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2014年03月27日
日米のマスメディアより、オバマ大統領の方が現実を直視している点では評価できる。しかし、ロシアのクリミア介入がウクライナ問題の始まりと云う、オバマのロジックには、一切同調は出来ない。どの角度から観察しても、ウクライナの政治に介入したのは欧米が先であり、そのことをネグって、論を展開することは、すべてが我田引水論になってしまう。語る事すべてが捏造のそしりを受けるわけで、デモクラシーを標榜する大国のリーダーの言葉としては薄っぺらだ。北朝鮮の金さんや韓国の慰安婦問題で誠意(金よこせ)をみせろと叫び続け、最後には疲れ果てるのはオチである。
米国がNATOを通じて、東方拡張戦略を推進し、ロシアの勢力を縮小させる考えがあったのは事実だ。戦略においても、現実の戦術においても、仕掛けたのは、明らかに欧米側である。ロシアのプーチンと中国・習近平の間で、ユーラシア大陸ブロックの構想は練られたであろうが、特に国際社会の反発を買って、ウクライナの領土に云々はなかったであろう。プーチンにしてみれば、米国の力が、今後益々凋落するまで待機する手筈であったと思考する。
スタンバイ状態でありながら、アイドリングを静かに行っている、ロシアの忍耐強い神経戦に、しびれを切らしてしまったのは、欧米勢である。彼らにしてみれば、世界の覇権は、欧米で共有するのが自明であり、その他の地域には、覇権に見合う器量を持っているブロックはない、と云うのが「バイブル並に絶対なもの」として存在する。しかし、なぜバイブル並の絶対的自信を持つ欧米が、なにを慌てたのかと云うことになる。おそらく、国際連合と云う戦後の枠組みに大きな綻びが生まれていることを認知させる。以下は時事通信が伝えるオバマの状況だが、アチョコチに思い込みが前提で、記事が書かれている。
≪ 米大統領、秩序維持で限界も=欧州、アジアで安保環境悪化
【ハーグ時事】オバマ米大統領は外遊先のオランダ・ハーグで、ウクライナ情勢をめぐり、欧州各国首脳と協議を重ねた。大統領はさらに日韓中3カ国の首脳とも会談。欧州とアジアにまたがる同盟網の盟主として、領土保全や主権の擁護を訴えたが、両地域で進む力による現状変更の動きや安全保障環境の悪化に歯止めをかけるのは容易ではなく、限界も透けて見えた。
「ロシア軍がクリミアを支配下に置いている。同地で既に起きた事態の解決は簡単だと告げるのは不誠実だ」。大統領は25日の記者会見でこう語り、ロシアによるウクライナ南部クリミアの併合を撤回させることは困難だと率直に認めた。
大統領は、重要産業を狙った実効性のある対ロシア制裁の発動準備を整えるよう各国に呼び掛け、先進7カ国(G7)首脳会議で同意を得た。G7は、ロシアで開かれる主要8カ国(G8)首脳会議(サミット)のボイコットも決めた。
ただ、ロシアから多くのエネルギー供給を受ける欧州連合(EU)の一部加盟国は、強力な制裁発動に慎重。このためG7は、ロシアに依存しないエネルギー安全保障政策を検討する方針を打ち出し、不安の解消に努めた。軍事力は用いないと明言している大統領にとって、制裁はロシアに対抗する最も強力な武器だが、 国際協調の足元は盤石ではない。
一方、ロシアのウクライナ介入は、アジアにも不安を広げている。安倍晋三首相はクリミア併合を「アジアなど国際社会全体の問題だ」と指摘した。現状を放置すれば、東シナ海などで領有権の主張を強め、威圧的行動を続ける中国を勢いづかせかねないとの危惧を示した形だ。
こうした声を踏まえ、オバマ大統領は中国の習近平国家主席との会談で、東シナ海への防空識別圏設定に懸念を伝え、対話と国際法に基づく問題の解決を訴えた。しかし習主席は「米側が客観的で公平な態度を取るべきだ」と一蹴した。
また、北朝鮮はハーグ現地時間の25日、弾道ミサイル2発を発射。大統領が安倍首相、韓国の朴槿恵大統領と3者会談を行い、北朝鮮の核保有を認めないと確認したタイミングに合わせて挑発に及び、地域がいかに不安定かを改めて認識させた。 ≫(時事通信)
前半のオバマの立場に関しては、客観的報道に徹しているが、中盤以降は、安倍官邸のメディア・ウォッチャー班の監視を意識した記事になっている。中国の威嚇が存在するとしても、その威嚇を前提に、外交防衛全体を網羅するようなレベルの威嚇かどうか、議論する必要がある。「日中戦わば」的な議論が巷ではかしましいわけだが、幅広い人材による議論の場は開かれていないし、一方的イデオロギーに偏った人々の言説が独り歩きしているだけで、公正公平な、乃至は多様な意見の開陳さえ、国民には見えていない。無論、このようなシンポジューム、或はワークショップを政府が行うことは、火に油を注ぐ行為である。
