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TPP日米合意を探る:国内養豚事業者保護の要である「差額関税」制度がTPP加盟国に対し実質的に撤廃される可能性
http://www.asyura2.com/14/senkyo164/msg/653.html
投稿者 あっしら 日時 2014 年 4 月 26 日 15:39:59: Mo7ApAlflbQ6s
 


 今朝投稿した

「日米首脳会談 その1:「TPP日米市場アクセス交渉」は宮中晩餐会前に基本合意:内容公表の先延ばしでしのごうとする安倍政権」
http://www.asyura2.com/14/senkyo164/msg/637.html

のなかで触れた豚肉の問題が報じられているのでフォローさせていただきたい。


 TBSNews−iが小出しながら具体的な内容を報じているので、それをベースに説明する。

 kf1218さんが投稿されている「TPP 日米が「合意」、豚肉など「懸案」全て着地[TBS News-i]」( http://www.asyura2.com/14/senkyo164/msg/639.html )に、「 農産品のうち豚肉については、現在、1キロあたり400円台の関税を、アメリカが実質ゼロに近い水準まで引き下げるよう求めていましたが、双方が提示する条件の中間点でまとまった模様」 とある。

 これを読んで解せないのは、「現在、1キロあたり400円台の関税」という話が前面に出ていることである。

 冒頭に示した投稿のなかで説明したが、豚肉の輸入には「差額関税」制度が適用されており、輸入される豚肉のほとんどが、「分岐点価格」以上で4.3%の従価税の適用を受けている。さらに言うと、加工用豚肉も含め輸入価格が「分岐点価格」に集約しているため、関税額も、ほとんどが1キロあたり22円53銭となっている。(関税が最少になるよう輸入価格がコントロールされているらしい)

 「差額関税」制度では記事に書かれている「1キロあたり400円台の関税」になるケースもあるが、それは、輸入価格がキロ当たり64.53円以下のときに適用されるキロ当たり482円の従量税で実際に適用されたケースはない。
 極めてレアなケースである輸入価格がキロ当たり64.53円以下の関税482円を半額にしたからといって米国の豚肉対日輸出にとってなんらかの意味があるわけではない。

 ちなみに、豚肉輸入に占める米国産豚肉の比率は40%を超えている。米国がダントツの1位で、カナダ・デンマークがそれに続いている。

 このようなことから、「1キロあたり400円台の関税」という説明は、TBSが、肉の関税措置に対する理解を誤り「基準輸入価格」と関税を取り違えた可能性が高いと思う。

 豚肉に適用される現在の「基準輸入価格」は、枝肉についてキロ当たり409.90円、部分肉についてキロ当たり546.53円となっている。

※ 枝肉とは内臓を取り除き背骨から二つに切り分けた状態で、部分肉とは、枝肉を部位毎に分割し骨・血液・リンパ節及び余分な脂肪を取り除いて整形した状態である。
 輸入される豚肉のほとんどが流通しやすい「部分肉」(ロース・ヒレ・ももなど)である。枝肉の輸入は、重量・金額とも、豚肉輸入全体の0.2%にも達していない。
 現実を考えると、輸入豚肉の「基準輸入価格」をキロ当たり546.53円と考えたほうが的確といえる。

 豚肉の輸入で適用されている「差額関税制度」は、キロ当たりの輸入価格が「分岐点価格」を下回ると、(「基準輸入価格」−輸入価格)を関税として支払わなければならないというものである。
 「分岐点価格」は、その価格に従価税(4.3%)を足すと「基準輸入価格」になるように設定されている。
 「分岐点価格」は、枝肉でキロ当たり393円、部分肉でキロ当たり524円に設定されている。

 この「差額関税」制度に加え消費税制度があることで、国内養豚事業者はようやく保護されているとも言える。
 消費税8%は輸入価格+関税の金額にかかるので、枝肉の輸入業者コストは443円程度となる。部分肉なら、590円程度である。これらのコストにマージンを乗っけた価格が卸売価格になる。

 国内の豚肉卸価格は、枝肉ベースで、450円から550円の間という水準で推移している。
 このような状況をみれば、「差額関税」制度が生み出す絶妙なバランスによって国内養豚事業者が存続できていることがわかる。


 「差額関税」制度のなかで豚肉を安く輸入すると、関税率換算で50%や100%になることも珍しくない。
 たとえば、部分肉をキロ当たり200円で輸入すると、キロ当たりの関税が「基準輸入価格524円−輸入価格200円」の324円になる。この324円を関税率に換算すると、162%もの高関税である。

 TBSが報じた内容をこのように解釈して考えると、従価税4.3%がどうなったかは不明だが、「基準輸入価格」が半分の水準まで引き下げられた可能性が高い。

 たとえば、部分肉でキロ当たり273円、枝肉でキロ当たり205円といった値である。この変更に伴い、「分岐点価格」も、従価税を加えて「基準輸入価格」になる値へと変更される。

 米国産豚肉は、安い部位ならキロ当たり273円でも余裕を持って輸出できるコストとされる。この場合、輸入業者のコストは、キロ当たりで、273円+関税11.7円と消費税(284.7円に消費税8%をかけた値)を合計した307円ほどになる、

 現状の輸入豚肉国内卸売価格は、安い部位である「もも」でキロ当たり420円程度(「うで」なら390円程度:「ヒレ」800円程度で「ロース」550円程度)だが、「輸入基準価格」が半分の水準に低下することで、消費税が10%になったとしても卸売価格が大きく低下し、間違いなく国内養豚業を圧迫することになる。

 鹿児島黒豚などの銘柄豚は、家計に余裕がある人たちに支えられて生き延びると思うが、一般の豚肉は厳しい状況に置かれ、養豚業者の廃業や再編が進むと考えられる。


 

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コメント
 
01. スットン教 2014年4月26日 20:02:01 : CmuKS.2SNuq/E : 7bUsMLlvNQ
こんなもの食わされることになるんですよ?

新型インフルエンザの背後に見え隠れする工業的畜産(上) 世界最大の豚肉多国籍企業の養豚場で何が起こったのか
http://www.nikkanberita.com/print.cgi?id=200905101047080


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