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田原総一朗「安倍政権のエネルギー基本計画の重大な矛盾」〈週刊朝日〉
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20140324-00000003-sasahi-pol
先月公表されたエネルギー基本計画の政府案。ジャーナリストの田原総一朗氏は、「原発問題の具体的方策がないだけでなく、自民党に実現できるはずのない重大な矛盾を露呈している」と語る。
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2月25日に安倍政権がエネルギー基本計画案を発表した。そして3月中に“閣議決定”をし、“案”が取れることになっている。
だが、この基本計画案は特に原発については世論の反発を恐れてか、表現がきわめて曖昧で、その趣旨が全く読み取れない箇所、逆に大矛盾を生じさせている箇所が少なからずある。まず、“はじめに”という部分では、「原発依存を可能な限り低減する」と明記していて、“原子力の位置づけ”のページでは、原発を「エネルギー需給構造の安定性に寄与する重要なベースロード電源である」と記しながら、可能な限り低減させると繰り返している。
いわゆる3.11、つまり3年前の福島第一原発事故で、国民の7割近くが原発に拒否反応を示していることへの配慮なのだろうが、実はそのために重大な矛盾を露呈させているのである。経産省が作成した全電力における原発稼働率によると、仮に福島の事故原発の6基を除いて、全原発が再稼働しても、40年廃炉政策を続けるかぎり、2028年には14%、そして36年には6%となっている。このうえ、可能な限り低減すると、28年には一桁となり、36年には限りなく0に近くなる。
そしてこれは皮肉にも民主党をはじめ、維新の会、みんなの党などよりも厳しい“脱原発”政策ということになってしまい、“脱原発”でないはずの自民党が、このような政策が取れるはずはないので、大矛盾と言わねばなるまい。
また、ひところは“夢のエネルギー”と高い期待を集めながら、1995年にナトリウム漏れの事故を起こしたうえ、二重三重の事故隠しの工作を行って、すっかり信用をなくしてしまった高速増殖炉「もんじゅ」については、「過去の反省の下、あらゆる面で徹底的に改革を行い、国際研究協力の下、もんじゅ研究計画に示された成果の取りまとめを目指し、克服すべき課題についても十分な検討、対策を行う」ということになっている。もんじゅはナトリウム漏れの後にも事故を起こし、現在では厄介者の象徴のような存在なのだが、実は14年度にそのもんじゅプロジェクトに199億円の予算がついているのである。一体、199億円の予算をつけて、もんじゅをどうしようとしているのか。この計画案は何度読んでも意味が理解できない。そして位置づけとしては「推進する」となっているのである。
さらにわからないのが、使用済み核燃料の最終処分である。
小泉純一郎元首相は、フィンランドのオンカロを視察して、放射性廃棄物が無害化するのに10万年かかると知って「原発はダメだ」と表明したのである。現在、日本には1万7千トンの使用済み核燃料がたまっている。しかしながら、放射性廃棄物の最終処分制度を創設して以降、10年以上経た現在も、処分地選定調査に着手できていない。計画案には正直にこう書いてある。どこで、どのように最終処分するのか、まったく見当もついていないのである。廃棄物を発生させた世代の責任として将来世代に負担を先送りしないよう、高レベル放射性廃棄物の問題の解決に向け、国が前面に立って、取り組む必要がある。しかし、私たちが知りたいのは、どの場所で、どのような方法で処分するのか。その手立て、具体的な方策だが、そのことについては全く言及していない。これで一体、基本計画といえるのか。
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