衛権以外でも詰めないといけない論点はいっぱいある」。自民党の石破茂幹事長は7日、公明党幹部との会談後に記者団にこう述べた。グレーゾーン事態に対処するための関連法案の整備を、集団的自衛権の行使を可能にする関連法に先行させる可能性に言及したものだ。菅義偉官房長官も同日の記者会見で、「そういうこともあり得るのではないか」と述べ、理解を示した。
グレーゾーン事態とは、何なのか。おおまかに言えば、外部から武力攻撃を受けたり、その危険性が差し迫っている「有事」と、「平時」の間の「どちらとも言えない状態」を指す。武力攻撃までには至らない一歩手前の侵害行為とも言える。
現行の法体系では、明らかな武力攻撃を受け有事と判断されると、自衛隊の出動が可能になり、防衛に必要な武力行使もできる。一方で、そこまでに至らない場合は基本的に海上保安庁や警察が対応に当たることになる。
専守防衛を基本としている自衛隊は、自衛隊法などでその行動が厳しく制限されているからだ。
政府が、グレーゾーン事態として具体的に想定しているのは、沖縄県・尖閣諸島をめぐる紛争だ。
例えば、中国政府の意をくんだ何者かが、武装し漁民を装うなどして尖閣諸島に上陸、占拠したとする。武装しているかどうかや武力攻撃を仕掛けてくるかどうかはその段階では分からない。まず、海上保安庁や警察が出動することになる。
中国の船や潜水艦が日本の領海内に侵入し、退去要請に応じずに航行を続けるケースも考えられる。その場合でも、現行法では装備が不十分な海保と警察で対応するしかない。
警察力では治安維持ができない場合の「「治安出動」や、海保では対応ができない場合の「海上整備行動」として、自衛隊を出動させることもできるが、決定までに時間がかかる。武器使用も正当防衛か、緊急避難の場合にしか認められない。
政府・自民党は、グレーゾーン事態の際にも有事と同じように自衛隊を出動できるようにし、武器使用も認める法整備を進めようとしている。
安倍晋三首相の私的諮問機関「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(座長・柳井俊二元駐米大使、安保法制懇)が近くまとめる報告書でも、集団的自衛権の行使容認などとともに、このグレーゾーン事態への対処の必要性が盛り込まれる見通しだ。
◆政府・自民 見せかけの譲歩
ここにきて、グレーゾーン事態に対処するための法整備を先行させる案が、急浮上しているのは、なぜか。
集団的自衛権の行使容認について、連立与党の公明党は慎重な姿勢を崩していない。その公明党を与党協議に引き込みたいという狙いがある。
グレーゾーン事態に対処する法整備は、個別的自衛権の範囲にあり、改憲や解釈変更の必要はないという見方が強い。このため、集団的自衛権の議論に比べ、公明党が乗りやすいとみているのだ。実際、公明党の漆原良夫国対委員長は「一つのアプローチの仕方として乗れる話ではないか。その方が結論が出やすい」と述べている。
安倍首相は当初、集団的自衛権の行使容認について、6月22日に会期末を迎える今国会中に閣議決定することに意欲を示していた。ところが、安倍首相は4日、「時期ありきではない。与党で一致していくことが重要で、場合によっては時間を要することもある」と述べ、与党協議を尊重する考えを強調した。菅官房長官も時期について「特別にこだわらない。まず、与党間で理解をいただくことが大事」と述べた。
閣議決定の時期を先送りし、公明党に配慮したかのように見える。
政治評論家の森田実氏は「政権の狙いは一貫して変わっていない。公明党を細かな論議に持ち込んで、どんなに限られた形でも良いから集団的自衛権を認めさせようと必死になっている」とみる。
今国会中は見送ったとしても、秋の臨時国会までに閣議決定に踏み切るという方針に変わりはない。日米首脳会談で、オバマ大統領に、「尖閣諸島は日米安保条約第5条の適用対象となる」と明言させた。集団的自衛権の行使容認に向けた検討にも支持を取り付けたとする。年末に控えた米国との間の防衛協力のための指針(ガイドライン)改定で集団的自衛権行使を反映させたいのだ。
もし、閣議決定を大幅に遅らせるような事態になれば、安倍首相の求心力が大きく低下することにもなりかねない。景気動向などによっては、政治状況が大きく変わることもあり得る。高い支持率を維持している間に、閣議決定したいというのが本音だ。
森田氏は「そこで、今回のグレーゾーンの協議だ。関連法案の議論の中で、集団的自衛権の行使容認につながる言葉を引き出す狙いがあるのだろう。公明党に配慮したと見せ掛けて、得意の『解釈』で集団的自衛権の行使容認を既成事実化するつもりではないか」。
軍事ジャーナリストの前田哲男氏は、グレーゾーンとして例示されている離島占拠などの事態は「考えにくい」とする。海保は多くの船で、尖閣諸島周辺を警備している。領海内を中国船が航行することはあるが、エスカレートするような予兆はないという。「武装した漁民が乗り込み占拠するような行為は、海賊と同じ。統治能力を疑われ、国際的に非難される」
前田氏は、安倍政権が、グレーゾーン事態にこだわる理由は、自衛隊の出動基準のハードルを下げ、動きやすくすることだとみる。「集団的自衛権の行使容認とは直接関係はないように見えるが、実は連携している」
森田氏は、公明党に活を入れる。「長く政権の座にあった自民党は駆け引きにたけている。公明党は必死に粘り抜かないといけない。集団的自衛権の行使を少しでも認めたら、党はバラバラに瓦解(がかい)してしまうだろう」
[デスクメモ]
特定秘密保護法、教育委員会改革、武器輸出禁止原則…。安倍政権のブレーキ役を自任していた公明党は、その期待をことごとく裏切ってきた。集団的自衛権の行使まで認めてしまったら、もはや存在意義などなくなる。平和の党が看板だったはず。ここは、「ガンバレ」とエールを送っておきたい。(国)
2014年5月9日 東京新聞:こちら特報部
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2014050902000145.html
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