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人口 50年後に1億人維持
政府が初の目標、少子化に対応 予算、子育て世代に
政府が「50年後(2060年代)に人口1億人程度を維持する」との中長期の国家目標を設けることが3日明らかになった。日本の人口はこのままでは60年に約8600万人まで減る見通しのため、20年ごろまでに集中的に対策を進め、人口減少に歯止めをかける。高齢者に手厚い予算配分を現役の子育て世代に移し、経済・社会改革を進められるかが課題になる。
政府が人口維持の明確な目標を打ち出すのは初めて。人口減は成長や財政、社会保障の持続に多大な悪影響を与えると判断。国を挙げて抜本対策をとるため、目標の提示に踏み切る。政府の経済財政諮問会議の下に置いた「選択する未来」委員会(会長・三村明夫日本商工会議所会頭)が5月中旬に中間報告として諮問会議に提言する。6月にまとめる経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)に盛り込む。
提言は日本経済の課題に「人口急減と超高齢化」を挙げ、50年後に人口1億人を維持することを目標に掲げる。1人の女性が生涯に産む子供の数を示す合計特殊出生率は12年で1.41。60年に同2.07以上に引き上げ、人口1億545万人程度にすることを目指す。
出生率の改善のため、国費ベースで3兆円規模の出産・子育て支援の倍増を目指す。「資源配分は高齢者から子どもへ大胆に移す」「費用は現在世代で負担」と明記し、国債発行を前提に高齢者に厚く配分している社会保障予算を見直す考え。
労働力人口の減少に備え「年齢、性別に関わらず働ける制度を構築する」として女性や高齢者の労働参加も進める。出産・育児と仕事を両立させ、働く高齢者を後押しする政策を今後検討する。
労働力に関する現行の統計とは別に新たな指標もつくる。20歳以上70歳未満を「新生産年齢人口」と定義し、雇用制度などの社会保障政策を設計していく考えを示す。
経済改革では「ヒト、モノ、カネ、情報が集積する経済を目指す」と指摘。「起業・廃業の新陳代謝で産業の若返りを進める」として産業構造の変更を迫る大胆な規制改革の必要性を打ち出す。外国人材の活用に関しては「移民政策としてではなく、外国人材を戦略的に受け入れる」とする。
人口減少で約1800の地方自治体は「40年に523が消滅する可能性が高い」と指摘。市町村の「集約・活性化」を掲げ、東京圏への一極集中も抑制するとしている。
「20年ごろを節目に経済社会システムを大きく変える」と明記。一連の改革は今後5年程度で集中的に具体策を検討し、実施する方針を示す。
提言は13年に1億2730万人の人口がこのままでは60年に8674万人になると推計。経済・社会の抜本改革をしなければ、国際的な地位や国民生活の水準が低下し、財政破綻を招くと警鐘を鳴らしている。
人口1億人維持に向けた主な論点
○高齢者に手厚い予算・税制を改められるか
○子育てと就労の両立促進
○雇用・医療などの規制緩和は進むか
○外国人を積極活用できるか
[日経新聞5月4日朝刊P.1]
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経済制約に危機感 人口維持 政策設計の土台に
政府が1億人の人口を維持するとの目標を作るのは、少子高齢化と人口減が日本経済の制約になっているとの危機感が強まっているためだ。
日本の総人口は2008年をピークに減少に転じた。だが、子どもを産むかは個人が決めるべき問題との意見が根強く、人口目標の議論は宙に浮いていた。人口減を放置すれば日本の生産年齢人口は60年に4割以上減り、約4400万人になる。現役世代との助け合いを前提とする社会保障制度の維持が難しくなり、地方の荒廃も進むとの見方が強まった。
今回の提言は、日本の政策設計の土台となる長期目標を具体的に示した点では前進している。だが、国の財政事情は主要国でも突出して悪化しており、目標実現には痛みを伴う改革が必要だ。
例えば子育て支援予算の倍増構想。出生率が2.00と高いフランスでは、児童手当や保育サービスなどに対する支出は国内総生産(GDP)比で日本の3倍になる。
民主党政権が目指した子ども手当は2兆円を超す巨額の資金が必要で、財政難から中途半端なまま終わった。経済財政諮問会議では第3子以降の給付を手厚くする議論もあるが、年100万円の給付には3兆円の財源が必要になる。
高齢化が進む中、年金や医療・介護の支出は増え続ける。財政を維持するには消費増税と歳出抑制を同時に進めなければならない。
政府の新目標では70歳までを働く世代と定義しており、年金支給年齢の引き上げも選択肢に浮上する。だが、現段階で企業は60〜65歳の高齢者雇用をようやく進めた段階だ。無理に進めれば企業経営へ負担が強まってしまう。
足元の人手不足で急浮上する外国人労働者の受け入れも焦点だ。介護分野の人材受け入れがうまく進まないなかで、建設業で「技能実習制度」の活用拡大が決まった。世界各国が競う優秀な高度人材の受け入れも、主要国と比べ停滞気味だ。
与党内の反発に配慮し今回の提言では移民の導入を見送ったが、一定の移民を受け入れて、日本の活力を高めるべきだとの見方もある。
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[きょうのことば]日本の人口 働き手は50年後に半減
▽…日本の人口は江戸幕府が成立した1603年に1227万人。江戸時代を通じて緩やかに増加し、明治時代以降、増加のペースが急激になった。明治維新のころの1868年に3330万人だった人口は、第2次世界大戦が終わった1945年に7199万人と100年弱で倍増。戦後2度のベビーブームなどを経て2008年に1億2808万人のピークを迎えた。
▽…厚生労働省の国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、人口は48年に1億人を割り込み、60年には8674万人まで落ち込む。全体の人口が減る中で少子高齢化が進み、65歳以上が人口に占める割合は10年の23%から60年には40%弱まで上昇する。一方で、働き手となる15〜64歳の生産年齢人口は10年の8173万人から60年には4418万人とほぼ半減するという。
▽…日本経済の巡航速度にあたる潜在成長率は設備投資などの「資本投入」、技術進歩などによる「生産性」、労働力人口に左右される「労働投入」の3要素で決まる。高度成長期には労働投入の増加が成長をけん引したが、足元では労働力人口の減少が成長を下押ししている。少子高齢化が進んだ結果、現役世代との助け合いを前提とする現在の社会保障制度の維持も難しくなっている。
[日経新聞5月4日朝刊P.3]
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