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2014-04-28 10:18:32
安倍首相は昨年、「主権回復の日」とやらを設定し、天皇・皇后を出席させて仰々しく式典をやってみせました。今年は、TPP(環太平洋経済連携協定)をがむしゃらに進めようとし、そのなかにそっと日本の主権を売り渡すISD条項をしのばせています。
このISD条項があることでTPPが「主権売り渡し」とそしられることを避ける口実として「主権回復の日」を設定していたとするなら、政権の軍師のなかにはなかなかの痴(し)れものがいると推測できます。
「戦争中だったとはいえ、私は中国で土地を踏み荒らし、多くの人々を苦しめた。自分たちの食糧は、現地で調達しなければならなかったから、中国人の家からコメや野菜を容赦なく奪った。力のある若者も『徴発』し、苦力(クーリー)として馬の代わりに重い荷物を運ばせた。中国の人にはお詫びのしようもない」と、戦争がいかに人間性を奪う愚かなものか、中国人へのお詫びの言葉を繰り返し、元・兵士の老人が92歳の身で語り続けています。
元・兵士は昨日4月27日には、福島県からボクが住む大阪・箕面まで出かけて来て、中央学習センターで話をしてくれました。ここ数年は、「話だけでは消えてしまうので、パソコンを習ってインターネット上で発信しています」と、「朝風の会」(sato1922@coral.ocn.ne.jp)の名で、全国から戦争体験者の体験記を集め、記録を後世に残す活動をしています。
ボクは60年安保世代の、現在74歳です。同じ年くらいの男どもが集まった席で、「集団的自衛権が――」とか「特定秘密保護法は――」とか切り出すと、「もうそんなややこしい話はやめてくれ。オレたちは、のんびり、悠々自適させてもらおうやないか」と、なりがちです。とくに政治がらみの話は敬遠され、仲間はずれです。
定年退職した年寄りには時間があります。ハイキングやウォーキング、あるいは陶磁器つくりや俳句の会、海外旅行などで楽しまれるのも結構なことです。
しかし、今の日本をそのまま後世の人に引き継いで、何も感じないのでしょうか。たとて佐藤翁のようでなくても、たとえ戦争体験でなくても、10年前、20年前、30年前のことであっても、語り継ぐことが大切だと思われます。それは、無事に定年退職できた年寄りの社会への恩返し、いわば”義務”ともいえるのではないでしょうか。
私たち一人ひとりがこの国を大事にしなければ、どんなに「主権の日」の式典をやってみても、主権はこぼれ落ちてしまうことを、歴史は示しています。
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