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低コストのリーダーシップの島
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2014年03月25日 兵頭正俊 兵頭に訊こう
「大相撲春場所」が終わる。綱とりに挑んでいた大関鶴竜が琴奨菊に勝って、14勝1敗で優勝した。
これで鶴竜の横綱昇進が確実となった。国技とは名ばかり、大相撲は、白鵬、日馬富士、鶴竜と3人のモンゴル人が横綱を張る。
まずは、出稼ぎのかれらの労苦と成功に拍手を送りたい。
しかしそうはいってみたものの、内心複雑なものが胸をよぎる。わたしは春場所の初めから鶴竜が優勝すると読んでいた。白鵬、日馬富士が、同郷の後輩を援護射撃して、必ず優勝させるだろうと読んでいたのである。
それは日馬富士が横綱に昇進したときの、白鵬の見事な援護射撃を見ていたからだ。
ことはわたしの予想したとおりになった。しかし、わたしのように予想した人は案外多いのではないかと思っている。
白鵬、日馬富士の、優勝可能性のある日本人力士への闘争心も、すさまじかった。稀勢の里潰しである。白鵬、日馬富士とも、別人のような激しい取り口で稀勢の里に勝っている。
それはいいのだが、その白鵬、日馬富士が、あっけなく鶴竜には負けて、鶴竜の優勝と横綱昇進が決まった。
あまりにもモンゴルの力士が多く、その連帯が、かれらの相撲以上にきわめて強い。日本人力士のふがいなさを嘆くのはいいが、モンゴル力士のこの同胞意識、強固な連帯感は、非常に複雑で難解な問題を、相撲協会に突きつけている。しかし、それに協会はまだ気付いていないようだ。
官僚、自民党が、移民策に熱心なので、このような問題は、将来、政界でも起きるだろう。
帰化して選挙権を持てば、政策よりも、本国の指示あるいは同胞意識で投票先は決まる。こうしてこの国は、宗主国が何層にも重なり、民族のアイデンティティを喪失した国になるだろう。
今の官僚、政治家、総じて既得権益支配層は、すべて自分の時代だけよければいいので、後は野となれ山となれ、なのである。
G7からG2へ、そしてG0へと展開した世界状況が、逆に新冷戦を生む土壌になっている。ロシアと米国との新冷戦もそうだが、中国と米国との新冷戦こそ、その核になるものだ。
現代は、個人も国家も、親米か親中かに分裂した世界である。これは台頭する中国によってもたらせられた。
表面的は、米・中は接近している。それは確かだが、将来、中国の経済力と軍事力が米国に並ぶか、それとも越える事態になれば、両国の緊張は一挙に高まるだろう。米国のポチ総理しか持たないわが国にとって、もっとも厄介な問題は、米国が戦争をやらねば経済がもたない国であることだ。
『ウィキペディア』によると、2006年度(イラク戦争中)の米国の軍事支出は5,218億ドル、GDP132,466億ドルの4.0%、政府支出26,554億ドルの19.7%である。
武器購入費は897億ドル、研究開発費は686億ドルもの巨額になる。軍需産業の雇用者は360万人、総人口29,821万人の1.2%、就業人口14,424万人の2.5%を占める。
軍人は、144万人に上り、かつ文民が66万人もいる。これは総人口の0.7%、就業人口の1.5%を占める。
この体制を維持していくためには、戦争は必須なのだ。こういった国と、わが国は集団的自衛権を結ぼうとしている。政治も知恵もあったものではない。とにかく政治家が米国の意向を忖度して振る舞うことを賢いと信じているので、どうしようもない。
何よりも憲法九条がある限り、集団的自衛権は憲法違反である。
もし、わが国の政治家が米国の過ちを指摘し、理不尽な嘘の原因に基づく戦争を止められたら、まだ救いがある。しかし、歴代の政権、総理を見ると、米国の御用聞きかポチの類いの総理ばかりだ。
間違っても米国の侵略に意見するタイプの首相はいなかった。米国の侵略先の復興に、黙って金を出すだけの首相ばかりだ。だから米国との集団的自衛権など応じるべきではないのだ。
前号のメルマガで、ふたりの安倍晋三について述べた。ひとりは仮想の安倍晋三であり、かれはナショナリストであり、ファシストであった。
もうひとりの安倍晋三は、対米隷属のポチであり、かつ新自由主義者である。
仮想の安倍晋三は偽物であり、真実の安倍晋三は対米隷属の安倍である。
現在、ウクライナ問題で、安倍晋三はヌエ的な態度をとっているが、いずれ欧米によって二者択一を迫られ、結局、米国のポチの正体を顕すことになろう。
ナショナリストの安倍晋三など幻想である。それを、ジャパンハンドラーのジョセフ・ナイが、『朝日新聞』(3月16日)のインタビューで、次のように述べていた。
「憲法の改正は近隣国をさらに神経質にさせると思います。中国や韓国では、日本が軍国主義的になるのではという不安が生まれています。憲法改正はこの不安を増大させるでしょう。
日本政府のいくつかの行動は、近隣国が懸念をしているこうした状況を悪化させています。たとえば、安倍首相の靖国神社参拝や首相周辺の人々の、村山談話や河野談話見直しに関する発言です。
米国内でも、日本で強いナショナリズムが台頭しているのではという懸念は出てきています。個人的には日本の大部分の意見は穏当なもので、軍国主義的なものではないと思います。
ただ、米政府の言葉を借りれば、首相が自らの政策が近隣国との関係に与える影響にもっと注意を払わないことについては、失望しています。私は政策に反対しているのではありません。ただ、ナショナリズムのパッケージで包装することに反対しているのです」
米国にとって使い勝手のいい、それゆえ支持する日本の首相像は、ナショナリズムなしの、国益を決して考えない、売国奴なのだ。したがって安倍晋三がナショナリストであることなどあり得ないことなのである。
イギリスの外交分析者で、シンクタンクヨーロッパ外交問題評議会共同設立者マーク・レナードは「米中に引き裂かれる世界―欧米なき世界と中国なき世界への分裂」で次のように書いている。
「中国は国際的影響力とコミットメントをいかに拡大させていくかを考えている。これに対して、アメリカは国際社会で支配的優位を維持したいという思いと、米市民が一連の戦争介入に疲れ果てていること、そして債務増大のリスクをどう均衡させるかを考えざるを得ない状況に追い込まれている。
オバマ大統領は「低コストのリーダーシップ」をモデルにした路線、別の言い方をすれば、アメリカ版ケ小平アプローチを考案したいと考えている。
違いは、ケ小平が中国の富の成長を隠そうとしたのに対して、オバマはアメリカの資産がますます減少していることを目立たないようにしたいと考えていることだ。
この「低コストのリーダーシップ」とは、イランや北朝鮮のような敵対勢力を経済制裁で締め上げ、テロリストをドローン(無人機)でたたき、外国への単独介入を控えて多国間介入を「背後から主導し」、ロシアのようなパワフルな大国とは現実的な関係に徹することを意味する」(『Foreign Affairs Anthology vol.39』)
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