http://www.asyura2.com/14/senkyo164/msg/769.html
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http://antitpp.at.webry.info/201206/article_9.html
ローリー・ワラック(2012.3.13 「TPPに反対する運動を進めるための円卓会議」にて)
「反対派はありもしないことを口走って、危機感を煽っているいるだけだ」こんな推進派からの言葉が消える日が近くなってきた。秘密裏に行われてきたTPP交渉の「投資」分野がリークされ、世界的な話題となっている。数十ページにも及ぶリーク文書の分析を、日本の反TPP運動がAPECホノルル以来コンタクトをとっている米国「パブリックシチズン」から入手し、「STOP TPP!! 市民アクション」と「TPPに反対する人々の運動」の翻訳グループが共同で日本語訳した。(翻訳:田所 剛、田中久雄 監修:廣内かおり)
2年以上にわたり極秘裏に行われてきたTPP(環太平洋経済連携協定)交渉だが、2012年6月12日、その投資の章が漏えいしウェブサイトhttp://tinyurl.com/TPPinvestmentに投稿された。 パブリックシチズンはこの資料が信頼に足るものであることを確認した。
漏えいした資料は、報道機関や一般市民、議員の監視がないまま進められている「通商」交渉がいかに危険であるか、警告を発している。この資料によると、交渉担当者は外国投資家に拡大した新しい権利や特権を認める数多くの過激な条件や、裁判外の「投資家対国家間」仲裁裁判所を通じて民間企業の法律執行に合意したことが明らかになった。
TPPは「通商」条約と位置付けられているが、自国で営業する外国企業に対して署名国の規制を制限し、国内企業以上に外国企業に権利を認めるものであることが、漏えい資料により理解できる。また漏えい資料は、外国の企業が国内の裁判所や法律を迂回し、外国の裁判機関(訳注:「外国の裁判機関」には国際的な仲裁裁判所を含むと考えられる)にTPP加盟国を直接訴えることができるツートラック・システムとなっていることを明らかにした。
また、TPP交渉に関わっているオーストラリア以外のすべての国は、訴訟により外国投資家に国家資産の無制限な支払いを命じる権利を持った外国の裁判機関の制度に従うことで合意していることも明らかになった。漏えい資料のセクションBで明らかになったように、これらの裁判機関は透明性や一貫性、TPP参加各国の国内法制度に共通する法的手続きの基準を満たしていない。また、公正さや独立性がなく、主権国家と民間投資家間の紛争を解決するうえでバランスのとれた機関でもないだろう。たとえば、裁判官の倫理に反するような方法で、これらの裁判機関の人材は、投資家を擁護し政府を訴える企業弁護士と「裁判官」とを行き来する民間分野の弁護士が担っているのだ。
米国の交渉担当者のみが、この裁判外執行システムを拡大する道を模索している。これは外国の裁判機関を使い、政府調達、公益事業の契約履行、あるいは連邦政府所有の土地の天然資源の利権まで、外国投資家が結んでいる契約を執行させるためでもある。
(漏えい資料のうち、未合意の箇所は角かっこがついている。パブリックシチズンは各参加国が支持する様々な提案のリストを確認している)。
これまで、600人の米国企業を代表する公式なの(法人)アドバイザーがTPPの条文を閲覧し、米国の交渉担当者にアドバイスを与える特別な役割を与えられてきた。しかし、報道機関や一般市民、そして議員は、今回漏えいした資料により、提案されている合意文書のなかでも最も議論の多かった章に初めて触れることができたのである。去る5月、貿易に関する上院金融小委員会委員長であり、TPPを管轄する連邦議会委員であるワイデン上院議員は、議員自身および彼のスタッフが交渉で提出されたTPP条文案の閲覧をも拒否されたことを受け、議員が条文を閲覧できるよう求める法案を提出した。
おそらく、TPPは米国にとって最後の通商交渉となるだろう。というのは、これが締結されれば、TPPが新たな未来を拓くことになるからだ。つまり、後から加盟する他のどの国にも門戸が開かれるのである。TPPは加盟国の国民の公益に資する政策を軽視することなく、また外国企業に特権を与えずに、拡大する貿易による利益をもたらす新たな貿易協定のモデルに発展するチャンスなのだ。オバマ大統領は選挙運動中、公共の利益を守るように投資ルールを修正すると主張した。しかし残念ながら、パブリックシチズンがこの文書を分析したところ、現在のアメリカの立場には、オバマ候補がこの制度の脅威を”救済”すると約束した修正は反映されていない。
実際、今回漏えいした資料は、北米自由貿易協定(NAFTA)とそこから派生したNAFTA型の協定に見られる投資家の過度な特権をさらに助長するものであることを示している。これらの投資家の特権は、国民の健康、環境、民主的な政策策定をおびやかし、国内企業以上に海外企業を優遇するものとして、非難をあびている。NAFTA型の協定における投資家対国家間の紛争処理条項に基づき、有害廃棄物の投棄許可、材木伐採の規則、有害物質の禁止などをめぐって、政府から投資家に支払われた金額は3億5000万ドル以上に達するのだ。現在、国内の環境、健康、運輸政策について投資家国家間の通商協定に訴えている係争中の事案も130億ドル超に及んでいる。そして、このような訴訟の脅威により、大切な国民の利益を守る主導権を繰り返し損なわれ、避けられた可能性のある損害に、国民をさらす結果となっている。しかし漏えいした資料からすると、TPP加盟国は外国投資家に数々の並外れた新しい特権を提供するよう自らを拘束することに合意している。一方、投資家に求める健康、労働そして環境に対する義務には合意をしていないのである。
