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NHK経営委員 問題の二人の任命理由は……
http://hunter-investigate.jp/news/2014/04/16-nhk.html
2014年4月16日 09:00 HUNTER
就任会見で、従軍慰安婦は「どこの国にもあった」、特定秘密保護法は「通ったので、言ってもしょうがない」などと発言したNHKの籾井勝人会長が、今月13日、自局の情報番組「とっておきサンデー」に出演し、一連の問題発言について説明、謝罪した。
受信料不払いが拡大する中、一方的な形で幕を閉じるつもりらしいが、言説が問題視されているのは籾井氏だけではない。
同氏を会長に選んだのはNHKの経営委員。そのうち二人が、極端な内容の主張を展開し、批判される事態となっていたことを忘れてはならない。
長谷川三千子氏と百田尚樹氏。この二人がどうして「不偏不党」を求められるNHKの経営委員に選ばれたのか――国への情報公開請求によって、任命理由を確認した。
象徴天皇制を否定した長谷川氏
国会論戦の中でも取り上げられた長谷川氏の問題の主張とは、新右翼として活動し朝日新聞社内で自決した野村秋介氏の追悼文集に掲載された一文。そこには、次のように記されていた。
野村秋介氏が二十年前、朝日新聞東京本社で自裁をとげたとき、彼は決して朝日新聞のために死んだりしたのではなかつた。彼らほど、人の死を受け取る資格に欠けた人々はゐない。人間が自らの命をもつて神と対話することができるなどと露ほども信じてゐない連中の目の前で、野村秋介は神にその死をささげたのである。「すめらみこと いやさか」と彼が三回唱えたとき、彼がそこに呼び出したのは、日本の神々の遠い子孫であられると同時に、自らも現御神(あきつみかみ)であられる天皇陛下であつた。そしてそのとき、たとへその一瞬のことではあれ、わが国の今上陛下は(「人間宣言」が何と言はうと、日本国憲法が何と言はうと)ふたたび現御神となられたのである。
報道機関の社屋内で拳銃自殺した野村氏を賛美し、「日本国の象徴であり日本国民統合の象徴」である天皇を、現御神=現人神(あらひとがみ)に見立てたもの。戦前、戦中を通じ、天皇を「神」に祭り上げたため引き起こされた悲劇を否定しただけでなく、国内外に危険思想の持ち主が国営放送の意思決定にかかわっていることを知らしめた形だ。長谷川氏については、産経新聞に寄せたコラムで、女性の社会進出が出生率を低下させたと主張し、男女共同参画社会基本法を批判していたことも分かっている。同氏は憲法改正論者でもあり、戦前の日本を美化する言説が目立つなど「不偏不党」とはもっとも縁遠い人。その長谷川氏を、NHKの経営委員に就任させたのは安倍首相である。
国への情報公開請求で入手したNHK経営委員の任命過程を示す文書では、《著作が高い評価》を受けており、《我が国を代表する哲学者・評論家》だから、手腕が発揮されることが期待できるのだという(下の文書参照)。長谷川氏の主張は、前述した通り。これで政治的中立が求められるNHKの経営委員に適任だとは到底思えない。
知事選候補を「クズ」呼ばわりした百田氏
作家の百田尚樹氏は、東京都知事選挙に立候補していた田母神俊雄氏の応援演説でこう発言した――「この場で他の候補者のことを悪く言いたくはないですが、名前は言いませんが、日本のクズみたいなやつに投票してほしくないです」。
さらに、過激さはエスカレート――「1938年に蒋介石が日本が南京大虐殺をしたとやたら宣伝したが、世界の国は無視した。なぜか。そんなことはなかったからです」、「極東軍事裁判で亡霊のごとく南京大虐殺が出て来たのはアメリカ軍が自分たちの罪を相殺するため」……。
開き直って、こうも言った。「私は実は去年からNHKの経営委員にもなっているんですが、NHKの経営委員がこんなこと言うてもええんか、と非難を受けたんですが、私はまたそこでツイッターで言いました。『ええんや』と『ほっとけ』と。私は別に何も怖いものないです。もう昔から好きなこと言ってきたんで」。
「ええんや」「ほっとけ」は認められない。NHKは「公共放送」、偏った思想の持ち主が経営に関与することが許されるはずがない。自由に発言したいのなら、経営委員を辞任すべきだったが、いまだに居座ったままである。
安倍首相の百田氏任命理由を見てみよう。
・百田氏の著作『永遠の0(ゼロ)』が300万部のベストセラーとなった
・『海賊と呼ばれた男』も150万部売れた
・作品が多くの読者の共感を得て、高く評価されている――だからNHKの経営委員として、手腕が発揮されることが期待できるのだという(下の文書参照)。
長谷川氏の主張同様、百田氏の発言は多分に偏った内容だ。明らかに「右」に大きく傾いたものであり、「不偏不党」とは相容れない。お二人とも、一部の日本人からは支持されているのかもしれないが、大多数の共感を得ているとは言い難い。なにより、それぞれの言説が問題視されたことは、NHK幹部に求められる資質が欠如していることの証しでもある。安倍首相の任命が間違いだったことは明白だが、辞任などあるはずがない。首相の狙いが、NHKに右寄りの人間を集めることにあったからだ。
真の任命理由とは
安倍首相が長谷川、百田両氏をNHKの経営委員に任命した真の理由は、極右的思想・信条を広めるという「手腕」を発揮させ、目障りだったNHKを黙らせるためだろう。長谷川、百田両氏のほかにも、かつて首相の家庭教師だったという日本たばこ産業顧問の本田勝彦氏、海陽中等教育学校長の中島尚正氏など首相と関係の深い人間ばかりがNHKの経営委員に任命されている。この方々が選んだ会長が籾井氏なのだ。
かつて官房副長官だった安倍氏が、従軍慰安婦を扱った番組についてNHK幹部に「公平・公正にやれ」と圧力をかけていたことは周知の事実だ。この時は番組内容が変更されたが、首相の狙いはNHKの体質そのものを変えることにある。右の論客を経営の中枢に揃えて放送内容までコントロールさせ、歴史認識や憲法に関する自分たちの考えを国民に浸透させようという魂胆が透けて見える。
死に体
籾井氏による問題発言の内容は、長谷川、百田両経営委員の言説と通底しており、それだけでもこの放送局の現状が危機的であることを示している。そうしたなか、NHKに求められていたのは、自局の情報番組で一方的な会長の言い訳を垂れ流すことではなく、きちんとした報道番組で会長や経営委員の発言を検証することだった。これは報道機関としての最低の義務だろう。しかし、NHKは今日までだんまりを決め込み、批判の嵐がおさまるのを待つ構えだ。これでは報道失格。受信料不払いが増えるのは当然だろう。NHKは「死に体」なのである。
ちなみに、国への情報公開請求で得た文書から、NHKの経営委員長には年間約620万円、経営委員には年額約495万円の「給与」が出されていることが分かった。言いたい放題で、たまに会議に出てこれだけの給与。果たしてこれが正当な報酬と言えるのか。原資は、受信料のはずだが……。
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