http://www.asyura2.com/14/senkyo164/msg/108.html
Tweet |
このまま幕引きでは、2009年のみんなの党結成への渡辺喜美氏の志とは自己矛盾だ photo gettyimages
「DHC8億円献金疑惑」の渡辺喜美氏も「ゴメン」で済ませて略式起訴では、検察はいらない
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/38913
2014年04月10日(木) 伊藤 博敏「ニュースの深層」 現代ビジネス
謝って済むなら警察は要らない――。
大人はこう子供を叱って、罪を犯せば償わなければならないというルールを教えた。だが、そのルールが揺らいでいる。
■「ゴメン」で済めば検察はいらない
猪瀬直樹前東京都知事は、「5000万円は個人的に借りた」と言い張っていたものの、否認のままでは起訴(検察の在宅起訴か、そうでない場合は検察審査会の起訴議決)が避けられないと知ると、選挙資金を認めて罰金50万円の略式起訴に逃げ込んだ。
みんなの党の渡辺喜美代議士もその線を狙っている。代表辞任は、「党が持たない」というみんなの党の党内事情もあるが、代表を辞任しての5億5000万円の返却には、ゴールデンウィーク後、東京地検特捜部が市民団体などから出されている政治資金規正法や公職選挙法違反容疑の告発を受理、捜査着手の方針を定めていることから、その機先を制する意味合いもあろう。
東京都知事や公党の代表が、「ゴメン」で済ませようとしている。それを了として検察が、起訴議決制度を持つ検察審査会をクリアするという意味で、不起訴よりもっと軽い処分の略式起訴に逃げ込むとすれば、この予定調和捜査には何の意味もない。
まさに、検察は要らない―。
■告発者に裁く権限はない
告発者の吉田嘉明DHC会長も問題だ。
「借りたカネを返済したうえで党首を辞任したのは立派。渡辺さんが語るように、情報収集や意見交換のために使ったに違いない。問題は私にうそをついたこと。道義的には許されないが、刑法上は何の罪にも問われない」
7日、渡辺氏の代表辞任を受けて、こうコメントを発表したが、吉田氏が指摘した問題はなにひとつ解決していない。
2012年11月16日、衆院が解散。その3日後、渡辺氏は吉田氏に、「手持ち資金が5億円ほどありますが、あと5億円ほど必要になります。この分を何とかご融資いただけないでしょうか」というメールを打った。
それを『週刊新潮』の第2弾の手記で公開、「これが政治資金でないというなら、詐欺罪での刑事告発も辞さない」と、拳を振り上げておきながら、謝って返したから許すという。
それは個人的感情であり、政治資金規正法や公選法はもちろん、5億5000万円の返済原資といった法的問題は残るのであり、吉田氏に渡辺氏を裁く権限などない。
■不透明なカネの流れ
大前提として、政治資金の透明性は、確実に実行されなければならないという時代の要請がある。
過去、地検特捜部が、政官界の監視役となり、少しでも瑕疵を見つけると、粘り強く追及、収賄事件に仕立て上げるという時代が続いた。だが、3年前の村木厚子事件、小沢一郎事件の強引過ぎる捜査への反省から「特捜改革」が行われ、取り調べは可視化され、無理な捜査は行わなくなった。
リハビリ期間が何年続くかわからないものの、自白が必要な贈収賄事件は封印、カネの流れを記録で追える政治資金規正法や公選法が、特捜部の武器となった。そこでなにより求められるのは透明性である。
渡辺氏は、釈明会見において、説明責任を果たしたとはいえず、むしろ不信は高まった。DHC事件の捜査で暴かれるべきは、吉田氏から渡辺氏に流れた資金の徹底解明だ。
まず最初に、みんなの党立ち上げに際し、渡辺夫人が「おカネがなくて困っています。地元の栃木に不動産があるので、買っていただけないでしょうか」と依頼。それを受けて吉田氏が、09年1月、言い値の1億8458万円で買った資金の流れである。
土地の名義は、渡辺夫妻のものではなく渡辺美智雄経営センターのもの。であれば、みんなの党の収支報告書に、同社から献金か貸付金が記載されているハズだが、その形跡はない。いったん個人所得とし、渡辺氏が貸し付けたことも考えられるが、不透明であるのは間違いない。
■官僚社会に透明性を求めた渡辺喜美の責任
8億円については、2010年の借用書があり、金利も支払った3億円については、2億5000万円を返済、借入金と認められるが、12年の5億円については借用書がなく、1年以上も返済の実態がないのだから、政治資金収支報告書の虚偽記載が考えられるし、借入金と認められても、選挙運動収支報告書に記載していないのだから公選法違反の疑いが出てくる。
一括返済した5億5000万円については、「妻の口座の5億円」が何を原資とするのかが、当然、問われる。一般人であれば、個人口座の5億円は収入とみなされ、国税当局が黙ってはいない。「妻に預けた」という大物政治家ゆえの“言い訳”は通用しない。
もともと渡辺氏は、「政治とカネ」の線引きがあいまいで、透明性に無頓着だった父・美智雄氏世代の政治家の悪い部分を引き継いでいる。
95年に美智雄氏が他界すると、1億2000万円の申告漏れを指摘されたし、総選挙で巨額の献金を集めながら、それを支出させず、4回の総選挙で7000万円を個人資産に“転化”したと週刊誌に指摘されたことがある。
また、栃木に美智雄氏が設立したファミリー企業と政治団体との不明朗な関係が指摘されたのは一度や二度ではない。例えば、政治団体の家賃は、政党交付金から親族企業の和三紫に支払われていた。
ファミリー企業と個人資産の関係もあいまいで、渡辺夫妻は渋谷区松濤の豪邸に住むが、そこも栃木県那須塩原駅に近い広大な土地も、すべてファミリー企業のもの。資産等報告書には、預貯金はもちろん土地建物などの主要資産は計上されていない。
渡辺氏が政治家として、深くかかわってきたのが行政改革であり、公務員制度の改革だった。霞が関の役人が、既得権確保に汲々とし、情報は自分たちで独り占めする体質を憎悪、みんなの党を立ち上げた。
要は、官僚社会に透明性を求めた政治家が渡辺善美といえるわけで、その透明性の確保に捜査検察としての存在意義を見いだそうとしているのが特捜部である。双方の真摯な対決が、今、求められている。
▲上へ ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK164掲示板 次へ 前へ
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。