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2014年05月05日 「ジャーナリスト同盟」通信
<戦争遺児・影山友子を追い詰めた真犯人>
自立した戦争遺児・影山友子の最後の小さな夢を追い詰めた真犯人は、一体誰なのか。このことについて多くの識者もわからないようだ。戦後教育である。思いやり教育のない文教政策にある。子供たちを、頭でっかちの自己中心に育て上げた日本の教育に最大の欠陥がある。その本当の被害者は、戦後教育を受けた日本人全てなのである。
<日本人の最大の弱点>
日本人の弱点を率直に披歴してくれた人物は、中国外交部の肖向前である。
戦前に日本留学、祖国の革命に目覚めて地下運動にはいった。新中国の誕生後、周恩来のもとで対日政策を担当した彼は、日本の為政者の多くと交流をもった第一人者で知られる。特に中曽根康弘とは深く交わった。
中曽根の軍国主義体質を薄めるため、中曽根の要請を受け入れて周恩来との会見をセットしたりした間柄である。ところが、中曽根は政権を担当すると、中国がもっとも反対する靖国神社参拝を強行して、中国の友人を裏切った。
彼が本心から中曽根を忌み嫌った理由である。中曽根こそ思いやりがひとかけらもない政治屋だった。
「日本人の思いやりのなさは、最大の弱点である」と筆者にだけこっそりと伝えた。このことを多くの政治屋・官僚は認識していない。
<思いやり教育を排除した戦後教育>
そこでは隣人との信頼と友情がはぐくまれない。今の安倍晋三はその典型である。今時、皇国史観が通用するわけもない。それでも、安倍は自説を曲げない。国家主義者の共通点である。
人間の品性は、思いやりの有無で決まる。思いやりのない人間は、時間が経過すると、化けの皮がはがれる。「目的のために手段を選ばない」という左右両極の人間・組織にも共通する。
戦後教育に、この思いやり教育がない。これを寛容といってもいい。大らかさとも言える。相手の立場を考えない自己中心主義がその特徴である。
<近現代史を教えなかった文教政策>
相手の立場への配慮不足が、近現代史を教えなかった戦後教育に現れるのである。日本に都合の悪い近現代史に蓋をして、子供たちを社会に送り出してきた。安倍もその被害者の一人なのかもしれない。
近現代史を知らない、すなわち日本の侵略戦争を知らない日本人は、右翼の罠に簡単に引っかかるだろう。これでは隣人と仲良く交流できない。信頼関係の構築は容易ではない。国際人になれない日本人だ。
<自己中心の子供に支配される親たち>
自己中心の日本人の子供たちに親たちが支配されるという、逆転現象が起こるだろう。子供が親を殺害するという事例は、今では珍しいことではない。
親の幸せを第一に考える子供は少なくなっている。簡単に施設に送り込む子供たちが、施設を繁盛させ、福祉予算を拡大させている。
親孝行という概念は古臭い倫理観として、軽視されている。
最近、亡くなった作家の渡辺淳一は「日本はしきたりや決まりに縛られ過ぎている。愛に誠実に生きることがもっとも重要である。短い人生なのだから」と指摘しているが、戦争遺児に当てはまる。だが、思いやり教育のない子供たちにピンとこないのだ。
ズバリ家庭悲劇の元凶は、思いやりのなさにあるのである。影山家の子供たちに限らないのだろう。親の小さな幸せを理解しようとしなかった。
<中国外交部の知日派の指摘>
ひるがえって日本の政治屋もその典型である。あれほどの残虐な隣人への仕打ちをしていながら、戦争神社への参拝を繰り返す。ドイツでは考えられないだろう。戦争遺児も怒った。
従軍慰安婦は韓国人・朝鮮人に限らない。中国人もソ連人・オランダ人も、である。それを当然視する安倍の仲間、NHK会長である。安倍世論操作のためにNHKに送り込まれた三井の番頭である。
肖向前は「日本の為政者の暴言が続けば続くほど、中国では次々と新たな問題が表面化する」と断言したが、いまはそれが裏付けられている。
<例外は大平正芳>
肖向前が一人だけ日本の政治家を最大級でもって評価した。それは大平正芳である。「大平先生はまことの思いやりのある国際的政治家だった」と何度も筆者に語って聞かせた。
大平の足跡を知らない日本人も多い。簡単に説明すると、大平は日中国交回復を実現するために、池田内閣で官房長官・外務大臣をする過程で、水面下で推進に努めた。
その成果を得るために、田中内閣を誕生させて、自ら外務大臣に就任、一気呵成に正常化を果たした。自ら首相になると、ODAを適用する政治決断をした。ケ小平の改革開放政策は、この大平ODAで開花した。
<影山友子もあと30年生きられた!>
日本に思いやり文化が定着していれば、安倍内閣の暴走はなかった。隣人との友好関係は構築できた。同じく戦争遺児・影山友子も、子供たちの思いやりに浴していれば、あと30年生きられたのだ。平和の使徒として。
2014年5月5日20時30分記
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