http://www.asyura2.com/14/senkyo164/msg/772.html
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http://shimotazawa.cocolog-wbs.com/akebi/2014/04/post-2b78.html
2014年4月29日
4月27日の記事『猪瀬前都知事の失脚は「国家戦略特区」+「東京メトロと都営地下鉄の一元化合併構想」が原因なのか!?』で、後で述べるような推測をあげておいた。
http://shimotazawa.cocolog-wbs.com/akebi/2014/04/post-d9d6.html
猪瀬前都知事の失脚に結び付いたのは、徳洲会側から5000万円を受け取ったことである。だが、これが「公選法・政治資金規正法」に抵触する典型的な旧型裏金(うらがね)疑惑なのかはまだ確定されていない。ただ、他の複数の議員にも徳洲会側から金が渡っていると言われている中で、猪瀬氏一人だけが標的になっている感は否めない。
河野ゆりえ東京都議は2013年12月5日の都議会代表質問で、5000万円の裏金疑惑について、徳洲会が「JCI(国際病院評価機構)認証」について、猪瀬氏が国に提出した「国家戦略特区」の提案書の病院一覧に、知事が2012年11月に徳田虎雄理事長(当時)と面会した病院を明記していることを指摘して、猪瀬都知事(当時)に鋭い突っ込みを入れている。
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-12-06/2013120615_01_1.html
つまり徳洲会の事業戦略の文脈で、JCIの認証取得支援は、「公選法・政治資金規正法違反」で、利害関係者からの利益供与にあたるのでは?と追及していたのである。ちなみに調べてみると、庶民にはなじみがないがJCI(国際病院評価機構)はJCQHC(病院機能評価)という国内の財団法人とは違い、グローバル医療に対応する病院評価機構である。
非常に分かりやすい利益供与の図式に見えるが、都内の病院がJCIに名を連ねることによって、格段の利益を見込めるのだろうか。たしかに東京を訪れる外国人や逗留する外国人には便利だと思うが、都民全体にくらべればその数は圧倒的に少ない。
国家戦略特区が発動して投資目的の外国企業が参入し関係者の医療受診は増えるだろうし、外国人も診ますよということになればステータスは上がるだろう。だがグローバル対応の認定病院となったからと言って収益率の急激な上昇が起こるとは思えない。双方危険を冒してまで裏金5000万円が動くだろうか。
猪瀬氏は自民党の税制調査会が推進する、法人住民税の一部を国税化して地方交付税に充当するというプランにイチャモンをつけたという。これで自民党、国税を所管する財務省、地方交付税を所管する総務省までも敵に回してしまったという。
出典http://matome.naver.jp/odai/2138529908675065301
もう1つ気になることは、徳田虎雄氏は息子の徳田毅(たけし)氏とともに確信的なTPP反対論者だったということだ。TPP反対論者の病院経営者がグローバル企業の日本襲来を当て込んで営業戦略を構築し、そのために都知事に裏金を出すものだろうか。
徳田毅氏はTPPにかんして次のように正論を述べている。(ウィキペディア)
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これまでの日米経済交渉では、オレンジ、米、自動車、半導体などひとつひとつで厳しい交渉をしてきた日本が、貿易、金融、保険、知的財産、政府調達、医療、教育など全ての分野において、米国が定める経済ルールを全て押し付けられ、我が国は主権国家であるにもかかわらず、何一つ決めることが出来なくなり、果として次世代の子供たちは日本の国創りが出来なくなるということが本当にわかっておられるのでしょうか。(徳田毅オフィシャルブログ2012年 11月12日より)
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猪瀬氏や徳田親子がどのような評判であろうともTPP反対論者であることは疑うべくもない。それはとりもなおさず国家戦略特区にも反対だということになる。TPPには反対して国家戦略特区には賛成するとしたら、それは論理矛盾である。
さて、そこでこんな推測をしてみた。
今後、国家戦略特区を主軸にして東京の行政を進めて行くうえで、猪瀬都知事がその総舵輪(そうだりん)を握って行く場合、米官業利権複合体には何か不都合なことがあるという判断があったのではないかと考えた。
猪瀬氏は道路公団の民営化などで小泉構造改革の重要な一端を担ったバリバリのネオリベラリスト(新自由主義者)である。だから、猪瀬氏が東京都の国家戦略特区、あるいはアジアヘッドクォーター特区を進めるに当たっては、一見うってつけのように思える。
だが猪瀬氏がTPPに内心では反対だった可能性があることと、安倍政権が打ち出した国家戦略特区に対しては乗り気ではなかったことが分かった。これはTPP参加が当然だと考えるエスタブリッシュメントのメインストリームにそわなかったのではないだろうか。どういう事情であれ、猪瀬氏がバリバリのTPP推進論者であったのなら徳田氏がお金を出すとは思えないのである。
前にも書いたが、安倍政権が2013年4月17日、産業競争力会議で初めて国家戦略特区(当時はアベノミクス特区と呼ばれていたようだが)を提出したとき、猪瀬氏はこれにかなり批判的であり、国家戦略特区よりも総合特区の方が優れているという意味のことを言い切っているのだ。
