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特集ワイド:番組改編「政治家との力関係が変化している」テレビから消えた、辛口コメンテーター
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毎日新聞 2014年04月02日 東京夕刊 :晴 天 と ら 日 和
「困ったものですね」。たった一言で深刻なニュースがあっさり片付けられていく−−そんなシーンが増えてはいないか。春の番組改編で、民放各社の報道・討論番組のコメンテーターの顔ぶれが変わった。気付けばテレビが辛口から薄口に〓〓果たしてそれでいいのか。【浦松丈二】
「世の中を注意して見るようになり、僕の中でもいろんなものが変わりました。視聴者のみなさん、ありがとう」。3月31日。テレビ朝日の昼の情報番組「ワイド!スクランブル」で2001年からコメンテーターを務めてきた作家、なかにし礼さん(75)が降板を報告した。なかにしさんは「日本国憲法は世界に誇る芸術作品」と称賛して、安倍晋三政権下で進む解釈改憲の動きを真っ向から批判している。ほかにも原発再稼働を批判する元経済産業省官僚、古賀茂明さん(58)も3月末でコメンテーターを降板。安倍政権の路線に批判的な論客が一掃されたようにみえる。
「討論、時事番組の仕事を干されている」と打ち明けるのは経済アナリストの森永卓郎さん(56)だ。読売テレビ 「情報ライブ ミヤネ屋」やTBS「がっちりマンデー!!」など民放4番組にレギュラー出演中だが、06〜07年の10本前後からはぐっと減った。
「09年に民主党に政権が代わる寸前は自由に発言できた。発言規制が強まったのは民主党の野田佳彦政権前後からです。第1波が小沢一郎氏の事件。政治資金収支報告書への虚偽記載容疑が問われ、無罪が確定したが、私を含め確定前から『小沢氏は無罪』と言い続けた人が干された。第2波が消費増税。反対した人は魔女狩りのように追放された。リベラル派が一掃された後に誕生した安倍政権下でメディアと政府、財界の構造的な癒着が起きている」
森永さんは次のコメントが原因で、最近、ある番組を降ろされた。
司会者 「なぜ沖縄に米軍が駐留しているのですか」
森永さん「普天間にしろ、嘉手納にしろ、あそこにいるのは海兵隊という殴り込み部隊。占領にいく部隊です。だから海兵隊が日本を守ることはありえない。僕は、日本がアメリカに逆らった時に、日本を占領するために常駐していると思っています」
第二次大戦末期、沖縄を占領したのは米陸軍と海兵隊だった。森永さんの発言は政府見解とは無論大きく異なるが「以前なら許容範囲でした。ところが最近は『極論に走らないでください』とまずクギを刺される」という。
「このコメントは全面カットされて放送されませんでした。私が番組を降ろされた後、元NHK記者の池上彰さんが解説していましたが、見事でした。どこからも批判されない内容で、天才だなと思いました。今、番組に求められている人材は池上彰さんです。一方、何かを起こしそうな人はトレンドではない。お笑いならタモリさん、明石家さんまさん、ビートたけしさん。キャスターなら久米宏さん、鳥越俊太郎さん、亡くなった筑紫哲也さん」。がんの闘病を経験した鳥越俊太郎さん(74)がレギュラー出演する民放全国放送の番組は、今やBS朝日「鳥越俊太郎 医療の現場!」だけになった。
ある民放関係者は「安倍首相と直接会った社長から、番組改編後の出演者を誰にするかの指示が下りてくる。何が話されたかは知らされない。ただでさえ出演者に降板を告げるのは大変なのに、制作現場は説明に困っています」と声を潜める。
「1980年代から90年代のテレビ黄金期はバラエティー、ドラマだけでなく報道番組も視聴率を重視し、衝撃的なニュース映像と歯切れのいいコメントで構成されるようになりました。テレビが世論と政治を動かす『テレポリティクス』の時代が幕を開けたのです」。政治とメディアの関係に詳しい立教大兼任講師の逢坂巌さんはそう解説する。
テレビ朝日の討論番組「朝まで生テレビ!」で司会を務めるジャーナリスト、田原総一朗さんは、その黄金期の代表格だ。89年から10年まで続いた「サンデープロジェクト」では司会として政治家から言質を引き出し、「日曜に政治が変わる」とまで評された。田原さんに番組で追い込まれて辞任した首相は海部俊樹、宮沢喜一、橋本龍太郎の3氏を数える。
だが、田原さんは「僕は政治家を失脚させようと思ってやったわけではない。突っ込めば新しいアイデアが出てくると思っていた。ところが、失脚してしまう。権力者は意外に弱い」と話す。郵政民営化などで巧みにテレビを利用した小泉純一郎元首相はその例外だった。安倍首相も前回政権担当時には、「お友だち人事」などでメディアから激しいバッシングを浴びて「政権投げ出し」に至っている。
ところが「世の中が大きく変わってきた。いわゆる『批判』に国民が関心を示さなくなっている。景気のいい時代は批判に関心を持つだけのゆとりがあった。そのゆとりが今はない」(田原さん)。昨年7月の参議院選挙。安倍政権が進めるアベノミクスが焦点だった。「出演してもらった全党党首に『対案を提示してほしい』と頼んだが、結局、何も出てこなかった。だらしないと思います」。返す刀でメディアの側を批判する。「安倍さんの周りにいる人たちを見ても面白い。ただ批判して良心的なふりをしても仕方がない。当事者に出てもらって言質を取る。テレビの番組作りは永久連続革命。マンネリ化したらおしまいだ」
逢坂さんは「リアクション芸だけでバラエティー化した報道番組は深い議論は苦手で、感情的な批判や攻撃に向かいやすい。そこを視聴者に見透かされ、飽きられてしまうと、後は権力を持ち世論を味方に付けた政治家に利用されるだけです」と警告する。
タモリさんの司会で、82年から続いたフジテレビの番組「笑っていいとも!」。テレビ黄金期を築いた看板番組だったが、3月31日に終了した。21日には、現役首相として初めて安倍首相をスタジオ出演させた。フジは安倍首相のおいを4月から入社させている。逢坂さんがいう。「安倍首相に見送られるように『笑っていいとも!』が終了したことは、政治家とテレビの力関係の変化をみせつけ、テレビが政治を動かす時代の終わりを象徴しているようです」
おとなしい「薄口」のテレビに魅力は果たしてあるのだろうか。
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