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日経新聞は、「第1次安倍内閣では「政府が発見した資料の中には、軍や官憲による強制連行を直接示す記述は見当たらなかった」との政府答弁書を閣議決定」と書いているが、それは93年の「河野談話」と同時に出された資料に基づく判断を踏襲したものであり、安倍内閣が独自に示した新しい判断というわけではない。
日経新聞自身が当該記事の末尾で、「▼河野談話 宮沢内閣時代の1993年、河野洋平官房長官が戦時中の従軍慰安婦問題に関し政府の調査をもとに発表した談話。慰安所の設置・管理や慰安婦の移送について旧日本軍の関与を認め、元慰安婦に「心からのおわびと反省の気持ち」を表明した」とあるように、「河野談話」は、朝鮮半島での慰安婦募集について、旧日本軍が関与するかたちでの強制連行があったとは説明していない。
日経新聞記者の頭がおかしいのか、そう説明している政府官僚の頭がおかしいのかはわからないが、「談話作成時に韓国政府とも調整し、一定の情報を共有していたことも示せれば、4月から始まった日韓局長級協議を前進させる材料になるとみている」というバカなことを言っている限り問題は終息しない。
仮に、日韓で裏交渉があったにしても、裏の話はあくまで裏であり、それを表に出して譲歩を迫るという手法は、相手も受け入れないし、日本政府としてもみっともない態度であり、表に出したことで交渉のネタにもならなくなってしまった。
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河野談話検証、6月に報告書
「慰安婦」問題、韓国との調整明記 日韓協議進展を後押し
政府は韓国との最大の懸案である従軍慰安婦問題をめぐり、旧日本軍の関与を認めた1993年の河野洋平官房長官の談話の検証結果を6月にまとめる方針を固めた。連休明けに有識者の検証チームを立ち上げる。談話は見直さない。談話作成にあたり当時の韓国政府とも擦り合わせた事実を示すことで、日韓の政府間協議を後押しし、関係修復につなげたい考えだ。
有識者の検証チームは菅義偉官房長官のもとにつくり、タカ派色を薄めるために女性や人権派弁護士らを加える。6月22日が会期末の今国会中に検証を終える方針だ。
河野長官のもとで談話の作成にかかわった石原信雄元官房副長官や谷野作太郎元内閣外政審議室長らから経緯を聴く。文言調整の際に(1)韓国政府とどのような擦り合わせがあったのか(2)韓国側からどのような要望を受け入れたか(3)日韓間でどのような共通認識があったか――などを検証する。
談話は見直さず
一方、元慰安婦からの再度の聞きとりはせず、談話の根拠となった証言の信ぴょう性には踏み込まない。国際社会から「歴史修正主義」と見なされるのを避けるためだ。政府関係者は「検証(review)は歴史の修正を連想させるため、対外的には再検討・再評価(reevaluation)という言葉を使う」と明かす。
第1次安倍内閣では「政府が発見した資料の中には、軍や官憲による強制連行を直接示す記述は見当たらなかった」との政府答弁書を閣議決定した。だが、首相は韓国にも配慮し「安倍内閣で談話を見直すことは考えていない」と明言している。慰安婦問題への旧日本軍の関与を認めた談話の本質は変えない方針だ。
慰安婦問題をめぐる両国の主張の開きは法的責任のあり方などを中心に大きい。韓国はまず日本が行動するよう求めている。政府は河野談話の維持で韓国の抱く安倍政権への警戒心をやわらげたい考え。さらに談話作成時に韓国政府とも調整し、一定の情報を共有していたことも示せれば、4月から始まった日韓局長級協議を前進させる材料になるとみている。
国会要請で公表
検証の報告書は国会の求めがあれば公表する。懸念もある。もともと検証を始めるきっかけは、日本維新の会の国会質問だった。韓国政府の関与を認定した場合、保守色の強い維新や自民党の一部勢力から談話そのものの見直しを迫る声が出かねない。日本側の検証結果を受けた韓国世論の反応も不透明さが残る。
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河野談話とは
▼河野談話 宮沢内閣時代の1993年、河野洋平官房長官が戦時中の従軍慰安婦問題に関し政府の調査をもとに発表した談話。慰安所の設置・管理や慰安婦の移送について旧日本軍の関与を認め、元慰安婦に「心からのおわびと反省の気持ち」を表明した。
安倍晋三首相は2012年の自民党総裁選時に「河野談話の核心をなす強制連行を証明する資料はなかった。新たな談話を出すべきだ」と見直しに意欲を示していた。
[日経新聞5月4日朝刊P.2]
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