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中国・韓国に「親しみを感じない」という人が増えている
日本人の右傾化はどこまで進むのか
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20140508-00012469-president-bus_all
プレジデント 5月8日(木)8時45分配信
■8割は中国に対して「親しみを感じない」
右傾化、してますか?
「右傾化している」とメディアで評論される機会が増えたのは間違いありませんが、一人ひとりを指差して「あなた、右傾化していますね? 」と問われれば、「いいえ、私は違いますよ」と答える人は多いでしょう。
例えば、2014年2月の都知事選。巷では、その経歴や発言内容から「ネトウヨ(ネット右翼)候補」と揶揄されもした元航空自衛隊幕僚長の田母神俊雄氏が、61万票を獲得し4位となりました。出口調査では若い世代からの得票が多かったことから、「若い世代の右傾化が深刻だ」という一見もっともらしい選挙分析が出ました。実際には20代、30代の投票率は低く、彼らの得票を最も集めたのは当選した舛添要一氏であり、むしろ全体の傾向としては「田母神氏の主張した過激な極右的政策は必ずしも国民に浸透しておらず、当落線上ですらない61万票程度しか確保できなかった」という内容になるはずなのですが。
しかし、日本の社会風土に閉鎖的な側面を感じるという論調は、理解もできます。政府は少子高齢化による労働力不足への対策として、かねてより移民政策を検討していますが、04年の内閣府の世論調査では「(外国人労働者の)受入れについて積極的に考えていく」と回答したのは全体の15%程度でした(※1)。アジア圏においては、2013年11月に内閣府が発表した調査で、中国に対して「親しみを感じない」とする層はついに80%を突破。韓国に対しても58%と6割に迫る勢いです。
対中国、対韓国の感情悪化が、右傾化という印象に結びついているとも言えます。また、脱米・親中韓という左派的な傾向があった民主党政権が成果を出せずに瓦解したことにより、その反動として、自民党・安倍晋三政権のやや右派的な言動に期待が集まって、いまなお50%後半の支持率を集めていることが、「日本社会が右寄りに舵を切っている」という議論が持て囃される背景となっています。
それでも、より右派としての姿勢を前面に出した田母神氏が支持を広げられず完敗したことを考えると、それは大げさな「右傾化」というよりは、もっと現実的な「保守的態度の浸透」と呼んだほうが、実態を正確に表しているのではないかと考えられます。
本来、本当に我が国が右傾化、民族主義化しているのだとするならば、日本人の自主独立を模索して反米的な言動も同時に高まり、また国内で頻発していた在日韓国人バッシングに対する支持がもっと広がっていてもおかしくありません。が、実態はアメリカに対して親しみを感じる日本人は依然として8割を超え、「在特会」のように民族差別的な言動を行う団体への支持率はほぼゼロで誤差の範囲内です。日本国内で中国大使館や韓国大使館に対して大きなデモが張られたことはありません。こうした事実を、海外のナショナリズムの問題と比較すると違った光景が見えてきます。
今年3月に台湾で発生した学生のデモは、まさに大規模な右傾化です。中国との貿易協定締結の強行に反発する台湾の若者たちが、次々とデモに身を投じました。彼らは動画サイトなどを通じて、一連の密室協定は台湾を中国に同化させ、チベットや新疆(しんきょう)ウイグル自治区のような中国の外縁の一部に組み込まれかねないものだと主張。メディアの推計では35万〜40万人、学生らの発表では50万人が総統府前に集まり、一時は日本での国会議事堂にあたる立法院までもが占拠されました。
こうしたナショナリズム的な右傾化の動きは各国に見られ、その背景には移民政策の失敗や地政学的なジレンマがあります。ドイツでは2010年、メルケル首相が「多文化主義は完全に失敗した」という演説を行い、トルコからの移民の制限を決めました(※2)。デンマークでは12年に、反イスラムの大規模デモが暴徒化し、警官隊と衝突。スウェーデンでは外国人排斥を訴える極右集団とそれに反対するグループの間で緊張が高まり、たびたび負傷者や逮捕者が出ています。右傾化による同胞意識が具体的なデモを呼び、社会に混乱が発生するというのは、いまや世界的なトレンドになっています。
