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2014-04-25 09:01:52
「TPP交渉が異例の延長戦」と、本日4月25日の大手紙の朝刊は一面トップで大々的に取り上げています。TPPの最終決着が依然、難航していることにばかりに目が向いている現実があります。
昨日は、オバマさんが、「尖閣地域は日米安保条約の適用範囲です」と大統領自らの口で言及してくれたことが、”予想外の満額回答”といわんばかりの喜びようでした。
それにしても、メディアのこの寒々した伝え方には、ため息が出ます。折角の機会なのに、なぜもっと大局的な話、アジアの平和、世界秩序の新たな構築について、充分時間をかけて話し合わないのでしょう。
オバマさんが日本に最も伝えたかったことは、「日中融和の重要性」だったといえるのではないでしょうか。だから、スピーチで、「尖閣などの懸案に対しては、日中間でよく話し合って平和的に解決して下さいよ。そのためにも、両国が信頼を築き上げる努力が大切ですよね」と、述べたのでしょう。
オバマさんがアジア4か国を訪問する大きな目的のひとつは、「米国が主導するアジアの秩序に中国を組み込む布石を打つことだ」と指摘されていました。アメリカは10年、20年先、あるいは50年先を展望する戦略についても意見を交換したかったのではないかと思われます。
それに対し、日本は目の前のことにきゅうきゅうとして、「牛肉の関税大幅引き下げはできない」「尖閣で中国が出てきた時は、アメリカは日本を守ってくれるのか」と、異次元の騒ぎ方をしているように見える。とてもアジアの将来展望を話し合える相手ではない。そんな思いを、改めて胸に刻んだのではないでしょうか。
もちろん、牛肉の関税問題も意味がないわけではない。それどころか、食の安全、安心のためには、日本の牧畜業をどう継続できるか、が重要です。尖閣の防衛も極めて大切です。
しかし、やはり折角の機会は、儀礼的な式典よりも時間を取って、もっと活かしてほしかった。
靖国神社の春の例大祭に閣僚を含め、大勢の国会議員がドヤ顔でゾロゾロと参拝していました。わざわざ近隣諸国に喧嘩を売っているとしか思えません。
政府は、国民の税金をつぎ込んで、皇居にお濠ひとつで隣り合わせる「千鳥が淵国立墓苑」を造りました。アメリカの主要閣僚であるケリー国務長官、ヘーゲル国防長官の二人を急きょ、日本に派遣してこの千鳥が淵墓苑に参拝してみせました。「靖国には行かないで下さいよ」という同盟国からの強いメッセージでした。ところが、安倍首相はあっさり無視して、靖国参拝をしたのでした。
それ以来、オバマさんは安倍首相を信用していません。毛嫌いしています。昨日の記者会見でも、安倍首相が「バラク、バラク」と、とってつけたようにファーストネームで呼びかけたのに対し、オバマさんは「安倍総理」と、公式の場での普通の呼びかけでした。実は、オバマさんは怒っているのだと思います。
尖閣問題で、アメリカの大統領として初めて「安保の適用範囲と踏み込んで”サービス”したのに、「安倍は何も応えない」という煮えくりかえる思い。
このぎくしゃくは、「日米同盟の深化」とはうらはらに、日本の国益を著しく損なっています。たとえ、「安保の適用範囲」と紙に書いてあっても、それが現実に履行されるかどうかは、その時になってみなければ分かりません。というより、アメリカには、中国とドンパチやる気は全くない、と断言できます。紙に書いてあることなど、ただの紙切れにすぎない。「証文がある」と鬼の首を取ったようにはしゃぐのはみっともない。
日本は、アジアの平和をどう構築するか、戦略を急ぐ必要があります。具体的には、中国や韓国とどう関係を修復するか、その戦術、戦略立案を急がなければならないのではないでしょうか。
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