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“不適格”経営委員を野放しにするNHK「監査委員会」の怠慢
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2014年3月28日 日刊ゲンダイ
苦情殺到/(C)日刊ゲンダイ
自公与党は27日、民主党など野党6党の反対を押し切り、衆院でNHKの2014年度予算案を可決した。野党の反対は、従軍慰安婦をめぐる籾井会長の不適切発言や、経営委員である百田尚樹氏、長谷川三千子氏の右翼的言動が理由だ。
不思議なのは、国会で罷免要求まで出た百田氏と長谷川氏に対し、NHKが何もアクションを起こさないことだ。NHKには経営委員や会長の職務執行を監査する「監査委員会」がある。「放送法違反」「服務準則違反」の疑いがある場合は、それを調査し遅滞なく経営委員会に報告しなければならない、と放送法が定めている。現在の委員は3人。月2回のペースで開催され、09年に小丸成洋経営委員長(当時)が社長を務める福山通運が行政処分を受けた際、本人を調査したこともあった。
■トップの年収は2206万円
百田氏と長谷川氏の言動は、放送法36条の罷免要件「職務上の義務違反」ないし「委員たるに適しない非行」に該当すると国会で追及された。監査委はなぜ動かないのか。常勤の上田良一委員(前三菱商事副社長)は年間2206万円と国会議員クラスの報酬を受け取っている。もちろん、原資は皆さまの受信料だ。何もしないのは怠慢ではないか。
NHKに詳しいジャーナリストの小田桐誠氏がこう言う。
「百田氏と長谷川氏の発言は思想信条の問題なので、恐らく、不正経理や着服のように、『服務準則違反』と断定しにくいのでしょう。そのため、調査に及び腰なのだと思います。また、国会でNHK予算の審議で、ヘタに動いて事を荒立てたくないという考えもあると思います」
NHKは「監査委が調査すると決めていないからしません。個別の問い合わせにはお答えしません」(経営委員会事務局)と言う。
監査委はNHK不祥事が相次ぎ、08年にガバナンス強化を盛り込んだ改正放送法の施行によって設置された。
「04年の番組制作費着服事件の際は、当初50日間の調査でNHKには5800件の苦情が寄せられた。その後、100万件を超える不払い騒動に発展したのです。今回は1月下旬から50日間の調査で、苦情は当時の5倍以上の3万4000件に達しています。NHKが正式な不払い件数を発表するのは5月下旬か6月でしょうが、トンデモない数になるのは間違いありません」(小田桐誠氏)
そうなれば、監査委も動かざるを得なくなる。ならば早く調査を始めた方が傷が浅く済むのではないか。
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