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2014年03月24日
景気上向き大本営発表がなされている。本当に順調に経済が回復しているのであれば、殊更あちらこちらで口角泡を飛ばし、景気が順調に回復していると強弁する必要はない。黙って、沈黙の王様になりきり、笑みをたたえながら、国民の夕餉を用意する釜戸から煙が昇るのを見つめておればいいわけである。安倍や黒田の態度は、どう見ても、そのような泰然自若な様子が覗えない。どうも旨くいっていない事実が垣間見える。
内閣府の言うところによれば、景気が良い方向に向かっていると感じている人々が、前年同月に比べ、倍増したそうである。倍増したと云う言い方は、凄く好くなっている印象だが、実はパーセントでは22%に過ぎない。つまり、2割の国民が、景気が好い方向に向かっている、と思っているだけで、残りの8割の国民は、懐疑的であるか乃至は悪くなっていると感じていることになる。アベノミクスと称賛されていた日本の経済政策を牽引した最強のパートナーである日銀黒田総裁は、頻繁に講演会などに参加し、日本経済の見通しは極めて明るい、と吹聴して歩いているのだが、それこそが、不安を如実に表しているのだろう。
≪ 黒田総裁「消費増税後も成長続く」 ロンドンで講演
【ロンドン=小滝麻理子】日銀の黒田東彦総裁は21日、ロンドンで講演し、日本経済は4月の消費税率引き上げ後に一時的に落ち込むが、「生産、所得、支出の前向きのメカニズムが維持され、潜在成長率を上回る成長を続ける」との見解を示した。 同日ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)で話した。
黒田氏は1997年の消費増税後に日本が景気後退に陥ったことを紹介。当時に比べて金融システムは安定し、雇用情勢が改善していることから、増税による悪影響は一時的だと述べた。金融機関の貸し出し増加を支援する制度を拡充したことも説明。「2%の物価目標実現のためにできることはなんでもやる姿勢だ」と 強調した。
金融緩和政策からの出口について「資産売却のほかに複数の選択肢がある」と言及したが、緩和解除の議論は「時期尚早だ」と従来の主張を繰り返した。 ≫(日経新聞)
日経は“イイトコ取り”な記事でお茶を濁しているが、ロイターは黒田総裁が「日本経済は2%の物価安定目標達成までまだ道半ば」と語り、大規模金融緩和の継続を強くほのめかし、出口戦略など時期尚早と断言したと伝える。市場では、消費増税に備え、一定の日銀金融政策が打たれると云う思惑もあるようだが、現時点でその必要はなく、現行金融政策堅持で十分と自信をみせた、と伝える。また、緩和解除に至る時には、資産の売却も排除しないと語った。彼が言いたいところは、金融政策に齟齬はない、旨くいかないとすれば、それは政府の第三の矢が放たれないことだ、と暗に語っている。
第三の矢は実効力がない形で打たれるだろうが、既得権構造をぶち壊すような矢は放たれない。黒田が「生産、賃金、消費の好循環が作用し、日本経済は引き続き緩やかな回復を遂げている」と云う認識に齟齬がないのか、と云う問点だけでも問題だ。筆者の投資の師である植草氏によれば、黒田の見解とかなり現状認識が異なるし、今後の展望も大きく違う。黒田総裁は【景気が良くなり、生産が回復し、賃金も上昇傾向にあり、物価も緩やかに上昇し、確実にデフレから脱却しつつある】と語る。しかし、植草氏は経済統計を睨みながら異なる分析をしている。
植草氏によると
【日本の経済成長率を見る限り、昨年の1−6月期の6か月だけ、+4.5、+4.1と成長したが、昨年夏以降は下落傾向にある。この一時的経済成長率の上昇は、円安による、一時的物価の上昇と13兆円の補正予算によるものと分析する】、
【賃金が上昇傾向にあると云う言説も怪しいもので、毎月の勤労統計で確認する限り、中小零細企業の従業員を含む労働者全体の現金給与総額は3年連続のマイナスである。14年の1月の直近数値も前年同月比で−0.2%なので、賃金上昇は明らかな嘘で、労働者全体の所得状況は依然減少している】、
【デフレ脱却が始まったと云う黒田の言説も怪しい。食料及びエネルギーを除く消費者物価指数は、概ね前年比マイナスで推移している。直近1月の+0.7%以外すべてマイナスだ。食料及びエネルギーを除くとフラット乃至はマイナスであると云うことは、円安によって消費者物価指数の数値が上がっているに過ぎない。つまり、経済全体の要因ではなく、金融緩和による影響分だけ上昇していることを意味する】
以上のように、論理的にも、アベノミクスが、国民生活に優しく寄り添う政策かと云うと、そうではないと云うことだ。インフレと云うもの、そもそも借金をしている者に有利な経済政策で、債権者には損害を与えるものなのである。日本経済全体をマクロな目で見た場合、実感はないだろうが、債権者は誰あろう国民一人ひとりである。債務者は誰かと言えば、日本の財務省である。つまり、インフレ政策は政府にお得な政策であり、国民にはひたすら不利な政策なのである。
黒田日銀総裁は、天から降ってきたわけではない。わが国財務省の次官同等のポストである財務官を務めているわけで、謂わば財務官僚の人脈から輩出された人物であり、彼の独立制が維持されているなどと考えたら大間違いに陥る。日本の財務官僚の血脈の中で、自分に与えられた役職を粛々とこなしているに過ぎない。国家が借金をし、企業も借金をし、国家や企業を運営しているわけだが、国民の多くは、生活の残りを備蓄の積りで貯金している。この貯金が、国家や企業の借金になっているのだから、国民は絶対的債権者なのである。
