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ウクライナに「1000億円融資していいとも!」と言う安倍総理
http://bylines.news.yahoo.co.jp/ogasawaraseiji/20140323-00033815/
2014年3月23日 12時2分 小笠原 誠治 | 経済コラムニスト
国民が知らない間に日本政府は、ウクライナに対し1000億円規模の支援を行うことを決定したのだとか。なんでも24日からオランダのハーグで開かれるG7首脳会議で安倍総理がその旨表明するのだとか。
どう思いますか?
どう考えてもおかしいとしか思えない。というよりも、そもそも欧米はロシアのクリミア併合を厳しく非難しているものの、全てが茶番劇とさえ思えてしまう有様。
そうではないでしょうか?
何故日本が1000億円規模の支援を行うのでしょうか?
ウクライナにはべっぴんさんが多いから?
そんなバナナ!
いいでしょうか? ロシア批判の急先鋒に立っている米国でさえ、確か支援の規模は同じ10億ドルであるものの、そのお金を自ら融資するのではなく保証人になるだけなのです。その一方で、こうして日本は何の担保も取らずに気前よく1000億円の融資をする、と。
何故そのような支援が必要なのでしょうか?
報じられるところによれば、ウクライナの対外債務は1400億ドルほどに上り、うち年内に100億ドルの外貨建て債券が償還を迎える予定であり、その一方で外貨準備は150億ドル程度しかないので、このままだとデフォルトに陥るのが目に見えているからなのだ、と。
言いたいことは、ウクライナがデフォルトを起こせば、世界経済に深刻な影響を及ぼしかねない、ということなのでしょう。
しか〜し、何故日本が突出した支援をする必要があるのか?
これが、日本の企業が多額の債権を抱えていたり、或いは日本の投資家がウクライナの国債を保有しているとでもいうのなら分からないでもないのです。
でも、実際にはそうではない、と。
普通、この手の債務問題が発生すると、債権者の明細なるものが明らかになるのですが、今回は、ロシアが多額の債権を保有していると報じられている程度で、詳細は明らかにされていないのです。
日本がリスクを負うのが明らかなのに、政府は何を考えているのでしょうか。
いずれにしても、そもそもウクライナがそれほどお金に困っていたのであれば、そのような時に政変など起こしてはいけなかったのです。自国の経済が破綻の危機にあるときに、ロシア寄りの大統領を追い出したウクライナ。
改めて考えてみると、これも一つのシナリオだったような気がしないでもないのです。何故ならば、もう長い間、ウクライナはIMFの支援を得て経済再建に取り組んできていたのですが、それでもガスに対する補助金の打ち切りなどIMFの勧告を実現できなくて、IMFによる支援がストップされた状態にあったからなのです。
何もしなければIMFの支援が絶たれたままで、そして、多額の債券の償還期が来ることが明らかだったウクライナ。つまり、ウクライナは昨年の暮れ頃から、デフォルトの可能性が懸念される一方で、有力な打開策がない状態にあったのです。
欧州の立場からすれば、IMFが厳しいことを言わないで、ウクライナに支援を再開すれば、それで暫くは事なきを得ることができた訳ですが、IMFにもルールがあり、そう野放図に支援をすることはできなかったのです。そこで、IMFの支援を正当化する政治状況を作り出すことを思いついたのではないのでしょうか?
つまり、ウクライナに対する同情を呼ぶ作戦が有効である、と。では、どのような状態になったらウクライナに対し世界が同情するか?
そこで、欧州寄りの人々に政変をしかけさせ、そして、それに呼応してロシアが行動するのを待って、ロシアを悪者にする作戦だったのではないでしょうか?
一方的に軍事介入する悪者のロシアと、ロシアにクリミアを取られたウクライナ、と。
いずれにしても、欧米がロシアに対する制裁が必要であると一方では叫びながらも、こうしてウクライナに対する金融支援がまとまれば、ロシアのウクライナ向け債権も保全される事実を見逃してはなりません。
ロシアに制裁をすると言いながら、実際にはロシアを助けることにもなるのです。もちろん、主たる狙いはウクライナにお金を貸している欧州の銀行の救済にあるのでしょうが‥
おかしいでしょう?
まあ、でも、そうした全ての事情を知り尽くした上で、安倍政権がウクライナにお金を出すというのであれば、それはそれで一つの判断でしょう。しかし、もし、そうした裏の事情を十分に知らないで、ただ米国から迫られて1000億円を出すというのであれば、何と寂しいことか、と。
日本が軽んじられる訳なのです。
最後に一言。
百歩譲って、日本が1000億円を出すことに対して、ウクライナの人々が心から感謝をするというのであれば、それならそれでまた話が違う訳ですが、湾岸戦争のときのように巨額のお金を出しながらも、兵隊を出さない日本は怪しからんと言われた日には、本当にやってはいられないのです。
以上
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