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2014年04月27日
売国報道に徹する日本のマスメディアは異様だ。外務省のレクチャーより一歩踏み出し、アメリカ大統領様が直々にお口になされた「日米安保に尖閣含む」で大はしゃぎ。特に嘘を報道しているわけではないが、安保5条をオバマが読み上げたからといって、日米安保の条文の適用範囲が変わるはずもない。昔から、オバマの言った通りで、何にも変わってはいない。
日米安保において、アメリカ様は「「日本の施政権の下にある領域」と謳っているわけ。日本が実効支配出来ている領域の防衛に参加できる、と云うことであり、「実効支配がなくなれば、何もしません」と言っている。あまりにも、言い古されたくらいの話なので、書きたくもないが、新聞テレビの報じ方は、明らかにミスリードしているので、またまた執拗に書くことになる。その上、アメリカ様は「自国の憲法に従って」、つまり、議会の承認が得られれば同盟国として助ける、と云う話なので、二重の扉のある軍事同盟なのである。
日米安保と云うもの、馬鹿馬鹿しいくらいの不平等軍事同盟なのだ。アメリカ様の両手は全くのフリーハンドなので、助けるも助けないも、俺たちの気分しだいと云う軍事同盟。結んでいること自体が不自然なのである。結局、沖縄に米海兵隊基地が必要なのは、中国の現実的脅威に対応するためと印象づけられているが、一義的にも二義的にも、尖閣は日本が守るしかないと云うことだ。ちなみに、NATOの軍事同盟では、「施政権の下にある領域」もヘッタくれもなく、侵略があれば、ただちに、他の国は共同で敵に立ち向かうとなっている。
こんな体たらくな平和ボケな話で大はしゃぎする日本と云う国を観察している中国は、どのように思うだろう。もしかすると、改めて、日米安保における米国の責任範囲を確認し、なんだ!軍事同盟じゃないんだ。尖閣くらい取りに行っても、出てくるのは日本だけなんだ。施政権下でなくなれば、米軍はそっぽ向くということだな」。しかし、日本のメディアはオバマが直接SENKAKUに言及したと大喜び「呆れるくらい日本の安倍は俺たちの力を怖れているのか」。そんな風に解釈する可能性さえあるオバマの尖閣への言及だった。予定調和な外交手段で、中国外務省は批判するだろうが、あくまでポーズに過ぎない。どちらかと言えば、虻蜂取らずのオバマ発言だった印象が強く残る。
このような日米安保の為に、沖縄を中心とする米軍基地周辺の人々の日常的被害だけではなく、日本国民は、どれだけの経済的被害を蒙っているのだろう。ざざっと勘定してみたが、表向き言われる「思いやり予算」が1,900億円弱。基地周辺対策費等々が3,700億円、それに米軍再編関係費が1,100億円なので、合計で6,700億円以上の経費を米軍に貢いでいる。米軍駐留経費の70%以上を日本が負担している。海外の米軍基地では、日本の負担金は突出しており、他の米同盟国26か国の負担金合計よりも多い額を日本は払わされている。これだけの金を負担させられて、挙句に「守るか守らないかは気分次第だぜ!」もう完璧なバカである。まぁ、これも共産圏が強く存在した東西冷戦構造時であるなら、多少の納得もいくが、現在の潜在的脅威は中国くらいのものである。
この中国の潜在的脅威も、日本のマスメディアが騒ぎ立てるほどの脅威であるかどうか、充分な検証がなされているとは言い難い。中国の脅威は凄まじい、と言ってみたり、中国海軍なんて張子の虎だとか言う輩もいるわけで、軍隊としてどれだけの実力があるかも判らない。ロシアの老朽空母を買うくらいなのだから、近代化がどこまで進んでいるのか定かではない。軍事オタクではないので、深く考えるつもりはない。ただ、想像しているよりも軍事行動を実際に行った場合、破壊力が人民軍のどの程度備わっているか疑問だ。グローバル経済の恩恵を一番受けて経済成長を遂げている中国が、その枠から尖閣や与那国島、石垣島、宮古島などを取りに来ると言うのだろうか、酷く不自然な行動だ。