このような国際的なルールが目指すのは、政府が投資家の工場や土地を没収したにも関わらず、国内の裁判制度が投資家に賠償しない場合、外国投資家が賠償を獲得する手段を提供することである。時間の経過とともに、ルールとその解釈は劇的に拡大されている。これは、漏えいした資料が露呈したとおり、TPPでより悪化する問題である。
最後の手段としての選択肢というよりもむしろ、投資家対国家間紛争処理体制の企業の利用は急激に増加しつつある。たしかにそのような執行の仕組みを持つ投資条約は1950年代から存在している。しかし、漏えい資料によると、1999年までに世界銀行の投資分野を扱う機関とされる国際投資紛争調停センター(ICSID)に持ち込まれた訴訟件数はたったの69件だった。現在、ICSIDが扱う訴訟件数は累計で385件に増加し、この13年間で460%増加した。また、ICSIDはこのような訴訟を扱う唯一の機関である。米国の自由貿易協定(FTA)と二国間投資協定(BIT)のみでも、7億1900万ドルを超える賠償金が支払われている。うち70%が天然資源と環境政策に関するもので、従来の収用関連の訴訟ではない。タバコ関連企業は、フィリップモリス社がオーストラリア政府を相手に起こした訴訟のように、この制度を利用してタバコ規制の政策と争っている。漏えい資料が実質的に変更されなければ、TPPは国民の利益に関わる投資家対国家間の訴訟リスクを大幅に増大させ、政府は新たな多額の財政負担に直面することになるだろう。
米国とオーストラリア、ブルネイ、チリ、マレーシア、ニュージーランド、ペルー、シンガポール、ベトナムという環太平洋8か国の貿易担当官は現在、TPP交渉を今年中に締結させるため、非公開の集中協議をおこなっている。今回の分析は、TPPの投資の章に関する危険な草案の主要な問題点と、過去の米国の通商協定から何が変わり、何が変わっていないのかを調査するものである。
TPP文書で繰り返される、従来の米国通商協定における最悪の投資モデル
漏えいしたTPPの投資の章には、悪影響のあるNAFTAの投資の章モデルを踏襲した(同等、またはほぼ同じ)条項が数多くみられる。こうした条項は、非常に極端な内容なので慣れていない人は、そこに書かれた記述の詳細や本来の意味を見逃してしまうかもしれない。そこで私たちは、読者が自ら条項を読み、検討できるように資料を解説することにした。再三、外国投資家に与えられている権利のいくつかは以下のとおり:
●金融の安定化を促進する資本の規制およびその他のマクロ健全化の金融規制に対する異議申し立ての権利。(12.11条)過去の米国FTAと同様、漏えいしたTPP資料は政府に対し「対象となる投資に関連するすべての取り引きが、自由且つその地域の内外を問わず遅滞なく許可されること」を要求している。この条文は、IMFが国際的な金融危機を受けて「資本規制の使用に反対」という立場を撤回したにも関わらず、各国による資本規制や金融取引税の使用を禁じるものである。米国の下院議員であり、下院金融サービスおよび歳入委員会の有力メンバーであるバーニー・フランク議員(民主党、マサチューセッツ州)とサンダ―・レビン議員(民主党、ミシガン州)は、2012年5月オバマ政権に宛てた書簡のなかで、参加各国がこのような金融安定化の手段を確実に活用できるようにすることを要求し、この問題が解決されなければTPPを支持できないと訴えた。2012年2月には、コロンビア大学のジャグディッシュ・バグワッティ氏、元IMF高官でジョンホプキンス大学のオリビエ・ジーン氏、ピーターソン国際経済研究所のアーヴァインド・スブラマニアン氏らをはじめとする100名以上の著名な経済学者が署名。このような条文をTPPから削除するよう要求した。この動きは2011年2月にオバマ政権に送られた書簡に続くものである。ノーベル賞受賞者のジョセフ・スティグリッツ氏、ハーバード大学経済学教授のリカルド・ハウスマン氏とダニ・ロドリック氏、ホゼ・アントニオ・オカンポ氏(元国連南米・カリビアン経済委員会長官でコロンビア政府の経済大臣)らを含む250人を超す経済学者が署名し、過去の米国FTAとBITは「通商相手国が資本規制を効果的に行う能力を極端に制限している」と指摘した。しかし、他の数カ国が金融安定化のための政策実施を守れる条項を提案したにもかかわらず、米国は過去のひな形を踏襲していることが、漏えいしたTPP資料から判明した。
●国内法が定義している「不動産」をはるかに超えた「投資」の定義により、一般的な国内政策が攻撃される可能性が増大している。漏えい資料中の「投資」の定義によれば、外国の裁判機関において数多くの非差別的国内政策が攻撃されることになる。この国内政策には、健康、土地活用政策、政府調達の判断、規制の許可、知的財産権、デリバティブのような金融商品の規制、公益事業の運営契約などが含まれる。(12.2条)新たな権利と保護は、TPPが法的効力を発揮する前から存在する投資にまで及ぶことになる。
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