だから、猪瀬氏は特区には反対ではないが、政権側がプロットしている国家戦略特区とは大分様相の違うことを考えていた節がある。その具体的な構想は猪瀬氏に聞いてみないと分からないが、少なくとも彼の特区構想は、3・11大震災直後に出された『総合特区(国際戦略総合特区と地域活性化総合特区)』にフォーカスが合っていたように思う。
となると、ここで重要な視点が出てくる。米国コーポラティズムに阿諛追従(あゆついしょう)して、日本型コーポラティズムの形成を国政のメインストリームにしている連中は、猪瀬氏が都政のスタイルを総合特区で進めるのは困るという判断が下された可能性があるのだ。なぜなら彼らは特区とは言っているが、東京圏という巨大なエリアを、日本列島全体に波及する規制緩和のパイロット・エリアにすることが目的だからだ。
“特区”という言葉を使うと、いかにも試験的な狭い範囲という風にイメージが矮小化されてしまうが、その本質は日本経済の“外部化”なのである。経済の外部化とはアメリカ型経済構造への大転換であり、もっと言うならエッセンシャルな日本が消えてしまうことである。
さらに言うなら、国家戦略特区とはグローバル資本のための草刈り場をつくる地ならしなのである。前大田区議会議員の奈須りえさんは鋭い感受性で、これが“公平性の欠如と統治機構の崩壊”だとおっしゃっている。全くそのとおりだと思う。不思議なことは大多数の有識者にこの視点が欠落しているどころか、逆にイケイケどんどんに見えることである。
奈須りえさん、安倍芳裕さん、内田聖子さん、宇都宮健児さん、郭洋春さんなど、ほんの少数の意識の高い人たちを除いて、大方は国家戦略特区に違和感を抱いていないように見える。これはじつに恐ろしい現実だ。
このトレンド(傾向、変動、趨勢)に対して、猪瀬氏が突き進もうとしていた総合特区がなぜ拒否されたのか、あるいは効果が薄すぎると判断されたのかは、総合特区と国家戦略特区の根本的な違いにあるとみなすのが順当だろう。
そこで国家戦略特区は、国民生活や社会秩序の維持安寧(あんねい)にとって、よからぬ出力を発するという強い視点でこれを追及されている奈須りえさんの指摘を引用させていただく。奈須りえさんは小泉政権時の構造改革特区、菅政権時の総合特区、そして第二次安倍政権で打ち出された国家戦略特区の各々の違いを表を使って分かりやすく述べておられるので、是非ご覧になっていただきたい。
奈須りえさんの2014年2月1日の記事『都知事選挙でクローズアップされてきた「国家戦略特区」とは』
http://blogos.com/article/79346/
この記事にある欄を参照すると、構造改革特区、総合特区、国家戦略特区ではそれぞれに何が変わったのか、その変遷がよくわかる。
●国家戦略特区では他の特区と違い、事業の実施主体が地方自治体に加えて“民間業者”が入っている。
●「何をしたいか」という展望は、
1、構造改革特区では『国民生活の向上及び国民経済の発展』
2、総合特区では『国民経済の発展及び国民生活の向上』
※ここでは「国民生活の向上」と「国民経済の発展」の優先順位が逆転し、国民生活が後退している。より重要な注意点は、国家戦略特区には“国民生活”という発想そのものが皆無で、そもそも立法思想が百パーセント“企業のために”にだけに収斂している。
●分野では、他の特区では限定されていた分野数が国家戦略特区では「全ての分野」に拡張されている。これは向こう側の視点で見た、TPPでいうところの“全ての非関税障壁”なのである。
思うのだが、国家戦略特区はその名が示すとおり、国家が主導して民間事業者の利益最大化を奨励する政策である。民営化を大きな政府が主導することで、従来のフリードマン主義とは違うように見えるが実は同じなのである。何と言ったらよいのか、ケインズ政策の体裁でフリードマン主義が実行されるという、強力無比で摩訶不思議な世界が展開されることになる。それは国民にとって生き地獄となる。
新自由主義とは狙い撃ちした国の政府中枢を籠絡して民営化や規制緩和を推し進める体制であり、国家戦略特区はそれが堂々と表面化しただけである。国家戦略特区やTPPが打ち立てるものは、企業が人間の上に立って睥睨(へいげい)し、利潤の最大化だけを最高規範として目的化される世界である。
そこでは賃金低下や解雇の常態化のみではなく、人間に必要な生活環境や文化、公共空間が破壊されるのである。この状況はジョージ・オーウェルが描いた『1984年』のディストピアをはるかに超えるものである。日本国民が奈須りえさんの言葉に耳を傾けず、このまま受動的に流されてしまえば、奈須りえさんは絶望してツラトゥストラになってしまうだろう。
ツラトゥストラに変身した奈須さんが「日本は死んだ!」とこぶしを上げるようになったら、この国はいよいよおしまいなのである。
国家戦略特区が東京圏、関西圏の広域に指定されたことは、そこを拠点にして日本列島全体に同心円状に、さざ波のごとく、フラクタルに波及していくという、穏やかでやさしいイメージはない。実際は強力な同調圧力でドミノ倒しのように短時間で事が進んでいくだろう。
恐ろしいのはグローバル企業群が上陸してしまったら、間違いなくこの法制を後戻りさせることはできなくなる。そこへTPPが正式に締結されてしまったら、日本人の自主権は完全に損なわれる。
冗談ではなく、今の日本人は国家崩壊という歴史的な大事象に直面しつつあるのだ。
↓市民政策アナリストで国家戦略特区を追求されている前大田区議会議員 奈須りえさんのオフィシャル・ブログ
http://ameblo.jp/nasurie/
↓奈須りえさんの記事一覧
http://blogos.com/blogger/nasurie/article/
(国家戦略特区による「規制緩和」についても、市民の立場で専門的に発言されているが、市民有識者では類例がないのでは?)
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