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2014年04月06日
本日は多忙につき、日本人は今後も大きく経済的に豊かな国家を目指すのか。それとも、中央集権統治システムを置き去りにしてでも、小さいがキラリと光り、山椒のように小粒でも、世界に誇れる国家を目指すのか。そう云うことを考えさせてくれる日経ビジネスのインタビュー記事を紹介する。このインタビューに答えている元法務省・東京入国管理局長の坂中英徳氏と筆者の考えは同一ではない。
移民を受け入れるだけの素養が、現代の日本人には欠けていると感じるからである。異文化や異質なものを排除する日本人の資質は、簡単に変わるものではないし、世界中の目が、経済成長の為に、3K仕事を移民に押しつけた国家と云う印象を与えてしまう方が、余程マイナスに感じる。いずれにしても、先進国であれ、開発途上国であれ、経済成長に必要な外部がなくなり、資源が枯渇するのだから、50年単位で地球上の国家は衰退する。当然、企業もグローバル化で当面凌いだとしても、最後は奪うべき富や市場がなくなるのだから、衰退は時間との競争に過ぎない。
昨日のコラムで言及したように、生きていく上の価値観を、ガラリと変えたくなくても、変わらざるを得ないのだから、早目に変えたほうが、人間や国家のアイデンティティの全てを費やし、疲労困憊の身体で、幻想が破壊されるより、余程ショックは少ない。つまり、自発的な脱落は、脱落ではなく、進化の一種である。金に支配される人類など、何の価値もない。ゴキブリやミドリ虫の方が、地球生命体としては価値ある事まで、考える必要がある。
≪ 在日韓国・朝鮮人との出会いが「移民1000万人政策」の原点になった 移住を認める「大きな日本」と美しい衰退の「小さな日本」、どちらを選ぶか
【 国際移住機構(IOM)の報告によれば、2000年、世界人口の3%に相当する1億7000万人が母国を離れて暮らす「移民」だ。2050年にはこの数が2億3000万人に増加すると推計されている。
国際間経済取引の拡大、先進国の高齢化、民族紛争――。こうした要因を考えれば、それが正式ルートであろうと“裏口”であろうと、人々が国境を越えて移動することを止めることはできない。移民が移住先で及ぼす影響から、どの先進国も無縁でいられなくなるのが現実だ。
一方で、世界に類を見ないスピードで進行する日本の高齢化。2055年には総人口は今よりも3割減り、9000万人を割る。10人に4人が65歳以上と いう超高齢化社会がやってくる。女性や高齢者、ニートなどの眠る人材を掘り起こすだけで、経済大国の地位をどこまで維持できるかは疑問が残る。
日本では不法就労の外国人による犯罪や研修生制度を巡るトラブルの増加などから、外国人が増えることに対する不安は強い。だが、外国人に対して積極的に統一的な方針を打ち出してこなかったからこそ、こうしたトラブルが起きている側面もある。
「国民はイメージとして心の中に想像されたものだ」。ナショナリズム研究の名著、『想像の共同体』の中で著者のベネディクト・アンダーソンは指摘している。
「外国人労働者」ではなく、未来の日本人となることも前提とした「移民」政策を今こそ――。国内外の識者に聞くインタビューの第1回は、元法務省・東京入国管理局長の坂中英徳氏。 (聞き手は小瀧麻理子=日経ビジネス記者)】
―― 「今後50年間で移民1000万人受け入れる」など積極的な移民政策を唱えています。現実を無視した暴論であるという批判は少なくありませんが、なぜ移民政策にこだわるのですか。
坂中 確かに未曾有の規模の移民受け入れを公言し、様々な反響がありました。 役人時代は外国人からも「鬼のように怖い」と言われていたそうで、そんな私が移民と言い出すから一部ではびっくりもされているようです。
