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2014年4月20日
4月10日、全労連議長の大黒作治氏が「国家戦略特区の地域指定と雇用指針に関する意見」という意見書を政府に当てて出している。
http://www.zenroren.gr.jp/jp/opinion/2014/opinion140410_01.html
意見は、雇用・労働法制のルール破壊(規制緩和)が、福岡県福岡市をはじめ、東京圏、関西圏で盛られていることを指摘している。
その中では、働く人々や市民の代表はその協議から一切排除されており、解雇や労働時間等の規制緩和がなし崩しで実施されることが強く懸念されるという。
3月28日の国家戦略特区諮問会議では「雇用指針」が盛られ、4月1日に閣議決定された。
国民のいのちや生活、安全に関する基準や最低保障については、特区の対象から外すように、また国民や地域社会の意見を踏まえた抜本的な見直しを迫ると同時に「雇用指針」の撤回を強く求めている。
雇用指針を読んでみると、これはグローバル企業が日本の雇用ルールを的確に把握し、予見可能性を高めるためだとある。
特筆すべきは、この雇用指針には「内部労働市場型」と「外部労働市場型」の人事労務管理という概念が出てくることにある。
びっくりしたのは、「外部労働市場型」という、外資系企業や長期雇用システムを前提としない新規開業直後の企業のための専用労務管理体系があるのだと、あたかも既成事実のように述べていることだ。
大黒全労連議長の表現を借りれば、これはあたかも「外部労働市場型」の場合には解雇や賃下げ等の労働条件変更が容易であるかのような印象を与えるものになっているという。
確かに、雇用指針【概要】を読むと、【外部労働市場型の人事労務管理】という、飛躍的な言語置換によって【外部労働市場型】という、あたかも別枠の“専用フィールド”が存在していたかのように意図的な誘導が行われている。
ネットを調べると、「外部労働市場型」という言葉は、数年前から労働法制関連の記事に散見されるから、そういう概念はかなり以前から海外などにはあったようだ。
だが、そのことと、この日本に、労働市場における『内部』と『外部』の等価分画がすでに存在していたなどということは、異次元の論理飛躍以外の何ものでもない。
日本には「外部労働市場型」などという、言わば実体としての“専用フィールド”は過去にも現在にも存在しておらず、存在するのは規制緩和推進派の企業関係者や政府、関係官僚の主観の中だけである。
ここに国家戦略特区諮問会議の悪質な詐術が見えている。
思えば、過去(何十年も前から)に外資系企業が、その非日本的な体質によって労使紛争を頻発させていたことは確かだろう。
だから企業は紛争の度にその対応に苦慮してきたものと思われる。
それが法廷まで行って、結果として労使紛争の判例集がデータとして集まっていることは確かだろう。
だが、その事実が「外部労働市場型」という実体的な労働フィールドを形成しているわけではない。
言っている意味がお分かりだろうか。
国家戦略特区諮問会議で提案された「雇用指針」、そこに唐突に出てくる「内部労働市場型」と「外部労働市場型」という区分けは、邪悪な意図を持ったフレームアップ(捏造)なのである。
くりかえすが、「外部労働市場型」なるリアルなフィールドは存在しない。存在するのは、外資系企業に労使トラブルが頻発し、それをどう処理してきたのかという経過があるだけである。
諮問会議が、それをあたかも『外部労働市場型』という実体であるかのように思わせているのは、もはや詐術に近いレトリックというべきだろう。
なぜこのようなフレームアップを施したのかと言えば、それは大黒作治全労連議長が見抜いているように、解雇や賃下げ等の労働条件変更の文脈に乗せるために決まっているのだ。
日本人には昔ながらの長期雇用を前提とする「内部労働市場型」があり、かたや外資系企業や長期雇用システムを前提としない新規開業直後の企業のための「外部労働市場型」が、いかにも高い蓋然性で存在していたかのような印象を与えている。
それにしても国民はバカにされたものである。
「内部労働市場型」「外部労働市場型」の区分については、法律による明確な規定が存在しない以上、この両者の分画は概念上にしか存在していない。
実体として存在しているのは「日本型労働市場」のみである。
この意図的な分画概念の類型的適示表現は、レトリック(修辞法)というよりも、もはや詐欺に近い手法だろう。
国民がこの言葉の魔術に惑わされているあいだに、国家戦略特区はこの“イリュージョン”を土台にして、日本国内にグローバル企業に都合のよい『別の労働法制』を敷き、解雇や賃下げなどの労働条件を容易に変更できる体制に導こうとしている。
「内部労働市場型」「外部労働市場型」の区分けは、労働マーケットの二分構造というよりも、一国二制度と言った方がより的確なのである。
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