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竹中平蔵:政府は改革への強いメッセージを出すべき
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20140428-00000001-fukkou-bus_all
nikkei BPnet 4月28日(月)8時36分配信
今年に入ってから日本株が大きく下落している。株価が下がっている理由の一つは外国人投資家による売り越しが増えていることで、そうした状況のなか、いま求められることは何かを考えてみたい。
■アベノミクスの改革は「遅々として進んでいる」
2014年4月7〜11日の世界の株価騰落率を見ると、日本株は7%安と、主要25カ国・地域のなかで最下位だった。今年1〜3月の騰落率を見ても、日本株は11%を超える下落。一方で、米国はほぼ横ばいで、ドイツが微増となっている。
今年に入ってから、日本に対する市場の評価は非常に低くなっているということになる。3月の日本株は、1兆円を超える売り越しとなった。このペースでいくと、昨年の上昇分がすべて失われてしまいかねない。
こうしたことが起きてしまったのには、要因が二つある。
一つは、メディアや投資家の不勉強だ。それがゆえに、「アベノミクスの改革はまったく進んでいない」と拙速に判断してしまっている。
私は「アベノミクスの改革は進んでいるのか」と聞かれたら、少し妙な表現だが、「遅々として進んでいる」と答えることにしている。改革は確かに進んでいる。しかし、その速度はそれほど速くはない。
■改革にはショックセラピー型と積み上げ型がある
細かいところから政策を積み上げて改革を着実に進めていく安倍政権のやり方は、メディアも投資家もほとんどわからないというのが実情だろう。メディアや投資家は、わかりやすい目玉政策やスローガンには飛びつくが、細かくて重要な個々の政策は難しくてなかなか判断できないからだ。
だからといって、メディアや投資家に責任を押しつけるわけにはいかない。いくら難しかろうが、きちんと説明しきれていないのは政府の側にも問題があると言える。ただ、政策に対するリテラシーが低いということは、指摘していく必要がある。
もう一つは、改革の進め方の問題だ。こちらの要因の方が、はるかに大きな影響を及ぼしている。
政策を進めるには二通りのやり方がある。一つはショックセラピー(ショック療法)型だ。郵政民営化のように、国のリーダーが「何が何でも私がやる」と断行していく方法である。もう一つは積み上げ型で、各省庁が細かく積み上げて政策を進めていく方法だ。
小泉政権のやり方は、典型的なショックセラピー型だった。最初に経済財政諮問会議で方針を定め、党や各省庁をはじめ全体に対して示す。従来のやり方からすれば、これはまさにショックセラピーだった。
■日銀改革は安倍政権唯一のショックセラピー
その次に不良債権処理を行った。これも金融危機対応会議を開いて一気に公的資金を金融機関に注入し、半年も経たないうちに足利銀行を国有化した。
そしていよいよその後に郵政民営化が出てくる。また、そのほかにも道路公団の民営化など、ショックセラピー型の改革を次々に行ってきた。
こうしたショックセラピーは、投資家にも非常にわかりやすい。いま、世界の投資家たちは「わかりやすさ」を求めているのだと思う。
安倍政権が現在行っていることは、典型的な積み上げ型である。それはそれで一生懸命やっていて、いままでやれなかったことが出来つつあるのも事実だ。
ところが、この積み上げ型には限界があるし、外からよく見えないという点も指摘される。厳しいことを言えば、外から見て、ショックセラピー型を「A級改革」とすれば、積み上げ型は「B級改革」ということになる。
では、安倍政権はB級改革に終始しているだけなのかというと、必ずしもそうではない。安倍政権もA級改革を実行している。それは日銀が物価目標を掲げ、アベノミクスの「第1の矢」(大胆な金融緩和)を放ったことである。安倍政権も初期にはショックセラピーを行っていたのだ。
■大胆な法人税引き下げを行うべき
小泉政権は5年5カ月続いたが、それでも実行できたショックセラピーというのは三つか四つに限られている。ショックセラピーは1年に一つか、1年半に一つできればいい方なのだ。いま問われているのは、安倍政権が当初にやった日銀改革に次ぐショックセラピーを新たに実行できるのかということである。
では、安倍政権に求められているショックセラピーとは何なのか。それは、移民の問題、法人税の大幅な引き下げ、雇用制度の改革、コーポレートガバナンスの改革、といった課題のなかから、一つでいいから実行してほしいということだろう。
そのなかで最も現実的なのは、法人税の大幅な引き下げだと思う。
法人税引き下げについては設備投資関数を使った実証研究がある。それによると、法人税を1円下げると設備投資が6円増えることがわかっている。さらに税収全体は1.9円増える。法人税を下げると法人税収は下がるかもしれないが、税収全体は上がるのだ。
これは決しておまじないや神話の世界の話ではない。実証研究で法人税引き下げの効果が示されている以上、目先の法人減収にとらわれることなく、大胆な法人税引き下げを行うべきである。
■人事はすなわちメッセージである
安倍晋三首相が今年のダボス会議の基調演説で述べた“ダボス公約”には、法人税引き下げなどショックセラピー型の改革がいくつか含まれていた。そこから一つないし二つの公約を実行できるかどうかが、投資家の信頼を取り戻すカギになっている。
公約を実行するには体制づくりが重要になり、とりわけ人事が大切である。
人事とは、すなわちメッセージだ。政策は決めるまでに時間がかかる。政策を実行してから効果が出るまでにも時間がかかる。だからこそ、人事によって最初にメッセージを出すことが大きな意味を持つ。
小泉政権では、人事を通して、改革の意志、パッションを明確にした。そうしたメッセージを内閣改造で出せるかどうかが安倍首相には問われている。
日本株がいま売られているとは言え、決定的な日本株離れが起きているわけではない。市場としては、「早く改革をやれ」というメッセージを送っているのだ。まさに“催促相場”なのである。
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