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2014年4月13日
政府は3月28日、国家戦略特区諮問会議で国家戦略特区の第一段階として、東京圏、関西圏、沖縄県、新潟市、兵庫県養父市、福岡市を指定した。
一方、竹中平蔵氏は、あちこちで国家戦略特区構想とあいまって、ほぼ同時期に東京アジア・ヘッドクォーター特区(AHQ特区)を打ち出していた。
――中略――
2013年4月17日の産業競争力会議、この日は日本の戦後経済史を負の方向に大きく書き換える衝撃的な構想が竹中平蔵氏の提案によって打ち出された。
それは国家戦略特区構想の原案だった。
口火を切ったのは安倍首相。
首相は「世界一ビジネスのしやすい事業環境を実現するための橋頭堡(きょうとうほ)として、特区制度に光をあてる」と突然表明した。
それを受け、竹中平蔵慶大教授ら民間議員が「アベノミクス戦略特区」の創設をすかさず提言した。
これが竹中平蔵氏が企画構想した「国家戦略特区プラン」が初めて政治の表舞台に登場した瞬間だった。
2013年2月22日、日米首脳会議が行われ、その席上で安倍首相はTPPについて、次のように語っていると、同日の日付で外務省が報じている。
安倍首相は、オバマ大統領には、「『聖域なき関税撤廃』を前提にする限り、TPP 交渉参加に反対する」という公約を掲げ、また、自民党はそれ以外にも5つの判断基準を示し、政権復帰を果たした等の状況を説明したという。
――中略――
ところがである。この後の政府や関係官僚の態度は非常に訝しいものだった。
2月27日の国会質疑で自民党議員は、昨年(2012年)の総選挙における自民党の公約、次の判断基準6項目で、「『聖域なき関税撤廃』を前提にする限り、交渉参加に反対する。」だけを首脳会談のテーブルに上げたのか、それとも他の5項目もオバマ大統領にきちんと提起したのかを首相や菅官房長官に質問していた。
(1)政府が「聖域なき関税撤廃」を前提にする限り、交渉参加に反対する。
(2)自由貿易の理念に反する自動車等の工業製品の数値目標は受け入れない。
(3)国民皆保険制度を守る。
(4)食の安全安心の基準を守る。
(5)国の主権を損なうようなISD条項は合意しない。
(6)政府調達・金融サービス等は、わが国の特性を踏まえる。
安倍首相の答えは、6項目の判断基準の全部を大統領に伝えてある(あるいは「読み上げてある」)と返答し、菅官房長官は残りの5項目を総合的に検討することを述べた。
だが、この答弁はその後大いなる疑念を孕んだまま何も解決せずに今日に至っているのだ。なぜなら、マスコミも政府発表も首脳会談後に残りの5項目について、まったく言及していないからだ。
ここに湧きあがっている疑問は、もし、安倍首相が米大統領に上記5項目をきちんとサジェッションしていたなら、当然ながら、マスコミや政府機関は、それに対する米国側の何らかの反応を発表しなければおかしいという話だった。
外務省が日米首脳会談当日に発表したTPP関連事項、すなわち“他の5項目も伝えている”という点が、米国側の反応からは全くうかがい知れないものだったから、こういう疑問が出たのである。
一部報道には米国はむしろ関税の聖域はいっさいないということだった。
ところが、安倍首相、政府関係者、関係官僚、東京新聞を除くマスコミはそれ以来、自民党が公約に掲げた判断基準の5項目を頑なにスルーしたままなのである。
ここから想像される帰結は二つに一つである。
1つは安倍首相がきちんと6項目すべてを説明したにもかかわらず、米国は(1)以外の5項目を全て拒絶、それも“峻拒(しゅんきょ=はっきりと拒むこと)”したということである。
もう一つは、政府、官僚、マスコミは、アメリカが5項目を峻拒するという事実をあらかじめ百も承知で、会談でその部分は故意に取り上げずに、そのことをけっして国民に知らせまいとした。
これは限りなく後者の可能性が高い。
思い出して欲しいが、今から一年以上も前のことだが、安倍首相や官邸は野党や一部の記者から、TPPの判断基準5項目はいったいどうなっているかという、執拗な問いかけに対して異常なまでのだんまりを決め込んでいて、それは今になっても続いているのだ。
これは安倍首相が最も訊ねてほしくない質問だったことがありありと見えていて、当時の良識あるTPP懐疑派は、なぜここまでこの話題を避けるのかと、大いに訝しく思っていた。
今となってはっきり分かることがある。
それはTPPの判断基準の5項目を政府サイドが頑なにタブー化してしまったことには明確な理由があったということである。
もうすでにお気づきだと思うが、判断基準5項目の性格を考えればその答えはすっきりと見えてくる。それはこの5項目が非関税領域の死守になっているからだ。
――略――
留意してもらいたいが、もし、この5項目を米政府と結託したグローバル企業に遵守させたとすると、竹中平蔵氏が推し進めている国家戦略特区で展開される重要スキームの「規制緩和」が困難になるからである。
ここには、国家戦略特区で謳われる雇用も、教育も、都市計画も、言語化されてはいないが、「国の主権を損なうようなISD条項には合意しない」とか「わが国の特性を踏まえる」を適用されると、企業本位の規制緩和が困難になることは明白である。
だからこそ、アメリカは自民党公約のTPP判断基準5項目を徹底的に拒絶し、安倍政権にそれを黙殺するように圧力をかけたのである。
もしも、日米首脳会談でオバマ大統領がこの5項目を受け入れていたなら、国家戦略特区の実現可能性は最初からあり得なかったことになる。
ここにいたって、国家戦略特区が一貫して秘密裏に進められ、パブリックコメントもスルーしたまま法制化に突っ走った意味が見えてくる。
つまり、TPP判断基準の5項目は、広義の意味で非関税障壁を守る項目になっているから、これが履行される状態になれば竹中平蔵氏の多国籍企業群の呼び込みはできなくなるのである。
なぜなら、国家戦略特区の裏の目的は、日本収奪を目的とする投資とM&Aを目論むグローバル企業群の圧倒的な優遇政策だからである。
それには「非関税障壁の破壊」、つまり日本の特性をことごとく破壊する“規制緩和”が仕組まれているからだ。
2013年11月6日、USTR(アメリカ通商代表部)のウエンディ・カトラー次席代行は、以上のことを傍証できる重要な発言をしているのだ。
月刊日本3月号で、ジャーナリストの東谷暁(ひがしたに さとし)氏の「国家戦略特区はTPPの受け皿だ」で、カトラー氏は次のように述べたという。
「TPP交渉の非関税分野の議論はほとんど全て安倍首相の三本目の矢の構造改革プログラムに入っている」と。
この言葉からはっきり分かるように、TPP判断基準5項目はアメリカ(グローバル企業)にとっては最大の“鬼門”だったのである。
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