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2014-04-05 08:04:29
「尖閣も竹島も日本の固有の領土」と明記させた教科書を合格にした検定結果を、文部科学省は昨日4月4日、発表しました。来年4月から、全国の小学生に教える内容です。
中国や韓国は直ちに反発。「挑発を続けるなら、関係改善の道は遠ざかる」という抗議しました。これに対し、菅官房長官は「ごく当たり前のことを書いただけ」と、両国の抗議を一蹴しました。
尖閣、竹島問題に対するここ数年の動きを見ると、次第にボルテージが上がり、近い将来、ただでは済まなくなる事態を予感させます。
「領土」を教科書で取り上げるのは、確かに当たり前のことです。ただ、関係国とはこじれやすい問題だけに、きちんと正しく教えることが欠かせないはずですよね。
ところが、安倍政権が主導する教科書改革は、「日本古来の領土。いかなる国との間にも領土問題は存在しない」という、いわば独りよがりの論理を振りかざしました。これでは、自ら火に油を注ぐようなものです。
こうした場合、ジャーナリズムが冷静な議論を幅広く展開し、正しい認識に近づく努力を懸命に果たすべきです。教科書検定結果を、大手紙はどう論評したでしょうか。
読売新聞の本日の社説は、「小学教科書検定 自国領土の学習が欠かせない」という見出しを掲げました。内容は、安倍政権の主張をそっくりそのまま「正しい」とし、「教育は内政問題であり、他国が口を出す筋合いではない」と、ばっさりやりました。
書き出しでは、「自国の領土について、教科書で正確に教えることが大切だ」と指摘しておきながらです。「竹島に関しては、韓国が『不法に占拠』『占領』と記し、尖閣諸島では、領有を主張する中国の漁船が領海侵犯を繰り返しているなどと指摘した。いずれも、最低限知っておかなければならない事実だろう」と強調しました。
中韓両国からの抗議に対しても、「いずれも、誤った事実認識に基づく、不当な主張だ」と、一顧だにしない態度です。
朝日新聞の本日の社説は、「領土の教育 冷静に、しっかりと」という見出しを立てました。書き出しは、「おなじ取りあげるならもっとしっかり書いてはどうか」です。「どの本も、竹島・尖閣は日本固有の領土だが『韓国が不法に占拠している』『中国が領有を主張している』と、政府見解をなぞった程度の書き方だ。対立の背景や、双方の主張の根拠には踏み込んでいない」と、中途半端な教科書を批判しています。
「『子どもがこれを読んで領土問題を理解できるか』という肝心な視点が置き去りにされてはいないだろうか」と、基本的な疑問を投げかけています。
結びは、「知識は客観的に教え、そのうえで自分で考えさせる。そうでなくては意見を言える子に育つまい」でした。
教育とは、いうまでもなく「自分で考え、自分で行動する人間を育てる」ことですよね。何も中国や韓国の言い分をそのまま受け入れる必要はさらさらありません。ただ、歴史的な事実関係をじっくりと検証し、どうすれば平和的な解決の道を探れるか、知恵を出すことです。
しかし、安倍政権や読売新聞にとっては、「自分の頭で考える必要はない。われわれ指導層が考えるから、それに黙ってついて来い」と、命令に従順に従う人間を製造するのが「教育」なのです。
かつて、時の政権に従順に従う人間作りの、偏狭な愛国主義をあおる教育が強力に行われ、ついには戦争に突き進みました。敗戦直後は、「徹底した平和教育こそ国是」という思いだったはずです。喉元過ぎれば、熱さ忘れる。
安倍政権のもとで、熱さを忘れた、かつての教育が復活させられそうな状態になってきました。
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