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室井佑月「小保方・佐村河内批判は国民も共犯ね」〈週刊朝日〉
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20140404-00000004-sasahi-soci
週刊朝日 2014年4月11日号
理化学研究所の小保方晴子氏や作曲家の佐村河内守氏など、一躍時の人となった人物が大きく非難されている今、作家の室井佑月氏は、世間に対してこのような指摘をする。
* * *
STAP細胞の小保方さんが、研究論文を捏造したと叩かれまくっている。彼女は叩かれまくる前、ノーベル賞確実、リケ女の星、などと様々なメディアで持ち上げられていた。
彼女の話題の前は、ゴーストを使って曲を作っていた佐村河内氏が、過剰に持ち上げられ過剰に落とされたっけ。
耳が聞こえないフリをして障害者手帳を取ったのは悪いことだが、それをウリにしたのは彼だけの責任か。そういう美談を使って商売をする側にも、作られた美談に簡単に喜んでしまう我々にも、無意識の差別意識があったかも。つまり、程度は違えども共犯ね。
小保方さんにしても、所属する研究所はさらなる研究費を国に付けてもらいたい、国は消費税が上がる前にノーベル賞間近と煽って国威発揚したい、穿(うが)っていえば、国は専業主婦の配偶者控除を減らしたいなんて考えもあって、だとしたら働く女の代表みたいな彼女の存在はめちゃめちゃ都合がよかった。だから、勝手にスターに祭り上げたわけで、彼女がメディアに出て目立ちたいといったわけじゃないだろう。
彼女を取り巻くいろいろな思惑に、まだ未熟な研究者は、急かされ、惑わされてしまった。彼女は筆頭著者だったが、研究はチームでやる。厳格なチェック機能が働かなかったのは、そのチームも、いろんな思惑に惑わされていたのかもしれない。
じつは、いろんな思惑を持つ場所がいちばん叩かれるべき存在なのだとあたしは思う。そこに踊らされてしまう我々は、いつも騙される側、そして共犯になってしまう。
たとえば、19日付の日刊ゲンダイに書かれていた、「厚生労働省が職業訓練事業で天下り団体(高齢・障害・求職者雇用支援機構=JEED)に不正入札させた疑いが浮上し、経済産業省は被災地への雇用創出事業を“ペーパーカンパニー”(一般社団法人地域デザインオフィス)に落札させていた」という記事。
たとえば、21日付の東京新聞に書かれていた、「議員・公務員給与カット終了」という記事。国民には4月から8%に上がる消費税だけでなく復興増税の負担もより重くなるのに、政治の側が復興財源に充てるためにやった、国会議員や国家公務員の給与の削減は、たった2年ほどで終了されるという。
片方は国民の税金にたかる悪い輩、片方は自分たちさえよければいいという狡い輩。本来なら、こういう者がメディアによって国民に袋叩きにされるべきだ。
しかし、袋叩きにあうのは、決まってそれほど力の無い個人。ちょっと成功していて、世間の妬みや嫉みを受けやすい人。
「アベノミクス」で世の中のみんなが良くなると国民に信じ込ませ、「やっぱり駄目じゃね?」、そうじわじわと不安や不満の声があがってくると、巷にいけにえが差し出される。この人なら好きにしていいよ、と。
この流れがほんとうに嫌。
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消えた「身を切る政治」 議員・公務員給与カット終了
http://www.tokyo-np.co.jp/article/kakushin/list/CK2014032102000134.html
2014年3月21日 東京新聞 核心
四月からの消費税増税を前提とした二〇一四年度予算が二十日、成立した。国民には消費税だけでなく、復興増税の負担もより重くなる。その半面、政治の側が復興財源に充てるために行ってきた国会議員や国家公務員の給与の削減は終わる。震災からわずか三年あまりで、政治から身を削る姿勢が消える。 (関口克己記者)
二〇一一年三月の震災直後、与野党は国会議員の歳費(給与、月謝百二十九万四千円)を月謝五十万円削減した。被害の大きさから多額の復興予算が掛かると見込まれたからだ。だが、臨時的な措置でわずか半年で終わった。
当時の与党・民主党のほか、野党の自民、公明両党などは、国民に消費税増税を求めるのと引き換えに、一二年五月から再び歳費を12・88%削減。十一月には野田佳彦首相が衆院解散の条件として、一三年の通常国会で議員定数削減を行うまでは削減幅を20%に拡大すると提案。自公両党なども賛成した。
その関連法が今年四月末で期限切れとなる。今後、新たな法改正がなければ、歳費は満額に戻る。与野党は定数削減の道筋がつけられないまま、満額の歳費を再び受け取ろうとしている。
安倍晋三首相は、歳費の20%削減を自民党として受け入れた際に「消費税を上げる法律を通し、国民に負担を強いる以上、身を切る姿勢を示す」と述べていた。しかし、皮肉にも「身を切る姿勢」は国民への増税が本格化するのと同時に終わる。公明党も議員歳費の二割削減を恒久的に実現すると公約していたが、元の歳費に戻ることをやめようという声は上げていない。
国家公務員の給与も復興財源を確保するため、平均7・8%削減されていたが、二年間の期限が今月末で切れる。削減法にある「厳しい財政状況及び震災に対処する必要性」は今も変わらないにもかかわらずだ。野党が問題視してもよさそうだが、公務員労組の支援を受けている政党もあって黙している。
一方、国民には多くの増税が待ち受けている。
消費税の税率が四月から8%に引き上げられるだけでなく、復興税として、新たに六月から個人住民税が年間一律千円増額され、今後、十年間行われる。所得税はすでに昨年一月から、2・1%増額されている。年収七百万円で夫婦と子ども二人の世帯だと、年間四千三百円程度の増税となり、決して少なくない。この増税は二十四年間も続くことになる。
二〇一四年度予算の成立時期は戦後三番目に早い。一般会計歳出総額は過去最大規模の約九十六兆円にもかかわらず、審議日数は六年ぶりに三十日を下回った。参院事務局によると、政府予算が三月二十日以前に成立した例は、戦後では一九九九年と二〇〇〇年の三月十七日の二回だけ、いずれも小渕政権だった。
今回、異例のスピードとなったのは、衆院の審議日数がわずか十四日間だったのが大きい。最近五年の審議日数と比べても三〜六日間も短く、衆参合わせた審議日数も二十八日間にとどまった。
予算委には消費税率引き上げに伴う増収が盛り込まれていたにもかかわらず、本来、目的のはずの社会保障制度の充実より、公共事業費や防衛費の増額が目立った。しかし、国会審議は集団的自衛権の行使容認問題やNHKの籾井勝人会長の発言、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)などが中心となり、国民生活に直結する予算自体の論戦はあまり盛り上がらなかった。
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