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2014年4月 2日
小松一郎内閣法制局長官は口論と逆切れで有名らしい。3月31日午前の参院決算委員会で、抗がん剤を投与する通院治療のため欠席した。憲法問題について質問するとして出席を求めていた民主党の尾立源幸氏は、いったい職責をどう考えているのじゃ?と激しく反発したそうだ。
「内閣法制局」が何をするところなのか普段考えたことがないのでよく分からない。文字面(もじづら)から単純に連想すれば、日本の法整備にかかわるあらゆる段階をチェック(監視)し、法の主旨が日本国憲法に則していて、法文にその精神が適正に反映するように助言したり、修正を求めたりする機関なのかと思ってしまう。
少しネットを調べてみた。まずは法案の企画立案(基本プランニング)は普通、各省の担当局がやって、その検討過程で情報収集や外国の事例を調べたりする。そういうプロセスを経てから、大臣、副大臣、政務官の政務三役で話が決まると、その法律を具体化に落とし込む段階に入る。この段階から先に内閣法制局がかかわってきて、行政府内における法令案の審査や法制に関する調査作業に入るとある。
ということは、内閣法制局という字面から自分がまんま受けた印象で述べたことはそれほど見当違いでもないようだ。これに対し、「法制審議会」というものがある。これも調べてみると、省庁が独善に陥らないために、学識経験者や有識者を集めて広く意見を求めるところらしい。法務省の担当局(刑事局、民事局あたり)でやっている法制の話は、法制審議会の諮問にかけることになるという。法制審議会が噛まないパターンもあるらしい。
素人のあっけらかんさで言うが、内閣法制局と法制審議会は違うものなのか。違うとしたらどこがどう違うのだろうか。学識経験者や有識者などとあるから、組織構成が官僚主体と民間主体の違いなのだろうか。
何となくネットの関連項目を渉猟していたら、法律は省担当局が企画・立案し、最終的な方向性は審議会を開いて決めるようだが、それと並行する形で与党内の調整が始まるという。一つの法律が企画・立案され、法律として具体的な体裁を帯びる過程には上のような段取りがあるらしい。
とは言っても、内閣法制局と法制審議会の違いも分からないし、その相互関連もよく分からない。ただ素人が受け取っている印象は法律をチェックしながら、あーだこーだ言う、なにやらいかめしい組織なのかなという感じである。頭のよい法曹さんあたりならば、これの役割や位置づけについては鮮明に分かっているものと思う。だが悲しいかな、我々門外漢にはちんぷんかんぷんで混乱をきたす。
さて、月刊日本4月号には、国家戦略特区法(国家戦略特別区域法)について、奈須りえ氏への取材が行われ、『「国家戦略特区はショックドクトリン」だ』というタイトルで掲載されている。この中で奈須りえ氏は、小泉政権時代に出てきた構造改革特区で「法の趣旨を超えない」という条件が、今回の国家戦略特区法で反故にされる危険を訴えている。その文脈の中に「法制審」が出てくる。
昨年10月、PARCの内田聖子氏は、国家戦略特区ワーキング・グループ(WG)が、有識者のヒアリングで、中のメンバーが「これやるには火事場を作らなければいけない」と発言したことが議事録に乗っていることを紹介していた。月刊日本4月号でも、奈須氏はそれについてもう少し詳しく語っているので引用する。
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国家戦略特区ワーキング・グループの議事録には「平時であれば絶対に法制審をスキップすることはできない。なぜできたかといったら、火事場だったからである。つまり、今も火事場だという認識を作る必要がある。だからルーチンはスキップさせてもらいますと、これはとても重要だと思う」という発言があります。これはまさにショック・ドクトリンの考え方です。(P36より抜粋。傍線は筆者による)
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奈須氏も内田氏も、国家戦略特区が火事場のドサクサに紛れて法制審議会の厳しいチェックをかいくぐったと言っているが、これにいたる文脈は定かではない。この場合の火事場とは何だったのだろうか。だが、ここから分かるように、法制審議会はすべての法案を厳密に審査しているわけではないということだ。
昨年、第185回臨時国会では、提出された31法案のうち23法案が可決成立している。例えば下記のような法案群である。
○産業競争力強化法
○国家戦略特区法
○電気事業法改正
○再生医療を促進する法律
○農地集積バンク法
○国家安全保障会議(日本版NSC)
○特定秘密保護法
○5.5兆円の経済対策と来年度予算編成
会期55日間のうち、提出された31法案の中の23法案が矢継ぎ早に成立しているのだ。単純に割り算すれば、提出法案はおよそ一日半に一個が審議され、およそ二日半に一個の法律を成立させるという、とんでもなく異常な国会だったことになる。
ここから類推されることは、国会でさえ審議不十分のままに通った法案群は、その前段階の法制審議会のチェック時にも、短期間に集中豪雨のように寄り集まっていたはずである。
たった20人以下の限られた委員が限られた時間内で、全法案の内実を漏れなく審議することはできなかったのではないだろうか。それが火事場という意味だったのだろうか。特定秘密保護法案や日本版NSC法という弾圧法案ももちろんそうだが、他の法案群も危険極まりない対日経済侵略要素が立法思想になっているものばかりだ。
国家戦略特区は何度も書いているようにグローバル資本による日本収奪幇助立法である。農地バンク法も同様に巨大アグロ企業が日本の農業を壊滅させ、GM作物を日本国土に植え付ける展望を宿した法案である。がん登録法は原発事故由来の放射能疾病を隠し、再稼働と国際医療カルテルの対日経済侵略を許す法案である。
国家戦略特区が火事場泥棒のように法制審の目をかすめ、ほとんど無審査で通過しているのなら、外国の経済侵略意思を幇助する他の危険な法案類も同じようにスルーされたと見なさなければならない。
ここから見えてくることは、法案に対する法制審議会の審査基準が、国民の生命・財産、国土、安全、国柄等を守る視点が全くないのではないのかという大きな疑念である。法務省に設置されるこの組織は、いったい何のために法律を審査しているのだろうか。
結果的に彼らは悪法ばかりを通過させているではないか。法制審には総会と部会という二つの体制があるようだが、何の役にも立たない“死に体”御用機関に見える。
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