上述の説明は短絡的だが、ざっくりと日本の経済構造を捉えれば間違っていない。にも関わらず、NHKやマスメディアの手にかかると、国民一人当たり、借金792万円也なんて、トンデモナイ、レトリックな合言葉が生まれるのである。笑ってしまうような話だが、多くの国民が、その一人当たり792万円の借金とか、1000兆円の借金とかいう合言葉を信じているのだから、無知と云うものがどれ程怖いものか知るうえで、貴重な神話である。
つまり、金を貸している立場の国民の多くは、債務者である国家から見れば、債権者様であり、債務者でもない人々に向かって、「お前たちは、一人当たり792万円の借金を抱えているぞ」と言い出すのだから、「オレオレ詐欺」の方が一発ビンタなわけで、財務省のプロパガンダの往復ビンタよりも悪質度は少ないと言える。これも、数ある国家犯罪の一つと云うことだ。その上で、消費税が上がるわけだから、泣きっ面に蜂の上に、因幡の白兎が重なるようなものである。誰だ!デフレはイカン、インフレが良いなどと言ったのは(笑)。
永田町でも、与党筋中心に、アベノミクスで何が良くなってきたのか、不安視する声が多く聞かれるようになってきた。円安って、本当に日本経済にプラスなのかいな?と云う、素朴な疑問である。今更、与党政治家がそんなこと言い出すのは無責任の極みだが、疑念を持たないよりはマシ程度に捉えておこう。「産業構造は、我々が考えていた以上に変化しちゃっている。車は海外生産が増えているし、電機関連は商品力が落ちている。単純に円安で追い風なのは造船業くらいのものだ」、「賃金も総理が言うようには上がっていない。どちらかと言えば。まだ下げ続けている。食料や家庭の光熱費などは上がる一方で、円安のマイナス材料が国民生活を直撃しているだけかも。この上、消費税が上がったら、一気に自民党の支持も直撃を受けそうだな。まあ、敵になる野党がいないのがせめてもの救いだがね」こんな声が、ひそひそと語られている永田町だ。
このように「アベノミクス神話」への疑念は、異なる方向で影響が出ている。あと半年もすれば、経済政策の大失敗が顕在化するに違いない。そんな状況で、集団的自衛権行使容認なんて話を高らかに持ち出されちゃ、盤石政権与党の地位さえ危うくなるンじゃないか。そんな杞憂に満ちた思いが自民党内に広がりつつある。早く、アベノミクスの化けの皮が剥がれたほうが良いのではないか。あそこまで右巻き人事を平気で行ってしまうのは異常だし、自民党全体が安倍晋三と同じだと思われかねない恐怖に包まれつつあるようだ。経済政策が破たんすれば、俺だって安倍の首に鈴をつけに行ける。そんな話題で盛り上がる宴会が彼方此方で開かれている。どうにも御しがたい人々だ(笑)。
最後のとどめの様な世論調査が日経から23日報道された。消費税を上げても、生活上の支出動向を変える気はないと日本人は言っているそうである。所得増など、まったく気にしないが、生活には余力が十分あるので、生活水準は維持する家庭が殆どだそうだ。“消費税上がろうと、所得が減ろうと、生活水準は変えない”家庭が多いと云う言説が、後々、日本社会に誤ったメッセージを発信し、大きな社会問題になるであろうことなど、霞が関もマスメディアも気づかないのだろう。
このような世論調査が、多くの国民に“オマエ達は負け犬だ”と云う心傷つくメッセージとなり、多くの国民を自己嫌悪に陥れることに気づいていないようだ。多くの国民が、自分は落伍者だと云う印象を持ち、自己嫌悪に陥り、自信を失い、無気力になる社会を醸成しているとは、彼らは気づかないだろう。国民が、自分は世間並みから落伍し、普通の人間ではなくなった、と云う自信喪失を与えてしまうプロパンガンダに興じているとは、思いもよらないだろう。国民がみんなで渡る道筋から外れたと思い込んだ時、社会と云うものは崩壊の緒に就く。
≪ 家計支出、消費増税後も「維持」51% 本社世論調査 所得増「期待できず」83%
日本経済新聞社とテレビ東京による21〜23日の世論調査で、安倍内閣の支持率は2月の前回調査から3ポイント上昇の59%だった。不支持率は4ポイン ト低下し、29%になった。4月の消費税率の8%への引き上げ後、家計の支出をどうするか聞いたところ「変わらない」との回答が51%と半数を占め「減ら す」の44%を上回った。
春季労使交渉では賃上げに動く企業が増えたが、今後、世帯の所得が増えると「期待できる」との回答は12%。83%が「期待できない」と答えた。安倍政権は企業の収益向上が賃上げにつながる「景気の好循環」を掲げているが、幅広く実感されているとはいえないようだ。
内閣支持率が上昇するのは1月の調査以来、2カ月ぶり。支持する理由(複数回答)は「安定感がある」が31%で最も多く「指導力がある」の28%が続いた。
消費税率は2015年10月に10%への再引き上げが予定される。安倍晋三首相は年末までに増税の可否を判断する考えだ。予定通りに10%へ引き上げることについて「賛成」は29%で前回より2ポイント低下、「反対」は64%で2ポイント上回った。
「反対」と答えた人に政府がどう対応すべきか尋ねると「引き上げるべきでない」が49%と最も多かった。「時期を遅らせるべきだ」と「引き上げ幅を見直すべきだ」がともに23%で続いた。
今後の原子力発電所のあり方では「徐々に減らし最終的にはゼロ」が50%、「徐々に減らしある程度は残す」が28%。「新設も含め主要な電源として維持」は8%だった。
調査は日経リサーチが全国の成人男女を対象に乱数番号(RDD方式)で電話調査した。有権者のいる1527世帯から1059件の回答を得た。回答率は69.4%。 ≫(日経新聞:世論調査)
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