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オバマ米大統領来日で問われる安倍首相の歴史観
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2014年4月12日 藤本順一が「政治を読み解く」
安倍晋三首相は8日のテレビ番組で関係修復が急がれる韓国に対して「基本的価値、戦略的利益を共有している。北朝鮮に対して日米韓で対応することが求められている。そういうことにも重きを置いていただきたい」と注文をつけた。しかし、重きを置いていないのは、日本とて同じだ。従軍慰安婦をめぐる河野談話の見直しに言及し、昨年末の靖国神社参拝で日韓に燻る火種に油を注いでしまったのは、他ならぬ安倍首相自身である。
それに気づいたからこそ、安倍首相は前言を翻して河野談話を踏襲することにしたのではなかったのか。
そして残るは靖国参拝。折しも今月24日のオバマ米大統領来日を前に21日からの3日間、靖国神社では秋の例大祭が執り行われる。
まさかこの時期の靖国参拝はないだろう。むしろ、この機を逃さず国立の千鳥ヶ淵戦没者慰霊施設にオバマ米大統領を伴い参拝すれば、対韓関係修復の糸口になるはず。オバマ大統領にはさらに広島にまで足を伸ばしていただければ、北朝鮮に核兵器廃絶を求める日米韓の連携をアピールすることもできるが、1泊2日のタイトなスケジュールの中、オバマ大統領の決断次第だ。
過ちを悔い改めることに躊躇はいらない。それこそが保守政治の王道である。その意味で安倍首相が同じテレビ番組で集団的自衛権の行使容認について「限定容認論」に言及したことは評価できる。
対中国、北朝鮮の脅威を前に集団的自衛権の行使容認は避けられないが、偏狭なナショナリズムと歪んだ歴史観に蝕まれた安倍首相が先頭に立てば、自衛隊の無原則な海外派兵に道を拓くのではないかとの懸念があった。
これに対して「限定容認論」はそもそも日米安保条約が現行憲法の制約を受ける中、米軍による日本の国土防衛を期待したものである以上、日本の領海警備や北朝鮮有事など限定的な範囲で自衛隊が米軍と行動を共にすることは当然のこととして容認されるとの立場だ。
是非はともかく、これまで「地理的概念にはとらわれない」としてきた安倍首相が、党内外の慎重論に耳を傾け、これを受け入れたことで現実的で建設的な議論が可能となった。急がば回れだ。
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