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首相官邸で開かれた国家戦略特区諮問会議=3月28日
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20140404/plt1404041729001-n1.htm
2014.04.06
政府は先月28日、国家戦略特区の第1弾として、東京圏、関西圏、沖縄県、新潟市、兵庫県養父(やぶ)市、福岡市の6区域を指定した。地域限定で規制改革を進め、日本経済の成長を促す。安倍晋三首相は「安倍政権の規制改革には終わりもなく聖域もない」と語り、今後2年間で医療や農業、雇用など、役所や業界団体などの抵抗が強くて容易にできない「岩盤規制」の緩和をテーブルに乗せ、突破口を開くという。
ただ、私はこの国家戦略特区の理由づけに、ちょっとマユツバな部分があると感じている。東京圏は「グローバル企業を誘致する国際的なビジネス拠点を目指す」というが、そのために「建物の容積率緩和」を掲げるのはどうかと思う。
容積率緩和は「日本のために」すればいいではないか。それだけで景気がよくなる。もともと容積率をはじき出すのは役人の裁量で、安全性とか美観とか科学的根拠があるわけではない。これを国土交通省が縛っている、ということ自体が世界から見たら異常なことなのだ。「国際ビジネス推進のため」なんて理由はいらない。各自治体が独自基準で決めていけばいいだけで、東京に限る理由もまた薄弱である。
「雇用」についても「グローバル企業に対する雇用条件を整備する」と打ち出しているが、これまた日本企業のためにやってほしい。「国際ビジネス推進特区」なんて理屈はいらない。日本企業を含めることで、初めて特区は機能するし岩盤規制がとれるのだ。外国人に特別な条件を出しても日本人は我慢するだろう、という発想自体がグローバル時代には成り立たないのだ。
安倍首相は、「日本を世界で一番ビジネスのやりやすい国にする」と意気込んでいるが、ビジネスをやりやすい国がどういうものか、わかっているのだろうか。
世界銀行が昨年秋に公表した調査結果によると、「企業活動のしやすさ」は1位がシンガポール、2位が香港。日本は27位だった。また、アイルランドにはアップルやグーグルなどの著名企業が進出し、「米国企業の欧州拠点」といわれている。どちらも、法人税率が低いという理由だけではない。それぞれの地域が、いろいろな形でビジネスを展開しやすい努力をしている。
そういう国に対抗して「日本を一番ビジネスのやりやすいところにする」ことができるのだろうか。「一番」という言葉が一番不正確だ。
その他の特区の選定理由はこうだ。関西圏は京大iPS細胞研究所などがあり、医療のイノベーションやチャレンジ人材支援の拠点とする。新潟市は大規模農業の改革拠点、養父市は中山間地農業の改革拠点、福岡市は創業のための雇用改革拠点とする。また沖縄県は、外国人観光客誘致を目指す観光産業の拠点にするという。
こうして見ると、沖縄の観光以外はあまり意味がないと思う。ただ、沖縄の観光で引っかかったのが、「査証(ビザ)の発給要件の緩和」を想定していることだ。
たとえば、沖縄にロシア人が多数観光にきて、そのまま国内便の飛行機に乗って東京に行こうとしたとき、どうなるのだろうか。沖縄で国内便に乗る前、一部外国人だけパスポートコントロール(出入国審査)ができるのか。日本在住の外国人もたくさん沖縄に行っているはずで、その識別ができるとは思えない。
不思議だなと思って脚注を読んだら、「これからの検討」と書いてあった。検討するだけ、ということか。特区の中身とはこの程度のものなのだ。
■ビジネス・ブレークスルー(スカパー!557チャンネル)の番組「大前研一ライブ」から抜粋。
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