■合理的な思考による「危機意識の現れ」
むしろ、我が国で外国人排斥やTPP反対を訴える大規模なデモや国民運動へと発展しないのは、「右傾化が進んでいる」と喧伝されながらも、さほどの火種が国内にないということの証左です。「日本が右傾化している」という言論の底流を紐解いてみると、結局は朝日新聞・毎日新聞的な社会観で議題設定されているものの、それほどの共感を得ることなく「右傾化」という言葉だけが独り歩きし危機意識として叫ばれている状態に他なりません。
日本国民がナショナリズムを強く感じさせる事案ははっきりしています。尖閣諸島や竹島といった領土を巡る争いです。これらの当事国である中国や韓国に対して極めて鋭い反発を日本人が感じるのは、冒頭で例示した中国や韓国に親しみを感じない日本人が激増した原因に繋がります。当然と言えば当然なのですが、2004年のテレビドラマ『冬のソナタ』の大ヒットから10年ぐらいまで続いた韓流ブームや、1990年代後半からの中国大陸への日本企業の進出ラッシュで日中間の経済関係の劇的な良化で極めて魅力的な経済上の互恵関係にありました。つい最近まで友好的な流れであったことも併せて指摘しなければなりません。
これらの問題を敷衍して考えると、いま日本社会が抱える右傾化という命題は、単に内向きで民族主義的だという観点からの発想ではなく、むしろ国内経済や世界政治の中で日本人が精神の根底に宿した危機意識の現れであり、防衛本能に依拠していると考えられます。つまり、右傾化といっても誰でも彼でも排斥するのではなく、アメリカや台湾、もしくはフィリピン、ベトナムなどのASEAN諸国は友人として迎え入れる。領土問題を抱えるロシアに対しては、関係改善の目処が立つようであればパートナーとして考える。ただし反日的な態度を隠さない中国、韓国に対しては強い反発心を持つ。そうした合理的選択の結果としての「保守的態度の浸透」とも分析されます。
それらは、一面では日本社会への閉塞感に対する現実逃避の側面を持ちつつ、また一面ではいまの日本社会の現実を一人ひとりが受け止めてより良い状態にしたいと考えた結果、そのような態度を取る日本人が徐々に増えてきた、といえるでしょう。
領土問題や歴史認識といった難題を周辺国からふっかけられ、反日的な教育や国際的な反日プロパガンダを継続して行ってきた中国や韓国に対して、いままで我慢してきた日本人がついに堪忍袋の緒を切らせつつあるというリアクションが右傾化の正体とも言えます。日本にネガティブな活動をしない外国人には、日本人は反発していないのです。むしろ台湾の騒動など社会不安を良く見て対外的にどう働きかけるかが重要になっているのです。
突き詰めれば、中国の飛躍的成長が一種の膨張戦略を惹起し、アジアの地域覇権を狙い新しい秩序の構築に突き進む中で新たな米中対立の枠組みが発生しており、その対立の最前線に我が国はあるのだ、ということです。長き冷戦で旧ソ連と隣接した日本は、東西対立の緊張関係の最先端にいました。一連の右傾化現象というのは本来語るべき本質ではなく、引き続き旧秩序を護持するアメリカ側で繁栄を続けたい日本と、新秩序を打ちたてアジア全体を勢力下に納めたい中国との利害対立という大きな環境変化に見舞われて、日本人が肌感覚で生き残りを図ろうと模索した結果なのだ、とも言えます。
だからこそ、冒頭の問いのように、大多数の日本人に「あなたは右傾化していますか? 」と聴いても否定の回答が返ってくるのは、現実に対する合理的な思考の結果、日本人の心に反中的、反韓的態度が広がり、それを右傾化だ、軍国主義の復活だと喧伝する人たちがいるだけの話でしょう。ほとんどの日本人は、日本の領土は日本のものであり、国がしっかり守るべきだという考えしか持っていないでしょうから。
※1:内閣府「外国人労働者の受入れに関する世論調査」(2004年)より抜粋。
※2:ドイツのメルケル首相は2010年10月16日、与党キリスト教民主同盟(CDU)の青年部会議で、「『さあ、多文化社会を推進し、共存、共栄しよう』と唱えるやり方は完全に失敗した」と発言し、欧米のメディアはその発言を広く報じた。
答える人=山本一郎(評論家)
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