http://www.asyura2.com/14/senkyo164/msg/107.html
Tweet |
集団的自衛権の議論に「砂川判決」を持ち出す三百代言 【高野孟の「永田町の裏を読む」】
http://gendai.net/articles/view/newsx/149329
2014年4月9日 日刊ゲンダイ
3日から始まった集団的自衛権容認をめぐる与党内協議のキーマンは自民党の高村正彦副総裁で、何とか「限定容認論」でとりまとめようと腐心している。が、その際に高村が、1959年の「砂川判決」を持ち出して、その最高裁判決の中で集団的自衛権が認められていると説得して歩いていることに対しては、与野党のあちこちから疑問の声が上がっている。
砂川事件というのは、米軍立川基地への反対闘争でフェンスを壊して基地内に立ち入った学生7人が、安保条約に伴う刑事特別法違反に問われた裁判で、第1審のいわゆる「伊達判決」は在日米軍の駐留そのものが日本国憲法第9条2項で保持が禁じられている「戦力」に当たり違憲であるとして全員無罪を言い渡した。
ビックリしたのは米国だ。米軍駐留が違憲というのでは、翌年に控えた安保条約改定など吹き飛んでしまうというので、岸内閣に外交圧力をかけただけでなく、駐日大使が直接、田中耕太郎最高裁長官に極秘接触し、伊達判決を急いでひっくり返すよう強要した。それで、田中自身が裁判長を務めて早々に出したのが砂川判決で、要するに在日米軍は日本の「戦力」ではないから駐留は合憲だと断言した。
その意味で、砂川判決は、司法が米日権力に屈服した恥ずべき歴史の記念碑であって、「今どきこんなものを持ち出してくる感覚が常軌を逸している」と某野党議員は怒る。
しかも、その判決には、集団的自衛権が合憲だとはどこにも書いていない。論理の運びとして、(1)我が国が主権国家として固有の自衛権を持つことは憲法で否定されていない、(2)しかし我が国の防衛力は不足なので、それを「平和を愛好する諸国民の公正と信義」を信頼して補うのは当然だ、(3)安保はその諸国民の公正と正義を信頼するひとつの形であるから米軍駐留は合憲である――ということを言っているのであって、この(1)の「固有の自衛権」というところだけを切り出して、そこには個別的のみならず集団的自衛権も「含まれている(はずだ)」と言って歩いているのが高村である。そんなことは何ら裁判の争点となっていないし、議論にすら上っていない。三百代言とはこのことだ。
読売新聞などがこれを「高村理論」などと持ち上げるから、法理も歴史も知らず、判決そのものなど読んだこともない自民党のボスたちが「なーんだ、最高裁判決で認められているのか」と思い込まされている。集団的自衛権の議論は迷走の揚げ句、知的退廃の泥沼に填(はま)りつつある。
▽〈たかの・はじめ〉1944年生まれ。「インサイダー」「THEJOURNAL」などを主宰。「沖縄に海兵隊はいらない!」ほか著書多数。
▲上へ ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK164掲示板 次へ 前へ
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。