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米国の「国家歴史保存法」は辺野古埋め立てを認めていない
http://gendai.net/articles/view/news/149689
2014年4月23日 【高野孟の「永田町の裏を読む」】 日刊ゲンダイ
日米両政府が米海兵隊普天間基地の辺野古への移設を断念すべき最大の理由は、沖縄県民あげての反対の声にあるが、もう一つ無視できないのは、日米にまたがる「沖縄ジュゴン“自然の権利”訴訟」で米国防総省がサンフランシスコ連邦地裁において08年に敗訴している事実である。
ジュゴンは、日本の文化財保護法によって天然記念物に指定されているばかりでなく、古謡や祭りなど沖縄の文化とも深く結びついた貴重な海獣で、ちょうど辺野古の海がその生息域の北限にあたる。そこで沖縄と本土の環境団体は米国の環境問題専門の弁護士と手を組んで、米国の「国家歴史保存法」という法律が同国政府に対して、国内だけでなく世界各国の文化財保護に取り組むよう厳格な手続きを義務づけていることに着目。この法をジュゴン保護に適用することを求めて、03年、国防総省を相手どって訴えを起こした。その結果、裁判所は原告の主張を認め、国防総省が辺野古埋め立てによるジュゴンの生態への影響を評価・検討していないことは同法違反であると決めつけた。これは、同法が海外の案件に適用された初めてのケースとして当時注目された。
しかしその後、国防総省は判決に従った環境調査も、悪影響を回避するための対策も何ら行わず、また裁判所の勧告による合議も蹴飛ばしたまま時が過ぎ、鳩山政権が「県外、国外移転」言い出したために基地建設計画そのものが行方知れずになったという理由で、現在、裁判手続きが凍結されている。しかし判決は生きているので、国防総省がそれを履行していないという違法状態にあることに変わりはない。
ところで、埋め立てられる予定の辺野古の海と、それに接する現存のキャンプ・シュワブ基地の敷地の排他的管理権は、日米安保条約に基づく地位協定によって米国政府にある。実際に工事をするのは、沖縄防衛局が入札指名した日本の業者なので、米国側はその業者に「立ち入り許可」を出さなければならないが、それが果たして法的に許されるのかという問題が起きる。
そこで、いよいよ工事のためのボーリング調査などが始まろうとしている中で、同訴訟の原告団はこの5月、新たに工事差し止めの訴訟を起こそうとしている。そこでは、米軍が主張する「国防の重要性」と沖縄が主張する「環境・文化の保全」という2つの“公共性”のどちらが大切かが争点となるだろう。どうせ本土マスコミはろくに報道しないから、目を凝らしてその動きを見守りたい。
◇〈たかの・はじめ〉1944年生まれ。「インサイダー」「THEJOURNAL」などを主宰。「沖縄に海兵隊はいらない!」ほか著書多数。
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