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「生涯一番」の寿司を食べてもTPPでは譲歩せず photo gettyimages
オバマ大統領訪日でも「TPP交渉」難航の舞台裏
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/39108
2014年04月26日(土) 歳川 隆雄「ニュースの深層」 現代ビジネス
果たして、ボタンの掛け違いだけだったのか――。
■TPP「共同声明発表見送り提案」は想定外
安倍官邸と外務省は、24日午前東京・元赤坂の迎賓館で行われた日米首脳会談で、よもやバラク・オバマ大統領が安倍晋三首相に対し共同記者会見での共同声明発表見送りを提案するなど全く想定していなかった。
25日付朝刊の新聞各紙を見ても、『毎日新聞』が一面トップに「共同声明異例の見送り―米大統領『TPPぎりぎりまで』」、『読売新聞』は「日米TPP未明も調整、首脳会談後断続的に―共同声明 異例の持ち越し」との大見出しを掲げ、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)交渉については、首脳会談で大筋合意できず、日米共同声明の発表が見送られたと報じた。
筆者は、安倍首相が4月初旬から強くこだわってきた首脳会談前夜の非公式夕食会が東京・銀座の高級すし店「すきやばし次郎」で実現した23日の昼、官邸幹部と長時間話をする機会を得た。
同幹部は、その日までに甘利明経済財政・TPP担当相とマイケル・フロマン米通商代表部(USTR)代表が東京とワシントンで熾烈な協議を行ってきたが、容易に「日米大筋合意」に至らない内情を披瀝してくれた。だが、同幹部と筆者は、最後は安倍首相とオバマ大統領の政治判断で交渉は妥結するとの見方で一致した。
それでも、同幹部が別れ際に「大筋合意まで行かなくても、合意に向けて協議を継続・加速化するという文言は(共同声明に)入るでしょう」と言ったことが気になっていた。
今にして思えば、当方に知られたくないほど甘利・フロマン閣僚協議と、その前後に続けられてきた実務者交渉が難航しており、その内実を承知していたのかもしれない。
■「ペリー来航以来の恫喝外交」
いずれにしても、結果的には20日付朝刊の『毎日新聞』の「首脳会談で大筋合意困難―TPP交渉、首相は交渉加速指示」や『産経新聞』の「TPP『関税』決着見送り―日米首脳会談、重要農産品で溝」報道が正しかったことになる。
一方、TPP政府対策本部を怒らせた『読売新聞』(同日付朝刊)の「牛肉関税『9%以上』―TPP日米歩み寄り、共同声明『大きく前進』明記へ」は内容的には正しかったが、誤報となった。
事実に即して言えば、ワシントンでフロマン代表とマラソン協議を終えて帰国した甘利TPP担当相が安倍首相に富ヶ谷の私邸で報告した19日夜段階では決着の兆しがあり、残る焦点は牛肉関税の引き下げ率ではなく豚肉の差額関税の撤廃に応じるかどうかであった。
従って、同読売報道は、ほぼ間違いなく首相周辺高位に位置する人物に当てた上のものであり、信憑性が高いと見られた。
もう一つある。マスコミは言及していないが、安倍首相は18日午前、短時間ながら官邸で行なったジョセフ・バイデン副大統領との電話会談の中身である。
「ペリー来航以来の恫喝外交だった」と官邸関係者が語るように、バイデン副大統領は「(TPP交渉を巡る)日米協議が妥結しなければ、オバマ大統領と安倍首相の個人的な信頼関係のみならず米日関係の将来に重大な影響を与えかねない」と露骨な圧力をかけてきたというのである。
ところが安倍首相は毅然と撥ね付け、中途半端な妥協に応じない意思を表明したとされる。電話を終えた同首相は「彼にはTPP交渉について何の権限もない」と、平然と言い放ったというのだ。
少なくともそれから米側の対応に明らかな変化が生まれたと、先の官邸関係者は語った。こうしたこともあり、筆者は最終的に着地するはずと見立てたのだ。
■尖閣諸島問題では満額回答だったが…
土壇場のオバマ大統領離日直前の25日午前、「アジア太平洋及びこれを越えた地域の未来を形作る日本と米国」と題された日米共同声明が公表された。
同声明に「日米両国は、高い水準で、野心的で、包括的な環太平洋パートナーシップ(TPP)協定を達成するために必要な大胆な措置を取ることにコミットしている」とある。だが、余りにも抽象的であり、今回の日米首脳会談で決着がつかなかったこと認めたに等しい。
外交・安保政策面では、オバマ大統領が大統領として初めて沖縄県・尖閣諸島が日米安保条約第5条適用範囲であることを認めたことで、満額回答を得たと言える。と同時に、日本に中国との関係改善を強く促すことも忘れていなかった。
外交交渉は勝った、負けたの勝負ごとではない。ましてや国際舞台では政治と経済は密接にリンクするものであり、安倍政権は今後、6月策定の新成長戦略を前に不調に終わったTPP交渉を真摯に総括する必要がある。
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