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「日本を傾けた財政赤字の原因は・・(sagakara)」
http://www.asyura2.com/14/senkyo163/msg/815.html
最初に、「日本を傾けた財政赤字の原因は・・(sagakara)」( http://www.asyura2.com/14/senkyo163/msg/815.html )は、政府御用の経済・財政学者の論考よりも優れたものとして高く評価したい。
それでもまず、sagakara氏は自覚していないだけでほぼ理解に達しているとは思うが、法人税と消費税は、課税方法や負担事業者が違うとしても、事業者(法人)に課された税ということでは共通であることを指摘しておきたい。消費税増税は、グローバル企業など一部の企業を除き、法人税の増税以上に負担が大きい法人向け増税策である。
また、sagakara氏は、財政赤字を問題視し、その原因をさまざまなかたちでの法人税減税に求めているが、そのような見方は正しいと言えない。
デフレ不況においては、消費税増税が誤った政策であるのみならず、所得税や法人税の増税も間違った政策である。
増税は、インフレ抑制策として意味があるもので、デフレで喘いでいる国民経済に持ち込んではならない政策である。
むろん、それくらいのことは政府(財務省)もわかっている。
4月1日に実施された消費税増税は、歳入増加を目的とした政策ではなく、TPPなど関税引き下げ圧力が高まるなか消費税を関税の代替として利用しようとするものであり、韓国や中国さらにはドイツとの関係で国際競争力を劣化させている日本のグローバル企業を金銭的に支援するためのものである。
政府や学者は、膨大になった財政赤字や積み上がる政府債務(国債残高増大)を持ち出して危機を煽り消費税増税の必要性を訴えているが、その一方で行われている消費税増税対策と称する大盤振る舞いの財政出動を見れば、政府が財政赤字や政府債務残高をそれほど問題視しているわけではないことがわかる。
政府の財政出動だけでなく、中央政府が所有する日銀が既発国債を年間90兆円ほど買い入れていることから、中央政府は、一般の企業や家計と違って、財政赤字や政府債務に対して独特の“処方箋”を持っていることがわかる。
これを家計にたとえると、夫が重ねた借金の証書を妻が大量に買い取り、夫から利払いや元本返済を受けているようなものである。しかも、妻は、偽札とは言われない紙幣印刷能力を持っている。
政府・日銀の“能力”についてさらに言えば、政府が所有する日銀は、担保も必要とせず返済する義務もない債務証書(=日銀券)を発行し、(通常は貸し出しを通じて)おカネとして流通させることができる。
俗に言う打ち出の小槌を持っているわけだが、政府は、徴税権限を有し、納税を日銀券で納税させる強制力もあることから、通貨としての日銀券は、ビットコインなどと違い、“安定性”や“信頼性”を持つことになる。
こう言ってしまえば身も蓋もないが、赤字国債を発行せず、「政府紙幣で日銀券を買う」ことでも不足する歳入を補うことができる。その場合は、利払いをする必要もなければ、元本を返済する義務も発生しない。
そうしないワケは、国民の納税義務意識を低下させてしまう危険性だけでなく、銀行を破綻させてしまう手法でもあるからだ。現在の日本で、銀行が資金運用方法として国債売買がなくなったらどうなるかを考えればわかる。
資金運用難こそが日本経済の行き詰まりを如実に現すものであり、政府・日銀は、日銀当座預金にまで付利を行って銀行の経営を支えている。
このように説明したからといって、政府が、野放図に赤字財政や政府債務を膨らませてもいいと言うつもりはない。
日本は、これまでのところ、それなりに高い国際競争力を維持してきたことで、50兆円ほどの赤字財政出を行ってもデフレ(需要不足)が続くという“幸い”に恵まれたのであって、09年以降続いている設備更新レベルを下回る設備投資という状況が今後も続けば、ほどなく意図しない(望まない)インフレ(需要過多)に転換する。
