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籾井NHK体制を支える安倍首相。NHK理事の人事問題は人気に影響する可能性も photo gettyimages
「番組で平謝り」の籾井NHK会長が、それでも4月に「理事入れ替えを画策」の噂は消えず!
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/38942
2014年04月15日(火) 町田 徹「ニュースの深層」 現代ビジネス
「視聴者の皆様に、大変なご心配をおかけしました。こうした事態を招いたことを反省し、深くお詫び申し上げます。私の個人的な見解を放送に反映させることは断じてありません」――。
■「番宣番組」で頭を下げた籾井NHK会長
日曜日(4月13日)の朝のお茶の間に、あの籾井勝人NHK会長が頭を下げる姿が飛び込んできた。政治的な中立性を疑われる発言などで国会審議を紛糾させ、受信料の不払いが急増しかねない事態になっていることから、総合テレビの番組『とっておきサンデー』の冒頭で、あらかじめ収録していた籾井会長のお詫びビデオが放映されたのである。
果たして、籾井会長の反省と謝罪は、本物なのだろうか。筆者が取材したところ、首を傾げたくなるような噂が流れていた。
「人事権の乱用」はしないという国会での公約を反故にして、NHKの幹部人事への介入を画策しているというのである。事実ならば、再び会長としての資質を問う声が沸騰しかねない問題である。
ありていに言えば、『とっておきサンデー』は、NHKの「番宣」(番組宣伝)番組だ。1時間近くをかけて、朝の連続テレビ小説や夜の特別ドラマをじっくりと紹介し、視聴者を獲得しようという内容である。秒単位で放送・広告枠をスポンサーに売らなければならない定めの民放各局にはとても真似できない、NHKならではの番組なのだ。
だが、13日の『とっておきサンデー』は、いつもと様子が違った。いきなり籾井会長が登場し、深々と頭を下げたのだ。
そして、公の場で個人的な見解を表明して多くの視聴者から批判が寄せられたことや、国会を紛糾させたことに言及、反省と謝罪の言葉を口にした。女性アナウンサーからの質問に答える形で、NHKは放送法で公平、公正、不偏不党などを義務付けられており、会長の個人的見解が放送に入り込む余地はなく、そのようなことは断じてしないとの確約もした。
籾井体制の発足で最も懸念されたのは、NHKが税金ではなくて受信料で運営する「公共放送」であるにもかかわらず、不偏不党の大原則を曲げて政権べったりの放送姿勢に転換し、視聴者に正確かつ客観的な事実を報道しなくなるのではないかという問題だ。
それだけに、籾井会長が、この日の放送で確約した通りに、NHKが放送をしていくのならば、われわれ視聴者もひと安心と言ってよいだろう。
■専務理事二人の人事を籾井会長がどうするかに注目
ところが、筆者が関係者を取材したところ、この約束がきちんと守られるか疑わざるを得ない噂が存在した。
籾井会長が、一般企業の取締役に当たるNHKの理事の入れ替えを目論んでいるというのだ。具体的に入れ替えようとしているのは、今月24日に、2年間の任期を終える5人の理事らしい。
5人の中でも、上席にあたる専務理事で、経営企画、メディア企画業務、新放送センターの3部門を統括する塚田祐之氏(昭和50年NHK入局)と、関連事業、人事・労務、特命管理部門改革の3部門を統括する吉国浩二氏(同)の2人の入れ替えに、特にご執心という。
背景には、籾井会長に反発するNHKのプロパー職員たちを力で抑えつける意図があるらしい。理事全員に籾井氏が就任直後に辞表を書かせていた問題や、NHKの不祥事などの外部へのリークがNHKで相次いでいることに対抗して、人事で強権を発動し、内部出身者として筆頭の座にある2専務理事を粛清することで、不満を抑え込もうというわけだ。
