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◇職員に歩み寄り説明を
NHKの籾井勝人(もみいかつと)会長(71)が1月25日の就任記者会見で、「(従軍慰安婦は)戦争地域にはどこの国にもあった」などと発言した問題への視聴者の不信感は、2カ月以上たった今も払拭(ふっしょく)できていない。籾井会長は批判を受け、「個人的見解だった」と発言を取り消した。しかし、これらの発言は放送法で定められたNHKの政治的公平を揺るがしかねない。国内外の不信感を拭うには、さまざまな角度から多様な番組を放送して視聴者・職員の信頼に応え、自ら招いた事態について説明責任を果たすべきだ。
◇取材・営業現場、影を落とす
籾井会長の軽はずみな発言は取材・営業現場に影を落としている。キャロライン・ケネディ駐日米大使の取材が難航し、NHK職員の労働組合は2月末に開いた緊急対話会で、中国で取材を拒否された事例を報告した。
受信料収入にも深刻な影響が出かねない状況だ。NHKに寄せられた視聴者の批判は2万件を超えている。2004年のプロデューサー着服事件に端を発した一連の不祥事では、受信料支払率は03年度の77%から05年度の69%に急落した。8年かけて13年度は74%にまで回復したが、信頼を取り戻すには長い時間がかかることを示している。
籾井会長の問題発言はいくつもあるが、その一つ「国際放送」を切り口に振り返ると事態の深刻さがよくわかる。
「政府が右と言うものを左と言うわけにはいかない」。時の政権への追随を疑わせるとして不評を買ったこの発言も、国際放送に関して発せられた。籾井会長は「尖閣や竹島を諸外国の人に理解してもらうには、国際放送しかない」との持論を披露した。三井物産出身の籾井会長への期待の一つに国際感覚があり、自身も国際放送の強化を最大の目標に掲げて出発した。
しかし、籾井会長の国際放送に関する認識がそもそも間違っている。国際放送に当たっては、国際番組基準で日本の立場を鮮明にするのと同時に、世論を正しく反映しなければならないことになっている。日本政府の立場を強調するだけでは不十分で、その問題の理解を助けるための多様な見解を伝える役割も担っているのだ。
NHKは現在、外国人向けに約140の国と地域で24時間、英語放送を行っている。今年度からは新番組を増やし、日本の国際支援や文化を重点的に取り上げる。日本の存在感を主にアジアでアピールし、外国人観光客の呼び込みや日本製品の浸透といった産業の発展に結びつけるのが狙いだ。領土問題など国益が絡む政治課題について、日本の主張を伝えることが主眼の放送ではない。
就任会見の前、籾井会長はこうした番組基準や放送内容の説明を受けていたが、聞き飛ばしたのか失念したのか、持論の展開に終始した。
折しも、自民党の一部議員が昨年末、政府の主張を国際放送で戦略的に発信することを盛り込んだ要望書を安倍晋三首相に提出したところだった。首相も同じ見解を表明しており、一部の経営委員も同調する発言をしていた。
そこに飛び出したのが、政権と軌を一にするかのような会長発言。これでは、役職員の信頼を遠ざけ、視聴者から「政権の意向に沿った考えを放送や編集に反映させるのでは」「役職員が会長の意向をそんたくするのでは」と疑いの目を向けられるのも当然ではなかったか。
「ボルトとナットを締め直す」とも、籾井会長は就任会見で力説した。事実、その日のうちに理事10人全員から辞表を取り付け、「緊張感を持って一丸となるため」と説明した。だが、理事の一人は「信任されていないのか。会長が何を言おうと、むちゃなことなら現場には下ろさない」と不信感を募らせる。
◇「財界筋から吹き込まれた」
日本ユニシスの社長時代にはそんな辞表を取っていないのに、なぜNHK会長になって強権的な行動に出たのか。複数のNHK関係者が「現政権と近い財界筋から吹き込まれている」と指摘する。
私もこれまでの取材で「NHKはガバナンス(組織統治)が利かない」「人事のたびに怪文書が出回る」といった話を何度も耳にした。籾井会長がこうした組織風土を嫌って統治力を高め、改革を進めようとするのなら、その姿勢には一理ある。関連団体の不祥事の原因を究明する調査委員会を設置したのも、身内に甘い体質改善の意思表示だ。
だが、現状のままでは期待される力を発揮するのは難しい。まずは公共放送の仕事や職員の気持ちを理解して、歩み寄る姿勢が必要だ。その上で「容易ならざる事態」(浜田健一郎・経営委員長)を会長自ら招いたことについて放送で真摯(しんし)に説明すべきではないか。
http://mainichi.jp/shimen/news/20140403ddm005070019000c.html
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