最初に言っておきますが、私も心情的には日本人が大半を占める、小さくてまとまりのある日本が好きです。日本列島の中で1200年以上、同じ文化を共有する者同士で暮らしてきた日本人が、異なる民族といきなり親密な関係を結ぶのは容易ではないと思います。
ただ、34年間入国管理行政に携わってきた中で、日本もほかの先進国と同じように、「移民」政策ということを正面から考える時期に来ている、そして日本に時間の猶予はない、ということにたどり着きました。
華やかな日本と、外国人が暮らすもう1つの日本
―― きっかけがあるのですか。
坂中 原点はやはり在日韓国人・朝鮮人の問題です。
入省した翌春の1971年、大阪入国管理事務所で実務研修を受けました。当時、大阪城の近くにあった事務所の窓口で毎日、在留外国人に対する「審査事務」をやるのです。
「審査事務」というのは、日本に在留する外国人の「在留資格」の取得、「在留期間」の更新、「再入国の許可」といった申請を受理し審査する業務です。
まだ日本経済ががんがん発展している華やかな時代です。でも私がそこで見たのは、日本人には見えにくいもう1つの日本、外国人が暮らす日本でした。
あどけなさが残る在日韓国人の中学生が初めて在留資格の手続きに緊張してやって来る。「日本人とほとんど変わらないこの子達がどうしてこうなるのだろう」。素朴な疑問でした。
在日韓国人・朝鮮人の法的地位を安定させよと訴えた
坂中 1975年に発表した「今後の出入国管理行政のあり方」の中では、在日韓国人・朝鮮人の法的地位を安定させることの必要性を訴えました。 在日韓国・朝鮮人は普段は日本人と何ら変わらない生活をしています。
しかし、あくまでも「外国人」の資格で日本に滞在しているので、法的には国外退去を強制される恐れのある不安定な立場にあり、社会保障制度の適用など生活上の様々な権利を享受できない地位にあるということです。日本に長く定住する人たちの事情を考えれば、「退去強制」がいかに残酷な措置であるか分かると思います。
この論文は審査員全員一致で出入国管理行政発足25周年記念論文に選んでもらうことができましたが、在日の方たちを含めて当時は多方面からものすごい反発がありました。
その後、在日韓国・朝鮮人を特別永住者として認める法改正があり、法的な地位の安定性は大幅に改善しました。
でも最初に私が感じた、「外国人の暮らす別の日本」という側面は根本的には今でも違わないんじゃないかと思います。
コンビニエンスストアに行けばいつでも物は溢れています。でも、お弁当やお総菜の工場などに行けば作っているのは外国人がとても多い。外国人がいなければコンビニのお弁当も食べることはできないし、日本経済発展を支えた自動車産業もここまで発展しなかった。
見てみぬフリを続けていていいのかということです。 グローバルな人口移動はどのみち止められない 坂中 もう1つのこの論文で訴えたかったことが「国際間の人口移動」ということでした。
地球上に富の偏在がある限り、貧しい国から豊かな国への移動は不可避です。こうした国際間の人口移動に国家としていかに向き合うかは、世界に共通した深刻な課題になると思いました。
―― それにしても移民1000万人と言うのは唐突な感じです。
坂中 1997年ごろから、日本が10年以内に迎える人口減社会について考えるようになりました。実際には国の予想よりも早く、2005年から人口は減り始めました。
理論的には「小さな日本」か「大きな日本」しかないと思っています。
前者は人口が減っても外国人には扉を閉ざす「美しい衰退への道」、後者は外国人を受け入れて「活力ある社会を維持する道」。
後者は経済大国の地位を守る道ともいえるかもしれません。前者で良いという人もいると思いますが、果たして本当にそれで日本人は満足できるのか。
移民1000万人と言うのは私が考えた一応の目安で、50年かけて今の英国、フランス、ドイツなみに10人に1人が移民という移民国家へ移行することを 提案したものです。2055年には日本の人口は9000万人弱。1000万人の移民を入れることで人口1億人を保つ国になる。