とはいえ、本当に、こうした強権発動を強行すれば、そのマイナスの影響は計り知れない。
そもそも一般の企業で内部の支持を集めて社長の座を射止めた経営者でも、就任直後は、大胆な役員の入れ替え人事を慎むことが少なくない。なぜならば、前任者の経営方針を否定する意思の表れと受け止められ、反発を招く懸念が大きいからだ。
当の籾井氏は、もともと内部から強い反発を受け易い落下傘型の経営者だ。しかも、すでに自らの失言によって、組織を危機に陥れる失策を犯している。
そうした状況で強権を発動すれば、逆効果になるのは火を見るより明らか。会長への反発は強まるばかりだろう。必要なのは、むしろ、理事や職員に胸襟を開いて協力を求め、内部の結束を固めることのはずである。
付言すれば、内部人事での強権発動は、国会との関係でも問題を引き起こす。籾井会長は、就任直後に理事全員に辞表を提出させていた問題を執拗に国会で追及されたため、3月20日の参議院予算委員会で、民主党の小川敏夫議員の追及に対して、「人事権を乱用することはしない」と宣言し、事態の収拾を図ったからである。
もし、人事介入を強行すれば、予算、決算、事業計画など要の事項について、毎年、国会の承認を必要とするNHKの運営の舵取りが困難になるのは確実だ。
人事権の乱用を自重すると国会で公約しておきながら、1ヵ月も経たずに反故にするようでは、「個人的見解を放送に反映しない」と13日の『とっておきサンデー』で視聴者に約した不偏不党の姿勢も本当に維持されるのかという疑問が湧いてくる。
■まだ節度を保つNHK経営委員会
もうひとつ、そもそも論を言うと、籾井会長が固執したとしても、そうした人事介入が実現する可能性は低い。
というのは、一般企業の社長、副社長、取締役に相当するNHKの会長、副会長、理事については、放送法がそれぞれ人数や選出方法、任期、職務の内容などを細かく規定しているからである。このうち理事の人数は、「会長1人、副会長1人及び理事7人以上10人以内」となっているが、その選出には「経営委員会の同意を得て、会長が任命する」という条件が付いている。
NHKの経営委員会は、浜田健一郎委員長(ANA総合研究所会長)のように再任された経営委員もいるものの、全員が国会の承認を得て安倍政権に任命された人物だ。
この中には、長谷川三千子氏(埼玉大学名誉教授)、百田尚樹氏(小説家)ら思想的に安倍総理に近く、籾井氏を無条件に支持してきた人物もいる。付言すれば、松本正之前会長(元JR東海社長)の首のすげ替えに熱心だったとされる石原進氏(JR九州会長)も、そうした籾井支持派の一人と言える。
しかし、これまでの動きを調べると、盲従的な籾井支持派は、長谷川、百田、石原の3氏を含めて5人程度しかいない。残る7人は、籾井会長に是是非非で応じる姿勢を守っている。つまり、全体としてみれば、経営委員会は、まだ一定の節度を保っているのだ。
実際のところ、経営委員会は、問題発言を繰り返した籾井氏に対して、浜田委員長が2度にわたって異例の厳重注意を与えただけでなく、委員会の総意として「誠に遺憾だった」と籾井氏を批判するコメントも出している。
問題の噂では、籾井会長は今月22日の経営委員会に、理事を入れ替える人事案を諮る構えをみせているという。しかし、籾井案に対し、経営委員会は独自の良識を発揮して、承認を与えない可能性が大きい。
■人事権乱用は百害あって一利なし
結局のところ、冷静に情勢をみれば、籾井会長が公約を反故にして人事で強権を発動しようとしても、その目論見が実現する可能性は非常に小さい。
むしろ、視聴者や国会、NHK内部の籾井氏に対する信頼を一段と損ねる結果に終わるのが落ちだ。
加えて、そうした行為は、籾井体制を支えてきた安倍政権に対する不信感を呼ばずにはおかないだろう。
籾井会長には、ぜひ本稿をお読みいただいて、百害あって一利なしの人事権の乱用を自重することを望みたい。
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