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連続ドラマW「トクソウ」の原作者・郷原信郎が明かす「検察と司法マスコミの共犯関係」
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/39005
2014年04月18日 永田町ディープスロート 現代ビジネス
WOWOW×現代ビジネス特別連載第1回
文:郷原信郎(弁護士、元東京地検特捜部検事)
2010年以降、特捜検察の「暴走」が次々と明らかになりました。
厚生労働省の局長だった村木厚子さんが逮捕された郵便不正事件では、大阪地検特捜部の検事が証拠品のフロッピーディスクの内容を改ざんしていました。小沢一郎・元民主党代表の資金管理団体「陸山会」を巡る事件では、東京地検の特捜部長が、聴取した小沢氏の元秘書・石川知裕議員の供述内容を歪めて捜査報告書に記載していることが明らかになりました。
この2つの事件で、検察は世の中から大きな批判を浴び、その威信は大いに低下したと言っていいでしょう。
しかし特捜検察の暴走はいまに始まったことではありません。ずっと以前からあった構造的な問題なのです。
■検察と司法マスコミの歪んだ関係
私がその実態を目の当たりにしたのは、東京地検特捜部の検事として直面した「ゼネコン汚職事件」捜査のときでした。
この事件では、政治家や首長、ゼネコン幹部などが逮捕されましたが、捜査の過程でさまざまな問題点が露呈しました。
一つは、検察が思い描いたストーリーに沿う供述をもとめるがために行われる暴力的な取り調べです。この事件では静岡地検浜松支部から応援に来ていた検事が、参考人である宮城県幹部に全治三週間のけがを負わせるという事態が生じました。
もう一つは、1994年1月9日に朝日新聞が「関係者の証言」として報じた記事です。茨城県内の公共工事受注を狙う三井建設から、地元選出の大物議員・梶山静六氏へ1000万円が渡っているという内容でした。この記事をきっかけに、多くのマスコミは梶山氏の疑惑を報じ、世論の関心は「大物議員・梶山氏の逮捕はいつか」ということに注がれるようになりました。
しかしこの件は後に、三井建設側の窓口役だった幹部が個人的に着服しており、梶山氏側にカネがわたった事実はないことが明らかになりました。その事実が明らかにならなければ、世論の後押しを受けた特捜部は梶山氏を逮捕していたかもしれません。
件の記事は、検察のしかるべき立場の人間がある程度の示唆を与えないと書けないと考えるのが自然です。検察幹部から朝日新聞に何らかのリークがあったのは明らかです。
この捜査に私は直接携わったわけではありませんが、一連の動きを見ていて痛感したことがあります。検察と司法マスコミの歪んだ関係はどうしようもないところまできている---。
■司法マスコミは事件を煽り、検察は事件を煽らせる
特捜部というのは一種の軍隊組織です。上司がスジ読みしたストーリーに沿った証拠や供述を集めた検事が評価されます。捜査の途中で、上司のスジ読みが間違っていると気付くことがあっても、上司に意見し、一度走り出した捜査を後戻りさせることはまずできません。力づくでも事件の格好に仕上げていこうとする習性が組織に沁みついているのです。
一方の司法記者クラブに詰める新聞社やテレビ局の司法記者も、ある種の軍隊的組織の中で働いています。来る日も来る日も幹部への夜回りを続け、なんとか取り入ってネタを取ろうとする。そうやって仕込んだネタが事件として弾けるのをじっと待ち、いざ特捜部が着手する段になれば紙面で大々的にその成果をアピールする。これが彼らのメンタリティです。
モミ手で幹部に取り入ってネタを取ってくる記者が往々にして出世街道を駆け上っていく。そこには権力の暴走をチェックしようという意識が働くことはほとんどありません。
実際、暴力的な取り調べをする検事がいるということは、司法記者なら誰でも知っていることでしたが、それを批判する記事はゼネコン汚職でけが人が出るまでほとんど皆無でした。
司法マスコミは事件を煽り、検察は事件を煽らせる。両者の共犯関係が検察の暴走を許してきたと言っていいでしょう。
私はゼネコン汚職事件の当時から、こうした検察と司法記者の歪んだ関係を世の中に知ってもらいたいと思っていました。守秘義務の問題もあるため、フィクションの形でなんとか世に問えないかと思案し、ようやくまとめたのが2011年、由良秀之の名前で出した『司法記者』です。
■連続ドラマW「トクソウ」がWOWOWで放送
郵便不正事件と陸山会事件で発覚した特捜検察の暴挙を見て、司法マスコミは一斉に検察批判を展開しました。
ようやく司法マスコミによるチェック機能が働くようになったのでしょうか。私はそうは思いません。「暴走」は検察とマスコミによる共犯関係の上に成り立っていたのです。マスコミは検察を批判する前に、まずは自己批判する必要があります。記者クラブを拠点に検察幹部にすりよってネタを取るスタイルが果たして報道としての機能を十分に発揮してきたのか。その検証が欠かせないはずです。
そういう問題意識を書き込んだ『司法記者』を原作とする連続ドラマW『トクソウ』がWOWOWで放送されることになった。報道部門を持たず新聞社の系列に入っていないWOWOWだからこそ放送できるドラマだと言えるでしょう。
郷原信郎(ごうはら・のぶお)
1955年島根県松江市生まれ。弁護士。東京大学理学部卒。東京地検特捜部、長崎地検次席検事、法務省法務総合研究所総括研究官などを経て、2005年より桐蔭横浜大学法科大学院教授、06年弁護士登録。08年郷原総合法律事務所開設(現・郷原総合コンプライアンス法律事務所)。関西大学客員教授、公正入札調査会議委員(国交省、防衛省)、産業構造審議会商務流通情報分科会安全小委員会委員(経産省)、横浜市コンプライアンス外部委員なども務める。由良秀之のペネームで出版した『司法記者』をはじめ、『独占禁止法の日本的構造』『コンプライアンス革命』『思考停止社会』『特捜検察の終焉』『銀行問題の核心』など著書多数。
WOWOW × 現代ビジネス特別企画
「田原総一朗の昼から生トクソウ」
〜連続ドラマW「トクソウ」が描く地検特捜部の裏側を徹底討論〜
■配信日時 2014年4月22日(火)13:00〜14:30(予定)
■ニコニコ生放送の番組URLはこちら
http://live.nicovideo.jp/watch/lv176259352
5月11日(日)夜10時よりWOWOWプライムで連続ドラマW「トクソウ」がスタートします。「特捜検察」の驚愕の実態を圧倒的なリアリティでえぐる社会派サスペンスです。このドラマの放送を記念して、WOWOW×現代ビジネス特別企画「田原総一朗の昼から生トクソウ」を無料配信することが決定しました。インタビューの巨人・田原総一朗と元検事で本ドラマの検察監修を務めている郷原信郎(弁護士)のスペシャル対談により、特捜検察の「実態」を徹底的に掘り下げていきます。連続ドラマW「トクソウ」の面白さが倍増する特別企画、どうぞご期待ください。
WOWOW連続ドラマW「トクソウ」
著者: 由良秀之
『司法記者』
(講談社、税込み745円)
密室の女性記者死体・大物政治家「政治とカネ」疑惑---二つの事件が交差するとき、驚愕の真実が明らかに。検察を知り尽くす元特捜弁護士がこの国の「正義」の暗部を暴く!
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