留学生を軸にした日本型の育成型移民政策を
坂中 しかし一番大切なのは数ばかりではなくて、その時に外国人を「デカセギ労働者」ではなくて、日本社会の構成員として受け入れること。すなわち「移民」として受け入れるということです。
将来の日本国民として相応の法的地位と待遇を保証する方が、日本に骨を埋める覚悟の有能な人材をより多く確保できます。
主権国ですから、入国の際に厳しい条件を課すことや、経済情勢により移民の入国制限などをするのはもちろんありえます。しかし、日本は入国する際の規制ばかりが厳しく、日本社会に入った後にどのように社会の構成員になってもらうかの政策が欠落しているのです。
―― 欧州や米国、オーストラリアなど移民政策は多様で、各政府とも苦労しています。日本の場合はどのような移民政策が望ましいと思いますか。
坂中 提案したいのは育成型の移民政策です。例えば、日本の高等教育機関や職業訓練期間を活用して、日本の技能などを教える。就職を支援し、段階を経て、永住や国籍を認めていくというものです。 大学などで日本語教育を含めて十分な教育を受けた外国の人材を、地位の安定した移民として受け入れるものだから、日本国民が懸念するような治安悪化にはつながりません。
育成型移民政策の成否は、世界中からいかに意欲のある留学生を集めるかという政策にかかっていると言えるでしょう。福田康夫政権が2008年に打ち出した留学生30万人計画を速やかに達成するべきです。 「外国人労働者」の受け入れには反対 坂中 外国人技能実習生を含む「外国人労働者」の受け入れには反対です。
外国人労働者と言うと、産業界が労働力不足を補うために入れるもの、低賃金のデカセギ労働者として入れるもので、必要なときに入れて必要がなくなれば追い返すもの、という性格が強いからです。
―― 日本企業は表向きは外国人労働者は雇わないとしながらも、就労制限のない日系ブラジル人や、技能実習生の労働力に頼ってきました。
坂中 約30万人の日系ブラジル人が愛知県豊田市から静岡県浜松市にかけた一帯に住んでいます。
トヨタ自動車を筆頭にホンダ、スズキ、ヤマハ発動機といった自動車メーカーが集積し、その系列メーカーが価格競争力を維持するために、非正規の低賃金労働者として組織的に日系ブラジル人を雇用してきた。
だが、リーマン・ショックでほとんどが雇用契約を解除されました。派遣契約を更新しなかっただけと企業は言うと思いますが、そもそも日系ブラジル人を呼んだのは企業です。企業の社会的責任としてそれでいいのでしょうか。 日系ブラジル人とさえ共生できなければ移民などありえない
坂中 ブラジルに移民した日本の子孫である日系ブラジル人問題をどう解決するのかは、移民国家に向けて日本人の姿勢と力量が問われる試金石です。
日系ブラジル人を社会の片隅に追いやってはいけません。特に日本で育った子供たちには十分な教育を受ける機会が必要です。
私たち日本人と容姿がそっくりで、事実、日本人の血を受け継いでいる「移民」とどう向き合うか。もしもっとも日本人と近い存在である日系ブラジル人との間でさえ共生ができないのであれば、日本企業と日本社会の国際化などとても無理でしょう。
日本人は決して排外的な人種ではないと思います。ここ1000年強ぐらいは単一民族の国家だったが、長い歴史の中で様々な文化を吸収して、成長してきた。他国のように異民族による支配の歴史もないし、特定の民族や文化に対して圧倒的な嫌悪感や憎悪感があるわけではない。
在日韓国人の結婚相手は今や9割が日本人です。理屈抜きで、婚姻関係によって融和が進みました。人口危機への厳しい対応を迫られる若年世代にとっては移民は同志にもなります。いろいろな世界観から日本人が学ぶ部分もきっと大きいと僕は望みをかけています。
≫(日経ビジネス:アジア・国際:移民YESコーナーインタビュー・担当小瀧麻理子)
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