野田と云う、100年に一度出てくることさえあり得ない阿呆の、「尖閣国有化」お陰で、ナショナリズムを背中に背負わざるを得ない中国に、棚上げの尖閣への介入行動を促したわけだから、飛んで火に入るシロアリである。欧米がウクライナ・クーデターを画策した暗愚な行為も、アホ野田に非常に似ている。まぁ野田の場合は、対中関係でこれ以上揉めたくない心理的強迫観念が、誤ったジャッジをさせたのだろう。しかし、当時の胡錦濤主席が、死に物狂いの顔つきで「国有化は拙い」と忠告したメッセージをドジョウ頭で聞き流し、愚行に走った。
なにせ、中国と云う図体のデカい国家は、そもそも、国家なのかどうか不確かな共同体のようなもので、権力が分散している事への認識が希薄だったと言えるだろう。あの時野田政権は、公的機関が尖閣の土地取引することは出来ない、と政府見解を出せば済んだ話なのに、右翼が怖くて、それが出来なかった。中国と云う共同体は、毛沢東を世俗的皇帝として認めることで、その他の事柄は、時代に即応して改革改善可能なもと云う合理主義に徹することが出来る共同体になった。正直、中国共産党の総書記がNO1と云うより、いまだに毛沢東がNO1なのである。
文革であれだけの死人を出しながらも、毛沢東は世俗皇帝として君臨し、今もなお君臨し続けている。ただ、中国全体の歴史となると、甚だ込み入っていて、伝統中国がどのようなものなのか、全体像を捉えるのは容易ではない。清王朝時代になって、漸く「国」と云う概念が生まれた共同体である。それまでの中国と云う地域は「天下あって国家無し」と呼ばれた所以である。中国共同体の帝国は「夏」(紀元前2070年頃 - 紀元前1600年頃)?辺りから明確になるが、国家と云う意識はなく、王様がいただけである。
「秦」、「漢」、「隋」、「唐」、「宋」、「元」(モンゴル帝国)、「明」、「清」、「満州」(中華民国)、中華人民共和国・中華民国と云う変遷がある。この中で、国家の概念が導入されたのは「清」の時代からである。現在、中国の中心民族は「漢民族」だと言われているが、ネーションの歴史的検証から行くと、必ずしも一致しない。つまり、民族の連続性がほとんど見られない国なのである。ナショナリズムに注目しても、国民には中国共産党と中国を重ね合わせて見ているとは思えない。中国の概念に関して深追いはこの辺で中止するが、続きを考えたい方は『おどろきの中国 そもそも国家なのか?』を読んでいただきたい。新書なのだが、社会学者の鼎談(ていだん)なので、スラスラ読めるとは言い難い(笑)。
かなり横道に逸れたが、その中国が経済的合理が欧米との協調にあると考えたとしても、「幇」(相互ほう助)を重んじる国民性は、国家の実像以上にたしかなので、ロシアとの関係を重視するのは当然になる。理屈上、米国との関係を深める方が国益に適うからといって、日本のような態度には出ない、出られないのが、中国であり、中国共産党も、その縛りから逃れられない。その意味で、オバマが習に一緒にロシアを排除しようなんて言っても、意に介さないのだ。
ロシア人も中国的なら、同様のつき合い方も可能だが、これがまったく違うのがロシア人だ。そこで、筆者も迷うが、安倍官邸などは、頭の中がグチャグチャになっているに違いない(笑)。外務省の役人どもは、対米隷属が前提で出世争いのレースに参加できるわけだから、中国通など殆どいない。ロシア通も殆どいない。だから、思考停止でアメリカに追随するしか、選択肢がなくなる。安倍信三の心には、爺さんである岸信介の対米対等化路線の実現を目指そうと云う心情は持っている。しかし、鳩山由紀夫同様に、それを実現する手順に対するインテリジェンスがない。
仮にあっても、付け焼刃な理論構成だから、日々齟齬が生まれ、頓挫する。現時点では、鳩山よりは長持ちしているが、長持ちした分だけ、痛い目に遭う度合いも酷いものになるのだろう。気の毒に…。幾ら落ち目だからといって、いまだに世界に君臨しているのはアメリカだ。弱い日本が、米国から距離を置く国家になる為には、それ相当の仲間(幇)が必須だ。その幇となるべき国家が中国やロシアである可能性は十分にある。しかし、意思表示は早すぎる。ナショナリズムを見せるのも早過ぎる。その点で、安倍晋三は既に失敗を犯している。もう取り返しはつかないだろう。あまりにもナショナリストな仲間を掻き集めすぎた。
これでは、アメリカからも疑念のある目で見られ、中国からは目の敵にされ、ロシアに見放されたら、一巻の終わりだ。中途半端な心情が露呈することは、無計画を白状するようなもので、味方になってくれる人がいなくなる。海外に出て、リベラル色を喧伝し、国内に戻ってナショナリストな振る舞いに興じようとするのは、余りに子供染みた手法である。結局、あのような人々しか、安倍晋三のお友達ではなかったと云うことが、安倍晋三の正体のすべてを現している。本当に気の毒だが、かなり酷い目に遭って政権を追われるのだろう。
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