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発信箱:課長からの手紙=木戸哲
毎日新聞 2014年04月10日 東京朝刊
http://mainichi.jp/shimen/news/20140410ddm005070049000c.html
もう二十数年前のことだ。私立大で国際法を研究していた教授の元に、一通の手紙が届いた。差出人は外務省で国際法の解釈を担当する部署の課長。教授が書いた論文の内容は我が国の立場と異なる、と記されていた。
自分は国のために論文を書いたわけではない。在野の研究者が政府と違う見解を持つのは当たり前だ。それ
なのに、外務省の官僚が、ああしろこうしろと言ってくるのはおかしくないか。教授は反論をまとめて返事を書いた。やりとりはそれで終わったが、上から国の
考えに従えと押しつけられた気がして、後味が悪かった。
課長はその後、順調に出世の階段を上り、省を代表する「国際法の権威」となった。昨年夏には内閣法制局長官に抜てきされる。集団的自衛権の行使容認を目指す安倍内閣で、法制局勤務経験がないまま長官を務めている小松一郎氏のことだ。
国内外に向けて政府の立場を説明するのは外務官僚の大事な仕事だろう。歴代担当課長の中で、教授にそん
な手紙を送ってきたのは小松氏だけというから、誰より熱心に職務に励んでいたに違いない。初めて課長というポストに就き、力が入り過ぎた面もあったのだろ
うか。学問の自由は憲法で保障された国民の権利だ。いくらなんでも、それをないがしろにする独自の憲法解釈に基づいて手紙を書いたわけではないはずだ。
政府の解釈を見直すだけで、実質的に憲法9条を改正することが許されるのか。法制局長官は、その議論の中心にいる。自分の考えを振りかざさず、慎重に、謙虚に検討してもらいたい。釈迦(しゃか)に説法だろうけど、それが「法の番人」にふさわしい姿だと思う。(社会部)
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