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2014-04-03 08:02:36
地球のあちこちに、「排外主義」の高波が押し寄せ、無視できない力を発揮するようになってきました。フランスのオランド大統領が首相を引責辞任させた背景には、選挙で大敗したからであり、大敗の原因は排外主義に基づく右翼勢力の著しい伸張がありました。
フランスばかりでなく、欧州各国で排外主義を底流とする右翼の伸張が目立ちます。
朝日新聞の本日4月3日の社説は、「欧州の右翼 政治は難題を避けるな」を見出しに掲げました。そして、「英国では、欧州連合(EU)からの脱退を説く政党が、2大政党を脅かす勢いの支持を得ている。オランダでも、反イスラム教徒を掲げる政党が世論調査で支持率トップの座を争う」と記しました。
「移民が雇用を奪い、福祉を食い物にしている。彼らが増えたのは、国境の壁を低くするEUのせいだーー。共通するのは、そんな不満から『よそ者』を締め出そうという考え方だ」と、指摘しています。
今朝は早朝から、チリ地震に伴う津波への注意報が繰り返し報じられています。津波はいわば一過性ですが、右翼の排外主義の高波は、今後長く続き、さらに勢いを増すかもしれません。
アメリカでは、黒人系のオバマ大統領に対する人種差別的な反感を秘めたティーパーティー運動が共和党に大きな影響力をおよぼすようになっています。ティーパーティー運動はもともと「小さな政府」が信条であり、「自分のことは自分でしろ」という自己責任主義です。社会の助け合いや福祉を毛嫌いします。思想的に排外主義を内包しています。
日本では、安倍首相の中国や韓国を嫌う政策にも排外主義がひそんでいるといえます。そうした時代の空気にのって現れたのが、ヘイトスピーチ(人種差別を口汚く宣伝する)の若者たちです。
先の東京都知事選挙では、田母神という自衛隊上がりの候補が60万票強を得たのも、若者の”支持”が大きかった。田母神氏の主張は、排外主義そのものです。
安倍首相のお友達の百田という物書きも、田母神氏の応援演説に精力的に取り組みました。百田氏自身が排外主義の権化ともいえます。
若い人たちの間で支持される排外主義は、他に惹きつけられる魅力ある「思想」が提示されないという時代の裏返しといえます。キリスト教をはじめ幾多の宗教が説く「博愛主義」も、若者からは「ダサい」という受け止めです。
こうした空気の中で、人間の命がますます軽くなってきました。吹けば飛ぶような「将棋の駒」ではなく、「人間の命」です。
朝日の社説は、「政治の劣化が社会の排他的な空気を悪化させているならば問題はさらに深刻だ」と、問題の根源に「政治の劣化」を指摘しています。そして「偏狭な主張には正面から反論し、難題について丁寧な説明を尽くす。そんな本来の政治の責任を全うしてほしい」と結びました。
今の日本の政界にそんな”高等な”意識がないことを承知の上で、ないものねだりして結びにする、その無責任なジャーナリズムのありよう自体が「こんな日本」にしたのではなかったのではないでしょうか。
結局、わたしたち一人ひとりが自分の頭で考え、結論を出すことをしなければ、「行くところまで行く。落ちるところまで落ちる。落ちて頭から血を流し、目から火花が散っら、ようやく気がつく」ということでしょうか。68年前までにやった歴史の繰り返しです。
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