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渡辺喜美みんなの党代表の疑惑は、維新との連携を模索した2012年末の衆院選(写真は同年11月)までに化粧品のDHC会長から「8億円」を借用、一部未返却というもの。『週刊新潮』が報じた photo gettyimages
猪瀬直樹「略式起訴」で「渡辺喜美8億円」どうなる? 特捜部は「有罪率99.9%」より「法廷で疑惑解明」選べ
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/38802
2014年03月27日(木) 伊藤博敏「ニュースの深層」 現代ビジネス
猪瀬直樹前東京都知事が、徳洲会グループから現金5000万円を受け取っていた問題を捜査していた東京地検特捜部は、猪瀬氏を収支報告書に記載しなかった公職選挙法違反の罪で略式起訴する方針を固めた――。
■「略式起訴」ではなく「在宅起訴」が妥当では?
マスコミ各社が、3月19日の夕刊で、こういっせいに報じた翌日、『週刊新潮』は、渡辺善美・みんなの党代表の「8億円疑惑」をスクープした。
化粧品やサプリメント販売会社ディーエイチシー(DHC)の吉田嘉明会長が、同誌に発表した手記で明らかになったもの。そこに至る渡辺代表と吉田会長の関係は複雑だが、疑惑の構図はシンプルだ。
吉田氏は、2010年7月に実施された参院選の前月に3億円、12年12月の衆院選の前月に5億円、渡辺代表の個人口座に振り込んだというもの。その後、2億4700万円が返済されたものの、今も5億円超の借り入れがあり、各種報告書への記載が不十分。渡辺氏は、政治資金規正法や公職選挙法に抵触する可能性がある。
まず、猪瀬氏だが、氏の立件の難しさは、5000万円をどう捉えたかという認識にあり、徳洲会グループの徳田虎雄前理事長と徳田毅前代議士は、特捜部の調べに「政治資金として渡した」といい、猪瀬氏は「借入金だった」と、主張した。
証拠(押収した5000万円)はあるし証言(徳田父子)もある。通常なら立件は容易だが、今は、3年前の証拠改ざんの大阪地検事件を踏まえて「特捜改革」の最中。「否認案件はやらせない」という検察首脳の意向で、一時は、不起訴処分が濃厚になったという。
それが、公判請求されず、50万円以下の罰金で済ませられる略式起訴とはいえ立件できるのは、不起訴処分にすれば検察審査会で「起訴相当」となり、裁判に委ねられるのが確実で、猪瀬氏と検察の双方が、小沢一郎氏の政治団体・陸山会を舞台にした政治資金規正法違反事件のような長い法廷闘争となるのを避けたかったからだろう。
折衷案だが、徳洲会側に東電病院買収の“思惑”があり、贈収賄の構図も指摘されていたことを考えれば、徳洲会側の狙いにまで踏み込める在宅起訴のうえで公判請求、という流れの方が望ましかった。
■渡辺喜美氏の「8億円」は立件を視野に!
では、渡辺氏の場合はどうか。
猪瀬氏と同様、「振り込み」という証拠と振り込んだ当人の証言もある。渡辺氏は「個人的な借り入れ」と主張するだろうが、およそ個人が借り入れられるレベルではなく、国民感情からも受け入れられない。
まだ、告発がなされたわけではなく、捜査が始まったわけでもないが、それを前提に考えれば、「証拠」と「証言」がある政治資金規正法や公職選挙法違反容疑の捜査は、立件を視野に進めるべきだろう。
検察と国民の意識のズレが、最も大きかったのは金丸信自民党副総裁の政治資金規正法違反事件だった。
■国民感情を無視した「金丸事件」
1992年2月、東京地検特捜部は広域暴力団系企業などに野放図に資金をばら撒いていた東京佐川急便の渡辺広康社長などを商法の特別背任容疑で逮捕。その供述から、金丸氏に5億円が闇献金された事実を掴み、捜査に入っていた。
その動きを察知した金丸氏とその周辺は、検察OB弁護士などと相談の上、8月27日、機先を制するように違法献金の事実を認める記者会見を行った。
それを受けて検察は、9月28日、罰金20万円で略式起訴。しかも、「マスコミが家を囲んで外に出られない」という金丸氏の主張を認め、事情聴取することなく、容疑を認める上申書で済ませた。
金丸氏に問われているのは寄付金の量的制限のみ。政治資金収支報告書の虚偽記載に関与しているとはいいがたく、本人が認めている以上、強制捜査はかけにくい。略式起訴もやむを得ない――。
国民が怒ったのは、この検察処理における不平等感である。5億円という途方もないカネが渡り、それを認めているのに事情聴取することなく、上申書で済ませた。誰しも怒り、検察庁庁舎に「弱虫」を意味する黄色いペンキが投げつけられた。
この検察不信に恐れをなした特捜部は、国税当局の力を借りて「金丸脱税事件」に漕ぎ着け、威信を回復するのだが、それはさておき、国民感情を無視した幕引きが禍根を残すのは、今も昔も変わりはない。
■検察冬の時代はまだまだ続く
しかし、金丸事件の教訓は忘れられた。逆に、猪瀬氏の否認を受けて検察首脳は、起訴を求める特捜部の捜査現場にハードルを課したという。
「証拠」と「証言」だけでなく、逮捕はもちろん、在宅起訴するにも、交わされた文書、念書、メモ、会話記録に、「政治資金である」「徳洲会病院の進出に協力する」といった文言が必要なのだという。つまり、客観的証拠を積み上げろということだ。
実際のところ、それは不可能に近い。
誰しも、闇献金の違法性は承知しており、密室において手渡しで行われ、証拠は残らない。猪瀬氏の場合は、たまたま返済されたカネが徳洲会に残されており、家宅捜索で押収された。渡辺氏の場合、吉田氏との確執がなければ表面化することはなかった。
それに、容疑をかけられれば、誰もが否認する。猪瀬氏には「選挙資金に使っていなかった」という“強み”があり、渡辺氏には「個人的な借り入れだから振り込みだった」という“逃れ方”が可能だ。
両事件とも、公判請求に向けた必要最小限の条件はクリアしている。権力者にカネが集まるシステムが発生するのは、洋の東西、古今を問わない。いろんな思惑を胸に秘めて、人は政治家にカネを渡す。だから特捜部という監視役が必要となる。
その特捜部の網に引っ掛かり、証拠と証言が揃えば、公判で裁けばいい。無罪判決となることもあるだろうが、これまでの刑事事件の有罪率99.9%という神のような数字が間違っている。
そこに近づけるための捜査が自供の強要、証拠の改ざんにつながったという反省はいいとして、有罪に持って行けないなら起訴しないという怯懦もおかしい。
そこにあるには、検察の無謬神話。そんなものに縛られていると、「検察冬の時代」は長く続き、「権力者を監視して欲しい」という国民の負託に応えられない。
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