超長寿命社会が進むなかでそのような状況が生まれると、国民国家として福祉を切り捨てることは困難なので、敗戦直後と同じように、インフレ加速を承知でインフレに対応するかたちで財政支出を増加させなければならない。
このような状況になるといやでも実施しなければならない政策が増税であり、ターゲットは、高額所得者の可処分所得を減らす所得税増税である。
企業向けインフレ抑制策としては、法人税増税よりも、貸し出し規制や配当課税のほうが効果的である。
国民の多くが理解していないと思うのは、ここ十数年続いている膨大な赤字国債の発行が、歳入不足を補うためだけではなく、銀行の資金運用を助けるためにも行われているという事実についてである。
30兆円超が長く続き今では45兆円にも達している赤字国債の発行は、社会保障費の増加に対応したというより、銀行の資金運用難に対応したものと言った方が正鵠を射ている。
ここまでわかると決定的に問題になるのは、銀行のそれほどまでの資金運用難がなぜ続いているのかということであろう。
その答えは、97年の消費税増税を契機に日本の資金循環構造が変わり、設備投資などで最大の資金需要者であった企業部門が資金供給者に変わってしまったことである。
バブル崩壊→消費税増税→デフレ不況という流れのなか、設備投資そのものが低迷を続けたが、それに加え、グローバル企業は、消費税還付&法人税減税や派遣労働者への切り替えで内部留保をより膨らませていくことになった。
銀行が借りて欲しいと願う優良企業は、借りなくても事業拡大ができるだけの資金を保有し、借りたいと願っている企業の多くは、銀行が貸し出しに二の足を踏むようなところという歪んだ状況になっている。
この1年銀行の貸し出しが増えたが、増加を支えている中心は住宅ローンであり、企業の設備投資が増大したからではない。
インフレは、借金してでも設備投資を行ったほうが得と判断させるが、デフレは、設備投資はできるだけ引き延ばす一方で借金はできるだけ早く完済したほうがいいと判断させる。
グローバル企業が積極的に設備投資を行う場所は中国や東南アジアなど新興国だから、必要な通貨は必ずしも日本円というわけではない。そのため、銀行は、日本円で預かっている金を思うように運用することができないのである。
政府の赤字財政は、使う人や使う額が減ってしまった日本円を政府が代わりに使うための手段といったほうがわかりやすい。
日本円が使われなくなった状況を放置し続ければ、日本経済は縮小再生産に陥り、この16年間の経過をはるかに超えるレベルの災厄に見舞われていたはずである。
ではどうすればいいのかと問われるかもしれない。
自由主義経済を維持したいのなら、グローバル企業経営者に日本国籍である利を説明するとともに経済論理を理解して貰いつつ、赤字財政をさらに肥大化させてでも日本の需要を増大させる政策を採るしかない。
国内の需要が低迷したままでは、いくら説得しても、企業の存続と利益を優先する企業経営者は国内での投資を活発化させない。逆に言えば、需要が増大すれば、やるなと言っても投資に励むのがまともな企業経営者である。
成長戦略はアベノミクスの第3の矢と言われているが、これまで繰り返し言われてきた“規制緩和”や“女性活用”が成長戦略として現在の日本で機能するのなら、とっくの昔に成長軌道に乗っていたはずである。
バカバカしい答えだが、需要を増大させ続けることが成長戦略であり、現状で“規制緩和”を行っても、路面の薬局からインターネットの薬局に売上がシフトするような話がほとんどで、GDPの成長にはほとんどつながらない。
需要を増大させれば、自ずと新しい商売が生まれてくる。
需要を増大させる方法は、賃金アップ、輸出の増加、設備投資や公共投資の増加である。これらを自由主義経済の枠内でうまく達成させることが政府の役割であり責務である。
“規制緩和”は、成長軌道に戻った後で考えればいいテーマで、低迷状況で規制緩和を行っても、パイの奪い合いで終わればいいほうで、タクシーの規制緩和のように従業者の生活を過酷にするだけの“効果”になりかねない。
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