中国が脅威になる一番の理由は、対中外交が行きづまっているから、そのような幻覚に捉われている可能性は強いだろう。無論、グローバル経済のお陰で、めざましい経済発展を遂げている中国が、実力以上に自信をつけ、居丈高になりつつあるのは事実だが、GDPの範疇の経済発展の話であり、21世紀模様の近代化があらゆる面でなされているわけではない。人口が13億5000万人で国土が960万平方キロなのだから、GDPが大きくなるのは当たり前で、驚くに値しない。ちなみに日本は人口が1億2700万人、国土は38万平方キロだと云うことを頭に入れて考えよう。一人当たりのGDP比でみると、中国は6,747ドル、日本は38,491ドルなのだ。つまり、中国の中身は未だスカスカで、発展途上国の実情であることも理解しておこう。
世界の表向きで見える部分に集中的に社会資本を投じている中国だが、長期間の忍耐戦略に耐えうる体力は保持していないので、本気で軍事力を行使する可能性は酷く低い。ただし、表向きなメンツに拘る民族的傾向もあるので、戦争が出来ることを証明したい欲望は持っているだろう。故に、そのような気が起こらない外交スタンスを取るのは当然のことで、深く考える事さえ不要だ。このように中国という国を見ると、日本の外交は完全に間違っていると言って良いだろう。安倍の姿勢は、明らかに中国をライバル視している。総量で勝つか、実質で勝つか、価値観の違いだ。
中国の潜在的脅威が顕在的脅威に変わる可能性がゼロだと言い切れる人はいない。現在の中国の大国化がグローバル経済の大波に乗れた影響下にあることから、日米韓ロ欧と敢えてことを起こす意味合いはないと断言も出来ない。今までの国家概念から考えれば、自国の安全保障の為であれば、経済的不利益を無視してでも地政学的安全を優先し、覇権に拘ることもあるだろう。しかし、最近の国家概念は、資本というグローバル企業の意向に沿うかたちで運営されつつあるので、地政学覇権優位論が、21世紀も有効かどうか疑問点も多い。既に米国は企業が国家を支配する傾向が強いが、中国の場合多くのメインプレヤーが国営なので、地政学覇権優位論は生きているかもしれない。
いずれにせよ、我国の安倍自民党の外交姿勢を見ていると、上述のような次元の議論などなく、対中では尖閣と云う岩礁を巡っていがみ合い、韓国とは慰安婦でいがみ合い、アメリカとはTPP貿易問題で鍔迫り合いをし、参拝を避けろと言う靖国に参拝し、どや顔で大見えを切る。その安倍の金魚の糞政治家も、どさくさの勢いに乗って靖国参拝に精を出す。これでは、孤高の国を目指しているような勘違いまで起こしてしまう。無論、孤高に徹する日本は、筆者の理想とする姿だが、安倍晋三の孤高は慌てふためきながら、強い国を目指している。オバマの一言で舞い上がるような外交防衛姿勢で「孤高」はないのだが、間違いなく「孤立」には向かっている。
TPPで米国のヤラズぼったくりにつき合う必要はないわけだが、読売などは、素晴らしき集団自衛権の確認であり、TPPも原則合意で、意義深いオバマ大統領訪日であった、と論評しているが、どちらの評価も誤謬だらけで、開いた口が塞がらない。この新聞が嘘かホントか1千万部売れているというのだから、日本と云う国の民族の質が問われるのは必定だ。このような流れが継続すると、真剣な不安として、世界における日本の「孤立」が際立ってくるかもしれない。怖ろしいことは、安倍官邸や外務省は、外交はそこそこ上手く行っている、と思い込んでいるところだ。アベノミクスは殆ど大失敗。日米安保も大失敗、対中、対韓外交も大失敗。ロシアとの蜜月もウクライナ問題で、自然消滅の危機である。どのくらいの日本人がヤバイ現実を理解しているのだろうか。1割もいないかもしれない。なにせ、読売新聞が1千万部なのだから……。
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