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消費増税による景気落ち込みの対策で、バラマキ予算を組んだが・・・ photo gettyimages
財政再建なき消費増税導入で国民負担極大化の悪循環が始まる
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/38822
2014年04月01日(火) 町田 徹「ニュースの深層」 現代ビジネス
この数か月、講演のたびに多くの方から質問を受けたが、今日(4月1日)からス
タートした17年ぶりの消費増税が、リーマンショック後の景気の回復・拡大傾向にピリオドを打つと懸念している人は多いのではないだろうか。
■本来の目的をタナ上げしている消費増税
実際のところ、駆け込み需要の反動を深刻とみるエコノミストは少なくない。この四半期(4〜6月)の成長率が前期比年率でマイナス4.1%に落ち込むとの調査をまとめたシンクタンクもある。
政府は、2013年度の補正予算を組んだのに続き、2014年度予算の歳出規模を過去最大に膨らませて景気を下支えする構えだ。
来秋実施予定の2度目の消費増税の正式決定を今秋に控えているため、景気の腰折れは断じて起こせないというのである。
しかし、消費増税のそもそもの最大の目的は、財政再建だったはず。それにもかかわらず、増税のたびに予算をばら撒いていたのでは、本来財政再建に充てるはずだった財源を失い、再び増税が必要になるという悪循環に陥りかねない。
果たして、短期間に2度の税率引き上げを行う今回の増税は、良策だったと言えるのだろうか。
■執行するのが困難な過去最大バラマキ予算
老舗の民間シンクタンク日本経済研究センターは3月7日、エコノミスト41人の経済予測を集計した「ESPフォーキャスト調査」を発表した。
それによると、消費増税が行われる4〜6月の国内総生産(GDP、実質)は前期比の増減率がマイナス4.1%(年率換算)になるという。駆け込み需要があった1〜3月の同プラス4.6%増と比べると、経済の減速ぶりは歴然だ。
年度別にみると、実質GDPの伸び率は、リーマンショックの影響で2008年度にマイナス3.7%に落ち込んだ。
しかし、その後、2010年度には3.4%増と成長軌道を回復。東日本大震災が足を引っ張った2011年度が0.3%増に減速したものの、翌2012年度は0.6%増とプラスの成長は維持してきた。
そして、消費増税前の駆け込み需要に加えて、この4月からの消費増税を確実にするための歳出のバラマキが加わった2013年度は、成長率が2.2〜2.3%程度に加速したとみられている。
今回の消費増税がこうした流れを断ち切るきっかけにならないか、懸念されているのだ。
来年秋に消費税率を8%から10%に引き上げる2度目の消費増税の正式決定を控え
た政府は、そうした事態を避けようと躍起だ。
公共事業を中心にした5.5兆円規模の経済対策を盛り込んだ2013年度の補正予算に加えて、歳出規模が過去最大の95兆8823億円という2014年度予算を戦後3番目の早さで成立させたうえ、その7割近くを前半(4〜9月)に前倒しで執行して景気の腰折れを防ぐ考えという。
ただ、建設業の現場は、民主党政権時代の徹底的な予算の圧縮で廃業が相次ぎ、作
業員不足が深刻。政府が目論む予算の執行は容易ではない。
■トクをしたのは自民党議員くらい!?
仮に、目論見通り景気の下支えに成功したとしても、何のための増税だったのかと
いう疑問が残る。
忘れてしまった人は多いかもしれないが、政府は、5%から8%への1回目の消費税
率引き上げの正式決定を控えていた2012年度にも、「15カ月予算」と称する10兆円を超す補正予算を組んで大盤振る舞いを行い、景気を下支えした経緯がある。
一方、今回の消費増税では、タイムラグもあって、初年度の増収は5兆円程度にとどまるとみられている。
結局のところ、細かく引き上げ税率を刻んで、そのたびに大盤振る舞いをして景気
を下支えしていたのでは、財政再建という初期の目的はまったく達成されない懸念が残るのだ。財源不足が解消されず、新たな増税が必要になるという悪循環が繰り返される恐れさえある。
問題は、政府にとどまらない。値札の付け替えやレジ、コンピューターシステム、
会計処理などのプログラム変更に伴う事業者の負担が、税率引き上げを刻む分だけ膨らむからである。
あえて、今回の2段階実施でトクをした人を探すとすれば、それは、公共事業への
バラマキが集票に繋がる自民党議員ぐらいだろう。
財務省幹部らに取材しても、「増税を実現するためには、その影響を少しでも和らげたいという政治的な声を無視することができなかった」とあきらめ顔だ。
■遠からず、第3の消費増税がやってくる
早くから、消費増税の目的を増加する年金や医療費の拡大に備えるためだと主張す
る動きがあるが、カネに色がついているわけはない。
年金や医療費の財源が確保できれば、浮いた分で先進国中最大の債務を抱える財政の再建の余地が生まれるはずだった。
財政と国際収支の双子の赤字を抱える日本の国債が信任を失う危機は、より深刻な
新興国の経済危機の顕在化によって、表面上、遠ざかったかのように見える。しかし、実際に「財政の危機」が去ったわけでは決してない。
人口減少の中で、増税だけで財政再建を進めようとすれば、欧州各国のように消費税率を25%前後まで引き上げる必要があると指摘されてきたが、どこかで断行しないと、日本国債が市場に売りたたかれる日が到来するリスクは今なお、現存しているのだ。
結局のところ、遠からず、第3の消費増税は避けられないだろう。
だとすれば、引き上げ税率を細かく刻んで繰り返すことも、そのたびに大盤振る舞いすることも慎むべきだろう。さもないと、「増税⇒バラマキ⇒増税」という悪循環を誘発し、国民負担が極大化することになりかねない。
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