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2014年4月26日 07時19分
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2014042690071953.html
日米両政府は二十五日、首脳会談を受けた日米共同声明を発表した。環太平洋連携協定(TPP)で「前進する道筋を特定した」と宣言し、両国が他の交渉参加国に早期妥結を呼び掛けることも確認していて、事実上の基本合意といえる。米側の要求で盛り込まれ、安全保障分野で日本側の希望が通ったことと引き換えになった。(金杉貴雄)
二十四日の首脳会談に向けた日米首脳の交渉は、オバマ米大統領の書面インタビューが二十三日付の読売新聞に掲載されたところから事実上始まっていた。
日本側は事前交渉で、オバマ氏が集団的自衛権の行使容認を支持し、沖縄県・尖閣諸島を日米安全保障条約の適用範囲だと明言することを要請。この二点で、米国は日本側に知らせる前にオバマ氏のインタビューで満額回答をしたのだ。
だが、米国の日本に対する配慮の姿勢は、TPP交渉で農産品の大幅な関税引き下げなどを狙い、攻め立てる地ならしだった。
オバマ氏は二十三日に来日すると、安倍晋三首相がすし店で催した夕食会で即座にTPPを持ち出した。時折、思い出したように「すしはおいしい」と言う以外はTPP一辺倒で「あなたは内閣支持率が60%あり、40%の私より高いのだから妥協してほしい」と首相に譲歩を迫った。牛肉や豚肉の細かい関税率は全て頭に入っていた。
首脳会談では、両首脳の机上に事務協議で詰めた共同声明案が置かれていた。集団的自衛権と尖閣は日本の希望通りの表現が書かれ、TPPへの言及は「一定の前進があった」などわずかだった。
首相には満足な内容だったが、最後に共同声明の発表について「まだ話し合いが続いている。結果を反映させますか?」と持ちかけると、オバマ氏は即座に「今出さなくてもいいというなら交渉させよう」と交渉継続を“通告”。そして「成果を出せなければ、ワシントンで訪日は失敗と言われる。このままでは共同声明は出せない」とも口にした。
長時間協議をしたばかりの甘利明TPP担当相、フロマン米通商代表部(USTR)代表の再協議と声明発表の見送りが決まった。オバマ氏は「二人が眠そうだから、コーヒーを飲ませて、ぎりぎりまでやらせよう」と笑えない冗談を飛ばした。周囲は凍り付いたが、会談後に協議会場に現れたフロマン氏は本当にコーヒーを持っていた。
日本側には「共同声明の発表がなくなる」との危機感も広がった。TPPは安全保障と異質の政策だが、日本は押し込まれ「道筋を特定」「大胆な措置をとる」など新たな文章が加えられていった。
声明の発表は、オバマ氏が羽田空港をたつ二十分前。TPPへの言及は和訳文で八行に膨らんでいた。「合意」「決着」の文字はない。しかし、首相周辺は「日米は事実上の基本合意だ」と認めた。「基本合意」とは、米国側に追随していくしか選択肢がなくなったという意味でもある。
(東京新聞)
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