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2014年4月14日
安倍政権が発足して間もなく1年半の時間が経過するが、安倍首相がアピールするほど日本経済は改善していない。
2007年に安倍首相が総理の職を放り出して以来、内閣総理大臣の交代は年中行事と化してきた。
毎年首相が交代してきたのだ。
それが、2007年以降では初めて、2013年は首相交代のない年になった。
最大の背景はねじれの解消である。
安倍晋三自民党は2013年7月の参院選で勝利した。
これによって、衆参ねじれが解消したのである。
2006年に民主党が解党の危機に直面して、小沢一郎氏が民主党代表に就任した。ここから民主党の大躍進が始まり、自民党支配の政治にくさびが打ち込まれた。
小沢氏が率いる民主党が2007年7月参院選に勝利して、参院で与野党逆転が生じた。
そして、小沢−鳩山民主党は、既得権益の激しい攻撃を跳ね除けて、ついに2009年8月総選挙に勝利し、政権交代を実現させた。
この小沢−鳩山政権が2010年7月参院選に勝利していれば、小沢−鳩山政権の下でねじれが解消し、日本は名実ともに新しい時代に突入したはずである。
逆に言えば、日本の既得権益勢力は、その実現だけは何としても阻止しなければならなかったのである。
彼らは目的のためには手段を選ばぬ行動を取り、小沢ー鳩山政権は卑劣な猛攻撃を受けて政権転覆に直面し、クーデター政権である菅直人政権が2010年7月参院選に大敗して、日本政治刷新の機会が失われたのである。
こうして、安倍晋三氏が首相だった2007年に自民党が参院選に大敗して発生して生まれたねじれ現象が、6年間にわたって持続してきた。
ねじれの下では、参院で与党が追及を受けると政治が停滞する。
政権は追い込まれ、退陣に追い込まれる。
2007年の安倍首相退陣以来、2012年の野田首相退陣まで、実に6人の首相が毎年退陣に追い込まれてきた。
日本の既得権益勢力は小沢−鳩山政権による安定政権樹立を阻止したうえで、状況の大転覆を画策した。
民主党の中の既得権勢力に寝返った勢力に政治権力を奪わせ、この傀儡政権に消費税大増税の汚れ仕事を押し付け、その消費税大増税によって、政権を再び自民党側に奉還させたのである。
そして、メディア情報を操作することによって、2013年7月参院選でも安倍自民党の勝利を誘導し、状況を大転覆させての「ねじれ解消」を強引に誘導したわけである。
2013年7月参院選に際して、メディアは「ねじれの解消」を前面に掲げた。
ねじれさえ解消してしまえば、政権が何を行おうが、厚顔無恥に政権に居座れば、長期政権を実現できる。
振り返ってみれば、小泉政権も失策続きの政権であったが、国会がねじれていなかったために長期間、政権を維持できたのである。
私が昨年7月に『アベノリスク』(講談社)を上梓したのは、この点への警戒感に基づくものだった。
参院選で安倍晋三自民党が勝利すると、ねじれが解消し、安倍政権が日本の重大問題を独断専行で決定してしまい、主権者である国民がその決定に口をさしはさめぬ状況が生じる。この現実を警戒したのである。
残念ながら、この懸念が現実のものになった。
安倍政権の政権運営は極めて多くの問題を有しているが、与党が衆参両院を支配してしまっているために、すべてのものごとが、ごり押しで通されてしまう状況が生まれている。
公明党が自民党にブレーキを掛けるそぶりを示すが、本当のところは疑わしい。
自民党元参議院議員会長の村上正邦氏は、著書
『だから政治家は嫌われる』(小学館)
で、公明党の政権批判は「やらせ」であると指摘している。
安倍政権の政権運営に対する世間の批判を和らげるために、公明党が「やらせ」で安倍政権の暴走をけん制する「ふり」を示しているだけなのではないか、と指摘する。
公明党は与党でいることに価値を置いていると見られ、結局は「下駄の雪」のように、自民党に追従してゆくことになるのではないだろうか
安倍政権がいまも飛行を続けている原動力は、政権発足後の半年に実現した株高である。
これをメディアが絶賛し、その「慣性力」で安倍政権はいまも飛行を続けている。
しかし、薄っぺらなメッキは剥がれ、アベノリスクの醜悪な現実が姿を現し始めた。
労働者の所得は増えず、物価は上がり、ここに消費税の巨大な負担増が乗せられる。
頼みの綱の株価上昇も、年初来、株価下落に転じている。
安倍首相は4月中に日銀総裁と会談すると報じられているが、4月30日に予定されている日銀の政策決定会合で追加金融緩和政策を打ち出すための「出来レース」である。
この会談を受けて日銀が追加金融緩和政策を決定し、安倍首相の指導力を演出しようというわけだ。
瞬間的には市場が反応するだろうが、大きな効果を期待できない。
安倍政権の政策失敗は徐々に明らかにされてゆくが、国会がねじれていないと、政治のねじれが解消されない。
私たちは「ねじれの効用」を見直すべきである。
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